ヴィンテージ・レスポールに搭載されたギブソンのノブ

ヴィンテージ・ギターパーツの中で当初から人気が高く、80年代以降マニアの間でスペックの研究が進んできたのがコントロールノブです。年代別の仕様など、すでに周知されている事も多いパーツですね。今回はレスポール・スタンダードに搭載された50年代のノブをメインに見てみましょう。

ヴィンテージ・ギターパーツの中で当初から人気が高く、80年代以降マニアの間でスペックの研究が進んできたのがコントロールノブです。年代別の仕様など、すでに周知されている事も多いパーツですね。今回はレスポール・スタンダードに搭載された50年代のノブをメインに見てみましょう。53年以前にアーチトップなどに搭載されたナンバーレスやトールバレルを除くと、レスポール・スタンダードに搭載されたノブは次の3つです。左から55年、59年、60年のタイプです。

1つ目はレスポール・ゴールドトップに55年前後まで搭載されたバレルノブ(スピードノブ)です。

ローレットの数は31ステップ。ヨレやタレのないキレイな抜き型で、当時のプレッシャー成型とは思えない精度です。アメリカンなダイナミズムを反映したメリハリのあるインダストリアルデザインは、当時のギブソンがまだギターのデザインについて固定観念のある、コンサバティヴな時代の名残といえます。今日でも54年モデルのギターが復刻されていますが、ヴィンテージノブの天面から見たローレットの美しさをぜひ再現してほしいものです。

2つ目は59年垂涎のトップハットノブです。ES-125などから外して転売するという行為がeBayで横行しました。

ローレットは31ステップを維持しています。通常、金型で突起部分を引く時にサイクルタイムが短いと必ずタレが発生するのですが、当時はよほど丁寧にゆっくりと成型していたのでしょう、内側のアーチは美しく、ゴールドフレークと相まって優美な曲線を描いています。

ギブソンのノブは裏から見ると必ず1か所にライナーの跡があります。実はこれは近年の成型品でも多キャビ取りですと似たマーキングが出ますので、あまり判別のポイントにはなりません。お手持ちのノブをぜひチェックしてみてください。

先ほどの写真はデッドストックのノブで、裏側のゴールドに錆びは見られません。ギターに搭載されていたギブソンのヴィンテージノブでは、保存状態の良い個体でも湿度変化などで緑色に変化するのが一般的です。

デザインはアールデコ調の美しいサイドスカートに伸びる曲線、天面から眺めた時の円形の重なりなど、随所に当時のデザイナーの卓越したセンスがうかがえ、後世に残る完成型をなしています。エレクトリックギター黎明期のノブが、50年経った現代でもミュージシャンや多くのコレクターを惹きつけて止まない、それほどすばらしいデザインなのです。

3つ目はメタルプレートが付いた60年のリフレクターノブです。

退色しないチェリーサンバーストのレスポールに似合うゴージャズなノブですが、トップハットノブの天面に単にプレートを貼り付けたのではなく、ここでも金型修正をしています。メタルプレートが沈み込むように周囲を持ち上げて耐久性を上げています。

しかし、この天面の深さがかえってローレットとの厚みを薄くし、衝撃によりポットのシャフトが貫通するというトラブルが多発します。このゴールドノブは、これ以降ファイヤーバードやメロディーメーカーなど多くのソリッドギターに搭載されますが、途中でローレットの深さが変更され耐久性が向上します。左右のメタルプレートノブで、中央部分の深さが異なるのがわかると思います。

現在の復刻パーツの中にはヴィンテージとほとんど見分けのつかないブランドもありますが、多くは数字のフォントを細かくみると区別点を自分なりに発見できますので、拡大写真を参考にしてみてください。一般にレプリカと見分けるときに比較的差が出やすい箇所は、数字の“5”と“8”と“9”だといわれています。とくに“8”は団子を2つならべたような上下対称の形になっています。

ヴィンテージのノブは経年によるゴールドフレークの緑化、本体のアンバー化に加えて、ヤニの付着などで外観の印象がかなり異なります。次の画像は同じヴィンテージノブの比較ですが、左がデッドストック、右が使い込まれたESモデルのものです。

おそらくギブソンが80年代に59 Vintageや59 Reissue、コリーナのエクスプローラーなどに搭載したアンバーノブは、このような経年変化した個体をサンプリングしたと思われます。ゴールドフレークも錆びにより浮いたような凹凸をつくりますから、これらをコピーしたとすると80年代のギブソンの復刻ノブは、エイジドの復刻としてはかなり正確だったといえるでしょう。経年変化の比較を表と裏から4タイプ比較しておきます。裏にスパイダーウェブがあると嬉しくなりますね。

ゴールドノブとブラックノブの比較をしておきます。もともと成型機から出てきたクリアーの状態では同じものですから違いは色だけです。

メタルプレートのバージョンも同様です。

ヴィンテージのノブはゴールドでもブラックでも、ブラックライトには同一の反応をします。画像はヒストリックコレクションのノブとヴィンテージの比較です。

さて最後に著者の一番好きな「70年代のバレルノブ」をご覧ください。59とはまったく関係ありませんが、さすがにギブソン直系だけあって“5”や“6”のフォントに歴史を感じます。

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