ヘッドストックに輝く白蝶貝のGibsonロゴ・インレイ

今回はギブソンのレスポールに搭載された白蝶貝のインレイ・ロゴを、カラマズー工場のレフトオーバー・パーツに混ざっていた1,000枚程のいろいろなモデルの突き板からセレクトして参照しながら詳しく見ていきましょう。

ギブソンファンにとって、ヘッドストックに輝くブランドロゴは常に憧れの象徴です。シルクスクリーンであれデカールであれ、そして白蝶貝であれ、エレキギターのヘッドストックに「Gibson」の文字が入っていれば、オーナーはそれで“Good enough=幸せ”になれたのです。なぜならそれはGibson社がつくったギターだけに許されるマークだからです。

今回はギブソンのレスポールに搭載された白蝶貝のインレイ・ロゴを、カラマズー工場のレフトオーバー・パーツに混ざっていた1,000枚程のいろいろなモデルの突き板からセレクトして参照しながら詳しく見ていきましょう。ロゴのシェイプ自体は年代毎に微妙に変化します。これは良く見なければ見落としてしまいそうな微細な変化ですが、一度気になりだすと、とことん気になるやっかいな代物です。またインレイを埋め込むフィラー/パテによっても仕上がり形状が異なって見え、パーツよりも製造作業時の差が大きいのが特徴です。

次の写真のCut sampleは、正確なロゴのシェイプをトレースするために、スキャンしてレーザーで切り出したものです。

Gibsonロゴをレーザーで切り出したサンプル

突き板から分解(長時間溶剤につけてパテを溶かす)して取り外したロゴを観察すると、当時の加工機の精度からは想像できないほど正確に切り出されているのがわかります。

突き板から外れたギブソン・ロゴ

このロゴは震災で損壊した57年のゴールドトップのヘッドストックからサルベージしたもので、ロゴシェイプとしては60年初期まで続く、もっとも精度の高い時期といえるでしょう。

54年のゴールドトップに搭載されているロゴは、切り出しからパテまで一貫して上品かつ丁寧です。突き板の切り込みもしっかりしているため、浮きやヒビが少ないです。

56年のレスポール・スペシャルも同様に、表面のラッカーが取れてもマスキングなどの余計なごまかしが無い分、ロゴのアウトラインが綺麗に出ています。

さて次回は、いよいよ59年の白蝶貝ロゴを見ていきます。

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Gibsonヘッドストック・ロゴの移り変わり - 50年代~60年代
50年代のGibsonロゴは切り抜き精度が高く60年代とは決定的に異なって見えます。そして50年代のロゴは、59年前半と59年後半の2種類に大きく分けられます。これらを見分けるには、“b”の肩の部分や、“O”の内円に注視すると良いでしょう。

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