正しく遺すもの - Firebird Ⅲ (前編)

ファイヤーバードシリーズの第2段は、前回のフルハム改造「Firebird Ⅰ」に続きフルオリジナルの「Ⅲ」にクローズアップ。「割れやすい」「ネジ位置がまちまち」「プライの幅が3種類」というマニア泣かせのピックガードをご紹介します。

フルオリジナルのFirebird Ⅲ

VMファイヤーバードシリーズ第2段は、「フルオリジナルのⅢ」ですね。

FVやっていい事と悪いこと - Firebird Ⅰ」では、沢山のヴィンテージ・マニアの方々からお叱りを受けました。「貴重なⅠにハムバッカーを搭載しちゃって、 スカタンか!!」ってね。

やっていい事と悪いこと - Firebird Ⅰ (前編)

やっていい事と悪いこと - Firebird Ⅰ (前編)

2022.9.30

VM……「スカタン」って、なんですか?
FVあれ、知らない? ウチは実家に戻るとしょっちゅう使うけどなあ。「スカタン」とか「チンカス」とか「鼻くそマンキンタン」ってね。「イチビリ」とか。

VMいま、調べてみました。「スカタン」は、兵庫県立図書館の書籍紹介『播磨方言拾』(松本多喜雄著)に、「当てがはずれている人のこと」と掲載されてます。

FV「とんちんかん」「失敗」「的外れ」ってことさ、自分で言うのもなんだけど(笑) 「チンカス」とか「イチビリ」は、また機会みて説明するよ。

VM話もどりますが、ハムバッカー搭載のⅠは、サウンドが抜群ですね。YouTubeの動画を何回も聴きなおしちゃいました。

FVまあ、吉野さんの音作りが上手いってところが一番だけど。Firebirdは、HystericPAFとの相性も良くて、なんとか「HystericPAFのミニハムバージョン」を創れないか、試行錯誤してるところさ。

VMFirebirdって、「ファイアーバード」ですか、「ファイヤーバード」ですか?

FVあらためて指摘されると、気にせず使っている気がしてきた。

VMこの2本を比較すると、サンバーストの黒い部分が随分と個体差ありますね。

FVこの頃の濃いブラウンは、退色するカラーリングと退色しないのとがある。でも、ここまで違ってくると、もともとのファクトリーでのサンバーストの吹き方が違うんだろう。

レトロ感を出す撮影小物

VMヴィンテージ・ギターの撮影に欠かせないのが当時の小物ですが、画像のピックケースもレアですね。

FV私たち世代だと、やっぱり「Firebird=ジョニー・ウインター=サムピック」ってことで久しぶりに倉庫から出してきたんだけど、あらためてみるとサムピックにもいろんな種類があるもんだね。

VM左の3個は親指用ですね? 右はフィンガーピックですが、どの指につけてもいいのかな?

FV日本では使っている人を見る機会が少ない。ナッシュビル辺りではライブでみかけるし、普通にどこのミュージックショップでも売っているね。チェット・アトキンスさんが開発したっていう説もあるけど。

VM撮影小物のヴィンテージ・ストラップは、随分時間をかけて選んでましたね。

FVちょっとしたことだけど、全体にレトロ感がでるので、いつもこだわるようにしているんだ。

VM僕も最近はギターを撮影するときに、かならずお気に入りのヴィンテージ・ストラップを構図にいれています。FVさんは、フェンダーの横ロゴモノグラムがお気に入りですよね?

FVクラプトンの影響かなあ。

平べったい「スプーン・ハンドル」

VMで、この写真なんですが…前から不思議に思っていたんですけど、ギブソンはトレモロ・アーム(ヴァイブローラ・ハンドル)を、2種類使い分けてますよね?

FV通称「スプーン・ハンドル」って呼ばれている、ひらべったいタイプだろ? メロディメーカーや、Firebird Ⅲに搭載されているけど、復刻版がなかなか手に入らないので失くさないように気をつけよう。

VMエボニーブロックに似合いますね。

FV渋いところついてくるね。

マニア泣かせのピックガード

VM今回も新たな発見がありますか?

FVこのところ、フライングVに始まってモダーン、エクスプローラーと、ホワイトピックガードにこだわってきたんだけど、Firebirdのピックガードは「割れやすい」「ネジ位置がまちまち」「プライの幅が3種類」という意味では、マニア泣かせのパーツだと思うよ。

割れやすいピックガード
ネジ位置がまちまち
プライの幅が3種類

VMこれ、やばくないですか? いままで気づかなかったです。普通の3プライに見えますが。

FVどちらも純正のヴィンテージだけど、厚みが違うでしょ? 下の3プライは3層とも薄い。真ん中のブラック・レイヤーを比較するとわかりやすいよね。

VM3枚重ねると、レイヤー毎の厚みも、トータルの厚みも明らかに違っていて3種類あります。

FV一番上の、見るからにペラペラのが最初期。一番上と一番下のネジ穴近辺が割れるパターン。

VM真ん中は、ちょっと厚みが増していますね。

FV一番下は、ノンリバースとも共通の、一番丈夫な最終仕様。で、すべて裏側にスプレーでシルバーの塗料が塗られている。

VMファイヤーバードのコレクターは、薄い3プライのピックガードを探してるんですよね? 将来的には、ぜひ「ヴィンテージ・スリム・3プライ・ネジ穴初期」を復刻してほしいです。

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フライングVのメダリオン・プロジェクトにつづいて、ファイヤーバードのプロジェクトが始動。改造のベースとなった2016年のJapan Limitedモデルの仕様を見ていきながら、完成したメダリオン・ファイヤーバードをご紹介いたします。

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