評価の高いエピフォン製モダーン - Moderne 総括(3)
Moderne 総括シリーズの最終回はエピフォン製のモダーンにクローズアップ。ボディシェイプや独特のしゃもじヘッド、そしてモダーンらしさの重要な要素となるストリングガイドまで忠実に再現した評価の高いモデルだ。今回はさらに、懐かしい日本ギブソンの和製ワランティカードもご紹介。
目次
評価の高いEpiphone Moderne
モダーンが世界的に大フィーバーした記憶は無い。だから、なぜエピフォンがかくも完成度の高いコリーナ・モデルを上市(マーケットに出すこと)したのか不思議だが、とにかく唐突に登場したのである。
ボディシェイプもヘッドストックも、ストリングガイドも、隅からすみまでしっかりと再現されていて、コレクターから評価が高いモデルだ。
メイドイン・アジアと思われがちだが、ヘッド裏には明確に「Inspected & Set-Up In the USA」と書かれているから、一度本国に輸送され工場でチェックされてから、仕向地である諸外国に輸出されたようだ。輸送費を考えると随分と非効率なスキームにみえるが、とりあえず「USA」の文字は、どんな形であれ品質の高さをアピールすることに成功している。
バックプレートはギブソンの82年モデルよりも「モダーン」っぽい。(何をもってモダーンとするかは、オリジナルが存在しないので個人の感性によるが)
モダーンらしさに重要なストリングガイド
2012年と2019年に復刻されたモダーンがスプリットヘッドで、賛否両論別れたのは記憶に新しいが、そのずっと前に登場したエピフォンが、忠実にギブソンスタイルのしゃもじヘッドを踏襲したのは評価できよう。このストリングガイドは、ある意味でコンサバなコレクターにとってはモダーンらしさの重要な要素だからだ。
かつて北米で、この「モダーン専用のブラス製ストリングガイド」を復刻した人物がいた。テネシーのHixsonで小さなミュージックショップ「Bennett Music Labs」を営む、Bruce Bennett氏だ。彼はギブソン・ナッシュビルにあったSteinberger/Tobias divisionに勤務した経験があるが、なぜ「モダーンのストリングガイドを削り出したのか」みんな興味津々だろう。
ミステリアスな魅力を持つモダーンだが、この小さなネジ止めされたパーツを紛失するオーナーは少ないと思うので、どちらかといえばハンドメイドのカスタムオーダーで製作されるモダーンに需要があったのかもしれない。
継ぎ目で見分ける2種類のバージョン
完成度の高いルックスをもったエピフォンバージョンには2種類あって、初期モデルはコリーナの単板を貼り合わせているので正面から継ぎ目が見える。写真の後期モデルは、継ぎ目を隠すために、薄いプライの板を表面に貼っている。
サイドから見える継ぎ目が、正面からは見えないのがわかるだろう。
見慣れるとかっこいいピックガード
フロントジャックも82年ヘリテイジと同じ位置。
ブリッジを見ると、アジア製ギターと共通したパーツであることがわかる。
ここまでコピーしておいて、なぜネックジョイントに段差があるのか不思議だ。
そして最大の謎は、ピックガードに煌々と記載された「Moderne」の文字。さすがにこのモデルにModerneと書くなら、フライングVやエクスプローラーにもロゴを入れてみたらどうだ…と、嫌味のひとつも言いたくなる。デリカシーが無いが、実は見慣れると、これはこれで「カッコよかったりする」のである。
希少なGibsonのモダーンとワランティカード
82年のヘリテイジも、最近ではすっかり市場で見かけなくなった。モデルの希少性からコレクションされている個体が多く、マニアが手放さないからだ。ブラックとメタリックレッドも一緒に写真に収めたいことろだが、今回は2本だけ紹介する。
ホワイトは、デッドミントなのにピックアップがダンカンのゼブラ。シリアルナンバー入りの保証書も健在。
一方ナチュラルのモデルはフルオリジナルのデッドストック。
良い機会なので、コリーナシリーズに付属していたギブソンのワランティをまとめて見ておこう。
Flying V(なぜか表記はIV)今では懐かしい「日本ギブソン」の和製ワランティカードだ。さらにレアなのは、日本ギブソンがオーナーに対して「これは本物のギブソンですよ」というレターを書いている事。しかもなぜか英語。アメリカに逆輸出された個体かな?
これはFlying V Ivoryと書かれているから、白のフライングVのワランティだ。
次はModerne D 027のワランティカード。前出のナチュラルカラーのモダーンが「D 026」なので続き番号となる。
最後はLes Paul Reissue。
そのほかのケースキャンディ(付属品)は、こんな感じだ。
フライングVは専用の二つ折りタグも付いていて、随分力が入っている。
1982年から2019年まで、モダーン熱は定期的に再燃するのだが、ぜひとも「Custom Shop」で、バリバリのコリーナを贅沢に使ったヒスコレバージョンを登場させてほしいものだ。
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