Manny’s MusicのLes Paul 後編
楽器店が若者の中心にあって、みんながカルチャーを語ってきた70年代のNYC。そこには、有名無名を問わず、ギターやベース、キーボードやドラム、管楽器に愛情と情熱を注いだスピリッツがありました。そんな当時を連想させてくれるManny’sのLes Paulが、私はいつも、いつまでも大好きです。
Manny’s Musicのヘリテイジ(遺産)
VM (Vintage Maniacs)Manny’sの閉店って、北米楽器業界にとっては相当インパクトあったんですね。
FV (Fukazawa Vintage Club)そうだね。日本で例えると「梅田のナカイ楽器が閉店」みたいなイメージかな。
VM僕は関西育ちじゃないんで、「ナカイ楽器」って、肌触り感ないですが、いわゆる老舗の筆頭なんですね?
FVうーん、単なる楽器店というよりは「若者が寄り道する、ロックの溜まり場」かな。元町の「ロッコーマン」とか。時間があったらギターを観に行ってたよ。
VMManny’sさんは、名実ともに「ニューヨーク48番街にある、ミュージシャンの溜まり場」だったんですね。そんなNYCの重鎮「Manny’sさんのヘリテイジ(遺産)」を受け継ぐGibson Les Paul。興奮しますよ。
FVまあ、与太話の尾ひれもさることながら、やっぱり「トラメのインパクト」じゃないかな、このギターは。
クローズアップ写真でディテールを確認
VMディテールを見ていきましょうよ。
FVまずは、ドアップ。
VMその前に、ヘッドのロゴ。コメントしてくださいよ。
FVクローズド・オーのロゴがプレミアムリイシューに採用されているのは、Standard 82/83とレオズ・ヴィンテージかな?
VMってことは、これはレオズってことですか?
FVまあまあ、そんなに急がないで。まずは年式からだけど、ポットは83年になってるね。
VMキャビティの内側に、何やらグニャグニャ書かれていますが、例によってアメリカ人の手描きは解読不能ですわ(笑)
FVほんと、読めないよねえ。スタンプっぽい感じもするが。
VMその上、ちゃっちいコンデンサー。こんなんで、ちゃんと音でるんですかね。
FVまあ、君の失礼な発言は今に始まったことじゃないからスルーするとして。
VMFVさんとのコンビで、もう8年以上連載してますから(笑) 毎週毎週、一回も休まずに良く続きますね。
FVまあ、お付き合い下さっている君には感謝してるよ。
VMトラスロッドには何もかかれていませんね。Heritage SeriesとかJimmy Wallasとかと違ってシンプルです。
FVHeritage Seriesにアッパーリンク・オーがあったね。これと近いかな?
VMでも、Heritage Seriesですから、ナッシュビル・チューン・オー・マチック(NTOM)でGroverですね。
FVふむふむ。
VMロッドポケットにも落書きが…
FV落書きじゃないってば(笑) MSかな、SWかな? 小川さんに聞いてみないと解らんな。
VM小川さんに聞いておいてくださいよ、先に(笑) (小川さんはLes Paul Premium Reissue ClubのOwnerさんです)
FVボディのキャビティは、Standard 82/83同様に、丸ドリルでネック付け根からインプットジャックまで一気にあけられていて、穴が四角くなくて丸い。
VMまあまあ、先走りせずにゆっくり順番に見ていきましょう。
FV君が勝手に先走りしたんだろ? 困るなあ。
VMえっと、ヘッド部分です。
FVペグのボタンはクルーソンっぽいのに、ブッシュがねじ込み式だ。59 Vintageと同じだね。
VMヘッド裏のシリアルナンバーのフォントが特徴的です。
FVそうだね、これは「ヘリテイジ・コリーナ・エクスプローラーの初期バージョン」や「59 Vintage」にみられるスタンプだけど、他では見かけないんだよねえ。
VMノブとかピックアップとか、ちょこちょこ替えてますね?
FVご名答。リアがゼブラって、やっぱ東さんの好みかな。かっこいいね。
VM僕は、Heritage SeriesのNTOMよりも、断然このABR-1だなあ。
FVそこは好みが分かれるね。ヴィンテージ・マニアはABR-1だろうけど。あとは、まあ細かなところはクローズアップで参照してもらうとして、やっぱり「Manny’sは唯一無二」っていうところを、描き出しておくから、しっかり勉強しておくように。
VM試験にでそうですね(笑)
Manny’s Les Paul Standardの特徴
①アッパーリンク・オー
②小ぶりな「サンセリフ体フォント」
③大柄のパーロイド・ポジションマーク
④59 Vintage同様の小さいワッシャーペグ
⑤成型ピックガード
⑥DJマーク無しのABR-1(失くすと滅多に手に入りません)
⑦ローズウッド指板(59 Vintage、Heritage Elite、Standard 82は主にエボニー)
ワイドで深いトラメと鮮やかなチェリーサンバーストは、この時代独特のテイストですね。
楽器店が若者の中心にあって、みんながカルチャーを語ってきた70年代のNYC。そこには、有名無名を問わず、ギターやベース、キーボードやドラム、管楽器に愛情と情熱を注いだスピリッツがありました。そんな当時を連想させてくれるManny’sのLes Paulが、私はいつも、いつまでも大好きです。
セルロイドの香りが懐かしいManny’sのピック。eBayではプレミアム価格もついているらしい。
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2023.04.28
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