ゼマイティス・ベースのチューンナップ(前編) - Stay with T スピンオフ
トニーがロニー・レーンのために製作したスーペリアモデルのベース。素朴なデザインのピックガードがロニーにすごく似合っていると思います。今回は、このベース用の新しいピックガードを製作するチューンナップを前後編の2回に分けてお届けします。

ここに、一本のシンプルなゼマイティスがあります。

非常にレアなモデルです。これは、「多発性硬化症支援(ARMS)コンサート」のために、トニーがわざわざロニー・レーンの為に作成したスーペリアモデルで、ピックガードに何の彫金もない素朴なデザインがロニーにすごく似合っていると思います。
皆さんは「ゼマイティス」と聞くと、煌びやかな白蝶貝がトップ一面に敷き詰められたり、豪華なエングレイヴィングが施されたメタルフロントを連想することでしょう。


簡単に解説してみると、トニーの製作するギターやベースには、おおよそ3段階のグレードがあります。オーダー主の予算によって、「Superior」「Standard(もしくはDeluxe)」「Custom Deluxe」に分かれていますが、実機を手に取ってみるとトニーはどのグレードでも、同じ素材と労力そして情熱を注ぎこんでいることがわかります。

ピックガードを外して裸にしてしまえば、トニーがどのグレードのギターでも、丹精込めて労力と才能を惜しまずに投入しているのが分かります。制作家にとってはどのグレードでも同じ「わが子」なのですね。

トニーはアルミのプレートをピックガードというよりもボディの一部と考えていたようです。キャビティはこのようにボディを貫通しており、アルミプレートをボディに装着したあとで、ポットやジャック、スイッチなどを裏から搭載していたのです。少々わかりにくいかもしれないので、ネックエンドから説明してみましょう。



指板とボディの間に2mm弱の隙間があるのが、わかりますね。ここにアルミプレートが滑り込むのですが、実はピックアップやトーン・ボリュームポットをプレートに装着したままだと、角度がついてしまい、このすき間にスライドインできないのです。


ピックアップは一度アルミプレートの外側に出してから、改めてボディにネジどめします。








このシンプルなアルミピックガードを纏った「ロニー・レーンのベース」を、チェコの画家「ミュシャ」の作品をモチーフにチューンナップします。
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