2004年のGibsonカタログ(前編) - モノによる記憶の解凍
2004年のギブソンのカタログには、往年の名器の復刻からアーティストモデルまで、豪華なギターが多数掲載されています。読み甲斐のあるこの一冊を、前後編に分けてじっくりとご紹介いたします。
目次
2004年は稀に見る豪華なラインナップ
2004年はギブソンのヒストリックコレクション史上、稀に見る豪華なラインナップを誇った年でした。1999年の復刻レスポールの成功に気をよくしたCustom Shop Divisionが、これでもかと往年の名器を復刻したばかりでなく、数多くのアーティストモデルをカタログにラインナップしたという意味では、特別なモデルもカラーで紹介されていて、読み甲斐のある一冊だと思います。順を追って紹介していきましょう。
夢を叶える作業をしています
ページをめくると、まずは工場内部のスナップ写真です。「336のネックジョイント」と書かれていますが、ここにどんなセッティングでネックが置かれて、どう接着(切削加工かな?)されるのか…。
往年のカラマズー時代、ディーラーに頒布されたパンフレットのようで見入ってしまいます。
「カスタムショップでは単にギターを組み立てるのではなく、夢を叶える作業をしています」って、カッコいいですよね。「ウッドのセレクションから最終アッセンブリーまで、すべての工程が単なるマシーンではなく、仕事に情熱を傾ける一人一人の工員によって、最高のギターを作るというプライドのもと、注意深く行われている」この表現は、ギブソンだからこそ説得力があり、さらにその最高峰であるCustom Shopだから宣言できるQualityなのです。ページをめくるのが楽しみになってきました。
次の写真はセミホロウボディでしょうか、バインディング部分の塗装を削るギブソン独特の作業風景が紹介されています。ギブソンは、この工程がお気に入りのようで、古いカラマズー工場の紹介パンフにも似たような写真が掲載されています。
レスポール・スタンダード
いよいよギターの紹介です。トップはもちろんレスポール・スタンダードのサンバースト。
この時代はすでにアルミテールピースで、ピックアップはバーストバッカーです。意外にもカラーは「Washed Cherry」「Faded Tobacco」「Iced Tea」の3色しかありません。ただし、Tom Murphyエイジドとカスタムカラーのオプションも記載されており、この頃からカラーバリエーションが随分増えた記憶があります。
レスポールそろい踏み。
特筆すべきは、52年モデルをブランコテールピースで復刻している点でしょう。
後の2009年、レス・ポール氏没をトリビュートして発売された「Les Paul Tribute 1952」に搭載されたテールピースがちょっとごつくて不細工だったのに比べると、ここではオリジナルに忠実です。
レスポール・カスタム
レスポール・カスタムにも随分と気合が入っています。
そもそも、しょっぱなにJeff Beck愛用の「Oxblood」を出してくるあたり、「黒いギターならべとけ」って安易な印象もぬぐえませんが…。
次のカスタムは、2本ともちゃんと「アーチド・マホガニーボディ」となっていて歴史に忠実です。
注釈に謎のコメント「2PUあります。マーフィーエイジドできます(ただし2PUのみ)」。こんなことを書かずに写真を載せれば良いと思いませんか?(笑)
日本市場で見たことがなかったので存在をしりませんでしたが、「1V 3T」という画期的に奇妙なモデル「マスタートーン」。そもそも、ヴィンテージにこんなカスタム仕様があったということでしょうか。
SG、フライングV、エクスプローラー
いよいよ私の大好きなSG…と思ったら、レスポール・ジュニアが前頁で2機種紹介されているのに、SGジュニアがない。
コリーナのエクスプローラーとフライングVが並んで掲載されていて興奮します。みなさん、よく見てください。ヒスコレのGibsonレイズドロゴはクロームですよ。
たしかに、ヴィンテージのコリーナVを見ると、レイズドロゴのゴールドメッキは薄くて、経年によってクロームと見分けがつかなくなっていますが、ゴールドパーツとのコンビは、なんとなくヴィンテージフィール溢れる気がします。
レスポールの干物
前編最後の写真は、おなじみ「レスポールの干物」です(笑) 一番手前のバーストは左用ですね。よく見ると奥から3本目と7本目もレフティです。
バブリーで絢爛豪華なラインナップを誇った2004年のカスタムショップ。いわゆる「全盛期」ともいえる時代ですが、誰もこの4年後にリーマンショックによる世界同時不況が訪れるとは考えもしなかったでしょう。後編では、ファイヤーバードから多様なアーティストモデルまで、幅広いラインナップが堪能できますのでご期待ください。
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