ヒストリックコレクション黎明期 - 40周年アニバーサリー 1959~1999
1999年のNAMMショーでギブソンブースに展示されていたレスポール・スタンダードは40th Anniversaryと命名され、これまで“Accurate(正確)”といわれていたヒストリックコレクションから、さらに信じられない程進化していました。
1999年のNAMMショーでギブソンのブースを訪れたディーラーは、さぞ驚いたことでしょう。そこに展示されていたレスポール・スタンダードは「40th Anniversary(1959~1999年)」と命名され、これまで“Accurate(正確)”といわれていたヒストリックコレクションから、さらに信じられない程バージョンアップがなされていたからです。ディーラーに告げられた予定価格もさることながら、取り扱えるショップは限定、供給本数も限定と、品質を重視したマーケティングも話題となり、ニュースは北米のみならず欧州や日本のレスポール・ファンに瞬く間に届きました。
画像にあるように、この年のヒストリックコレクション・レスポール・スタンダードは40thアニバーサリーと呼ばれ、通称ではなく添付される保証書にも、その名称が記載されていました。1999年製の中でも、ピンクバックと呼ばれる初期の3ケタシリアルは、マホガニーの質、メイプルの美しさ、ラッカーの薄さ、作りの良さなどから、現在でもマニアの間で高額で取引されているプレミアムモデルです。ここでは、当時個人輸入したギターの写真や手元に残っているリーフレット、保証書などを見ていきましょう。
まず北米で頒布されたリーフレットです。ギブソンがこのヒスコレに注いだ意気込みを感じさせる出来栄えですね。しかもこの「40thヒスコレ・レスポール」を扱える楽器店は北米に27店舗しかありませんでしたから、運が悪いとギターを見るために愛車でハイウェイを10時間以上飛ばさなければいけない地域もありました。
ギターを購入すると、フレイム・メイプルトップのかっこいいアンプのリーフレットが入っていました。これは北米限定モデルで、店頭ではほとんど見かけなかった気がします。今見てもかっこよくて、ぜひ再生産してほしいアイテムです。
ファンにとって嬉しかったことがあります。初期モデルはブラックのカスタムショップ・ハードケースに入って届けられますが、付属のワランティカードをギブソン社に返送してユーザー登録をすると、ブラウン・スリムケースを無料で送ってくれたのです。
実はこのキャンペーンは北米限定だったのですが、当時のGeneral ManagerであったRick Gembar氏のご厚意で、日本のファンにも希望者には適用してくれたという経緯があります。山野楽器は当初このキャンペーンについては何も告知していなかったので、もしかしたら知らずにブラウンケースを受け取り忘れている日本のオーナーもおられるかもしれませんね。ちなみにブラウンケースが贈られてきたときのシッピングレーベルが残っていたのでご覧ください。またギターにはレスポール・サンバーストのプリントされた大きなギター型テーブルを購入するクーポンなども同梱されていました。
発売当初、AAAのフレイム・メイプルに混じって「ハードロック・メイプル・プレーン」という限定モデルも登場しました。
これはAAAと呼ばれるストライプのトラ目(北米では当時ジャズギターのバックに採用されるような細いフレイムがAAAとされていた)に対して、ワイドなものを「プレーン」と呼んでいただけで、実際にはマニア好みの綺麗なかっこいいトラ目が多く見られました。
また最高級のメイプルをあしらった「Killer Top」というグレードも少数ですが販売され、通常のAAAフレイム・メイプル・モデルの1.5倍もの小売価格がつけられました。
そしてこの秋にはトム・マーフィーという名前とともに、“エイジド”とよばれる人工的に古くみせる加工を施したギターが初めてヒストリックコレクションに登場し、今日のヒスコレの基盤が揃ったのです。
2009年に50thアニバーサリーを迎えたレスポール・スタンダードの進化と退化。いまだに手に取るだけで胸躍る、美しい木目とクラフツマンシップの融合を満喫しましょう。
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