ギブソンのヴィンテージ・ピックアップリング (50~70年代)

レスポール・コレクターのみならず、レプリカギター・オーナーやヒスコレ・ファンから最も復刻を望まれたパーツが、クリームカラーのトール・ピックアップリング(エスカッション)でした。59 Vintageなどプレミアム・リイシュー黎明期には、ようやく従来の低いエスカッションからトールエスカッションが復刻されましたが、不揃いのレッグや“M-69”の刻印など、詳細な形状の再現までは達していませんでした。それでもフロントとリアともにエスカッションが高いことで、ルックスが大きくオリジナルに近づいた事は嬉しい発展だったでしょう。

今回は吉野一さんの協力により、「Beauty of the Burst」にも登場しているオリジナル・レスポールから、大変コンディションの良いピックアップリングをお借りできましたので、50年代当時のブラック・リングから70年代までを簡単に写真で追ってみたいと思います。

まず、レスポール・スタンダード・ゴールドトップに稀に搭載されていたブラックのM-69リングです。

これも非常にコンディションが良いのでディテールをご覧ください。ゴールドトップにはSnowy White所有のモデルのように、もともとブラックパーツが搭載されたモデルもありました。

次に、69年頃から登場する足の無いトールエスカッションです。金型全体が新規になるため、パーツ番号も“M-69/MR490”から“M8-/788”へと入れ替わります。

これらの中間時期に搭載されたのがM-69リングを低く削ったもので、SGレスポールや70年代のカスタムに一部搭載されています。70年代は、これら50年代のレフトオーバーパーツの流用と、新しい“70/595”タイプの混在になりますが、概ねES-335/175にはトールエスカッションのまま搭載されているケースが多いようです。

では、それぞれの文字と細部を順番に見ていきます。

M-69のMが欠けているのは近年のレプリカパーツでも再現していますが、MR-490のMが垂れているのは再現がなかなかむずかしいディテールです。またウェルドラインの模様、バリなどは、金型独特のシャープなもので、シリコン型の安価な手作りコピー品では太ってしまうため似た感じになりません。フロント用とリア用でM69サイドの数字が異なっているのがわかります。

次のピックアップリングは、70年代に多くみられる“M8-/788”タイプです。マウントスクリューのガイドとなるレッグが省略されるため、経年によってヒビが入るものが多く、オーナーを悩ませるパーツのひとつです。さらにエレベーション・スクリューのホールにも裏側の補強がなく、ここからクラックが入ってエスカッションとしての機能が低下するものも多くみられます。50年代にしっかり作っていたパーツを70年代に改悪した理由はわかりませんが、工製作工程での取り付けもレッグの無いエスカッションは明らかに作業性が悪いようです。

最後にクリームカラーの1959年M-69エスカッションを見ていきましょう。

さすがに迫力があります。90年代には北米のギターショーで3,000ドル以上をつけていた伝説のヴィンテージパーツで、このパーツが搭載されていたギターはレスポール・スタンダードのほか、一部のバーニー・ケッセルや295のオーダー品ですから、レア中のレアになります。

裏側のバリやレッグ部分の垂れも迫力満点です。M-69側のエレベーション・ホール裏側はバリが出ていません。

さらに細かく見ていくと、裏側のストレートラインが非対称になっていて、MR-490側はシングル、M-69側はダブルラインになっているのがわかります。

現在では、いろいろなレプリカパーツが登場していますので、ブラックライトの反応や詳細などを見比べ、吟味して、愛器をドレスアップするのも楽しみのひとつですね。

70年代にはソリッドボディ・ギターにもさまざまなモデルが登場し、ピックアップリングも四角に加えて五角形や楕円形も登場します。バリエーションが増えパーツの互換性が無い事が、修理対応する楽器店の頭を悩ませることになります。ギブソンがディーラー向けに配布したパーツリストの分厚さからも、複雑になるギブソンのモデルとパーツの関係がわかります。

最後に私が一番気に入っているデザインのピックアップとエスカッションをご覧いただきましょう。

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