ギターに比べて高額なZipカバー - 1960年のギブソン・カタログ

1960年当時のギブソンのカタログからレスポール関連のページを抜粋して見てみましょう。今なら表紙を飾るギターは、迷いなくレスポール・スタンダードだと思います。ですが当時のカタログではジャズギターのL-5の豪華なヘッドストックが、地味なイラストとともに登場しています。味があるといえばそうなのですが、もっと写真とかグラフィックデザインとか工夫があっても良い気がします。前半はフルアコとセミアコが登場し、エンドースメントのジャズギタリストが紹介されています。

10ページにいよいよレスポール・モデルが登場します。価格的にもES-330Dと同等の評価でしかなかったレスポール・スタンダードですから、ラインナップの扱いもそれほど華やかではありません。レスポール・カスタムが395ドル(ビグスビー付は470ドル)。なんとビグスビー・トレモロユニットが75ドルもしています。ハードケースは47.5ドルとギター本体の12%もするので、現在のラインナップの価格に置き換えると、ハードケース単体が7万円くらいする計算です。レスポール・スタンダードは265ドルでハードケースが42.5ドル、Zipカバー(ZC-LP Deluxe zipper case cover)が30ドルです。

今なら迷わずスタンダードを購入するところですが、当時は圧倒的にカスタムの存在感がありますね。よく見るとブラックのレスポール・カスタム用ハードケースは、ブラウンのスタンダード用ケースよりも5ドル高額になっています。ギターの1/10もする高額なZipカバーとは、どんなものだったのでしょう。

さて11ページには、レスポール・スペシャルとジュニアが…と思ったら、表記はSGになっていますね。ヘッドストックのLes Paulデカールと矛盾しています。まだカタログにレスポール氏が登場しているので、契約は切れていないようですが不思議です。SG Specialは、CherryもTVも3/4も195ドルの設定で、結構アバウトな印象を受けます。ハードケースはスタンダードと同じ価格ですから、おそらくブラウンケースの設定でしょう。ここにも、Zipper Case Coverが登場しています。ハードケースとZipカバーを同時に購入すると72.5ドルですから、ギター(195)+ハードケース(42.5)+Zipカバー(30)=267.5ドル。私ならレスポール・スタンダードを265ドルで購入してハダカで持って帰りたいですね。

TV Jrに至ってはギターが132.5ドルでケースが42.5ドルと30ドル。これを並列でカタログに掲載するのはいかがなものかと…と思ったら次のページのJrにはハードケースの設定がありません。ここで興味深いのは、メロディーメーカーの2ピックアップモデルは、LP Jrよりも高額だったという点です。よく「安価なメロディーメーカーには低品質なマホガニーやハカランダを使っていたのだ」と実しやかに語られる事がありますが、実際にこうしてカタログに掲載された当時の価格をみると、ギブソンがメロディーメーカーに安価な材質を使って原価低減する理由は見当たりません。事実、50年代後期から60年代初期のメロディーメーカーは高品質で作りも良く、ヴィンテージの中でも最も過少評価されているモデルといえるでしょう。

そして裏表紙です。こちらから見ると耳しか見えませんから、なんのカタログか全然わかりません。 今回ご紹介したカタログは、白黒印刷ながらもギターやギタリストの写真をふんだんに使った42ページにも及ぶ大作です。ヴィンテージギターを購入するとハードケースに入ったままになっていたり、北米のギターショーなどではこうしたカタログを扱っているディーラーもありますので、機会があれば、ぜひ手に取ってみてください。ノスタルジックな味わいのある当時の販売活動が伝わってきます。

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Vintage Maniacs Shopのおすすめアイテム

Vintage Maniacs復刻Zipカバー

1952年に誕生してから60年が経つレスポールの歴史において、もっともレアで貴重といわれてきたアクセサリーが、Zipper Case Coverです。カタログでは、1956年にZC-LPという型番で登場して以来、常にラインナップされていながらも、これまで現存するものがほとんど確認されていないというレア中のレア・アイテムでした。

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