魔性のトライアングル・ボタン

以前「私が一番気に入っている美しいデザインのペグ」として紹介した、80年代に登場するシャーラー製のメタル・トライアングル・ボタン・ペグ。今回はクルーソンやグローバーの同ペグもご紹介しつつ、径の大きい特殊なスペックのブッシュも見ていきます。

左右どちらにも使えるペグ

2015年5月に、「クルーソン・ペグを年代別に分析」という記事を書きました。おもに、ヴィンテージのシュリンクボタン・シングルラインをクローズアップして分解写真などで解説したのですが、その時、最後に「私が一番気に入っている美しいデザインのペグ」としてご紹介したのが、80年代に登場するシャーラー製のメタル・トライアングル・ボタン・ペグです。

メタルカバーの中に重厚なシャーシが入っています。

このペグは、1・2・3弦用と4・5・6弦用が簡単に兼用できる便利なデザインになっていて、且つクルーソンっぽい外観にロートマチック並みのスタビリティを兼ね備えています。

内部構造を見てみましょう。シャーシとパーツを止めているのは、この「1枚のカッパー色のプレート」です。

プレートをフックから外すと、このように持ち上がります。(画像の「→」部分) 

プレートが外れると、内側のギアとシャフトが現れます。たっぷりとグリースが塗られていて、回転は滑らかです。

ギアとシャフト部分は簡単に分解できますので、バラバラにするとこんなパーツ構成ですね。

実は、この設計は大変便利で、左右を入れ替えることができるのです。 

シャフトは強い衝撃が加わると、思いのほか容易に折れます。ペグが壊れたときに、「交換用に入手したバラの左右が合わない…」という経験はありませんか? 

そんな時でも、なんとかなるのです。

シャーラー、クルーソン、グローバーの「樹脂ボタンばなれ」

ギブソンが70年代まで長期に亘り採用してきた「Kluson」は、樹脂製ツマミが特徴でしたが、70年代中期になると、金属製ツマミの「Kluson」が登場します。

写真の真ん中の個体です。74年製のフライングVなどでおなじみですね。

その後、Groverにもトライアングル・メタル・ボタンが登場しましたので、同じ時代のなかで、「Schaller」「Kluson」「Grover」のメーカーが、ギブソン用にトライアングル・メタル・ボタンを供給していたことになります。実は、Schallerは70年代初期に、M6のボタン形状をトライアングルにしたGibson刻印モデルも製造していますので、随分と「樹脂ボタンばなれ」した時期だったことが伺えます。

ここまでの4モデルをならべてみましょう。

ヘッドの表側からはボタン部分しか見えませんから、どのモデルを搭載していても、概ねヘッドストックまわりのデザインには共通した印象を与えることができたのです。

特殊なスペックのブッシュ

80年代初期のフライングVは、しゃもじヘッドとフラワーペグのマッチングが最高に素敵です。ブッシュ径が大きいので、Vヘッドにマッチしていて豪華です。

遠目に見ても、ヘッドのデザインが落ち着いています。

実はEarly 80'sフライングVのオーナーには、このペグが泣き所。壊れると、リプレイスを見つけるのが至難の業です。とくに「ブッシュ」は、共通サイズがない特殊なスペックですので、交換の際には失くさないように、細心の注意が必要です。

通常のKlusonブッシュと比較してみてください。

ね、大きいでしょ? T

いつみても、美しい、トライアングル・ボタンのペグ。まだまだ興味はつきません。

シャーラー製メタル・トライアングル・ボタン・ペグ

このほかにも、まだまだ種類のあるトライアングル・メタル・ボタン・ペグですが、往年の樹脂ツマミ台頭に押されて、90年代には一時はディスコンとなってしまいました。リプレイスメントを探しても、なかなか入手に苦労しているのですが、近年Klusonが復刻モデルを発売したのは嬉しいニュースでしたね。最後になりますが、この「シャーラー製メタル・トライアングル・ボタン・ペグ」のオーナーから、よく質問を受けるので、ご紹介しておきましょう。シャフトの長さは、長いモノや短いバージョンが混在していますので、あまり気になさらずに(笑)

Gibsonロゴとフラワーの刻印……何度見ても美しいデザインですね。

シャーシには「made in Germany」の刻印がある。

 次に読むなら

シャーラーのペグとギター殺人者の呪縛
W. Germany製でもレアなセンターリグのSchaller M6ペグを追いかけ続ける筆者と、ロンドン在住のSchallerマニアが繰り広げるディープな話。

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