70年代以降のGibsonロゴの変遷
ヘッドストックに輝くGibsonロゴは50年代から少しずつ形を変えてきました。今回はカラマズー工場のレフトオーバーパーツの中から70年代以降のロゴにクローズアップします。
目次
70年代にエレキギターを始めた人たちにとって、ヘッドストックに燦然と輝く「Gibson」の6文字は夢のブランドとしてだけでなく、いつか手に入れたい憧れのギターとして脳裏に焼き付いていると思います。今日では比較的安価なギブソン・ギターが店頭にならび、中古だと新品の国産楽器よりも安価な場合がありますから、「Gibson」の文字が持つ意味合いも変わってきているかもしれません。
ご存じの通り、レスポール・スタンダードに搭載されてきた白蝶貝のGibsonロゴは、50年代、60年代、70年代、80年代と徐々に形を変えてデザインされてきました。
70年代のGibsonロゴ
70年代のロゴは少し「くにゃくにゃ」した感じの字体です。68年のレスポール・ゴールドトップはオープン・オーですから年代的には70年に入ってからになります。
角ばったクローズド・オー
一方で71年のレスポール・スタンダード・リイシュー(ゴールドトップのコンビネーションタイプ)は、同じクローズド・オーでも次の画像のように角ばったロゴになります。このロゴは80年代前半のLes Paul 80シリーズまで続きました。
小ぶりなアッパーリンク・オー
一部59 Vintageなどはマスキングされたオープン・オーが復活しますが、82 StandardやLeo's Vintageなどからは、アッパーリンク・オーと呼ばれる比較的小ぶりなタイプに移行します。
悪名高きマスキング・ロゴ
実は60年代後半には、一時期とても横着した「マスキング・ロゴ」が存在しています。このタイプは時間とともにマスキングの黒ペイントが剥がれアウトラインだけの白蝶貝がむき出しになっているものも多く、一時は「偽物」と誤解されていた時代もあります。
ヘッドストック・ロゴの取り付け工程
先程の画像の突き板はカラマズー工場のレフトオーバーパーツですが、このロゴはHollywood(柊)の突き板に事前に前工程として取り付けられたのがわかります。ギブソンのロゴは70年代初期にベークライトの突き板に変更されるまでは、一貫してこの工程を踏んでいますので、ヘッドに突き板を取り付けてからインレイを埋めているという解釈は間違いです。マスキングのロゴのアウトラインは、画像右下の白いシールで、あらかじめロゴを抜けるようになっています。この工程を理解すると、50年代のGibsonロゴが白蝶貝の原型と、マスキングされた形状に若干のずれがあるのが理解できますね。
カラマズー工場のレフトオーバーパーツは、当時のギブソンの生産工程を紐解くのに重要な情報を与えてくれます。まさに考古学のようなプロセスですが、その一つ一つの研究がマニアにとっては新しい発見の連続です。
レフトオーバーパーツが多数あったクラウン・インレイ
最後にご紹介するのはクラウン・インレイです。レフトオーバーパーツにこのクラウン・インレイがたくさん入っていたのは不思議です。もしかするとギブソン社はLes Paul氏との再契約ができない場合には、60年代中期に限定で復刻したクラウン・インレイ・レスポールのように、SGやES-335のようなレスポールをイメージしていたのかもしれません。
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