SG四方山話 その2

「僕のヴィンテージケースは、Gibsonのロゴが消えてしまっています。買ったときから薄かったのですが、最近すごく気になっています。FVさんは、どうしていますか?」

SGシリーズは、これまでのギブソンの歴史の中で、唯一「登場から現在までディスコンされていないモデル」です。その間、ジュニアやスペシャル、スタンダードやカスタムという王道のグレードに加えて、デラックスやプロフェッショナル、Ⅰ・Ⅱなど、数多くの亜種を上市しており、コレクターにとっては、「いつまでもコレクションがコンプリートしない」鬼門ともいえるでしょう。みなさんも、ご自身のSGコレクションを反芻すると、「StandardとCustom以外は、まあ、無くてもいいや…」っていう気持ちになっていませんでしょうか(笑)
(VM編集部注:Jr・Specialオーナーの方々、暴言ご容赦ください)

Dead Mint・タグ付きのSG-Ⅰは、生産効率を追求したフロントプレートのアッセンブリー

当時の価格を見ると、SG-ⅠやⅡは非常に入手しやすいスチューデントプライスです。 スペシャルが385ドル、Ⅰはわずか259ドル。 

70年代の美しいチェリーサンバーストはレスポールへのオマージュ?

ケースキャンディー(付属品)も揃っているWPGのスペシャル。1968~1972年の5年間だけでも8,544本が生産・出荷された、SGスタンダードに次ぐベストセラーモデル。

常に多様化を先取りして亜種を限定発信し続けたSGシリーズにあって、筆者が近年最も注目したシリーズが、上の写真のDeluxeです。カマキリのような鮮やかなグリーンサンバーストに3PU。重厚なビグスビーを搭載した稀有なモデルは、「SGらしくない豪華さ」が災いしてか、ごく短命に終わりましたが、ステージ映えするカラーリングとルックスは、もっと評価されて良いと思うのです。

10年にわたってVintage Maniacsの記事を書かせていただいていますが、思い返すと70年代のSGケースに入っていたマニュアルのイラストを見て「おおおおおおお!! ハードケースって、ボディを前にして持つのか」って。私も階段を上るときは、さすがにこのスタイルですが、当時から推奨されていたとは。 

SGを長く集めてきて面白く感じるのは、スペックとコストの一貫性があまりみられない点でしょうか。このヘッドストックを見ると、みなさんは直観的にスペシャルかなと思われますよね。Gibsonロゴは上位機種スペックの「白蝶貝インレイ」です。ところが、ブッシュがチープな文房具みたいなハトメブッシュになっていて、なんじゃこれは…と。   

ペグ本体はメタルのトライアングル・ボタンですから、裏側はシャーシカバー付きKluson Double Lineなのです。ブッシュくらいケチらなくても良いのに…。

同じに見えて、ちょっと違うStandard Brothers

ここで読者の方からのご質問コーナー。「ヴァイブローラアームを留める固定ネジは、プラスですか?マイナスですか?」。難題です。クローズアップで見てみてください。これはプラス。私が入手したときからこのままです。 

でもスクリューヘッドに対して「+」のミゾが小さいし、アーチがタコの頭みたいなので、前のオーナーがオリジナルを失くして交換したんですね。日本だと同一スペックのインチネジを探すだけでも大変ですが、アメリカのホームセンターにいけば、ネジマニアが狂喜するようなインチネジがザコザコと置かれています。日本から一番近いのはハワイかな? 旅行されるときは、ぜひ覗いてみてください。アマゾンUSAでも買えるのですが、やっぱりアレコレ触りながら選ぶのって楽しいですよねえ。

※筆者が愛用しているホームセンターは「THE HOME DEPOT」。インチネジはもちろんのこと、タイトボンドやゴリラボンドも普通に置いてあります。クルマだと海沿いに西へ走って、リリハベーカリーを越えてすぐ。

次のご質問です。「僕のヴィンテージケースはGibsonのロゴが消えてしまっています。買ったときから薄かったのですが、最近は写真撮影のときに、ちょっと気になっています。FVさんはどうしていますか?」 うーん、ヴィンテージだから「そのままが良いと思います」って回答したいところですが…。私も「カレンダー撮影のときや、コレクションとして並べたときに、ロゴ無しだと気になってしまいます。ズバリ、自分でレストアすることもありますよ。  

ロゴがないと、なんとなく締まらない背後のハードケース
憧れのGibsonロゴ

では、10分レストアのスタートです(笑)

①ロゴありとナシ。ロゴの角度は規則性がないので、レストア時はあまり気にしていません。

②このチップボードケースは、見事にロゴが消えています。

③オリジナルからコピーしたロゴを型紙にして、ステンシルを作ります。

④ロゴ周囲にカッターで切れ目を入れ、ケースに貼り付けてからGibsonロゴ部分を剥がします。この時に注意が必要なのは、決して「ケースに貼ってからカッターで周囲に切れ目を入れたりしないこと」です。すごく不自然になるので、必ずシールを台紙から剥がす前に切れ込みを 入れましょう。

⑤綺麗にステンシルができたら、タミヤカラーのシルバーに少しだけブラックを混ぜて色調整します。できたら、版画で使うようなタンポを使って、上からポンポンと叩くようにラッカーを塗りつけます。

⑥できました。いかがでしょうか。

お手軽なレストレーションとして、楽しいDIYです。もともとのGibsonケースも、ロゴはワーカーの人がひとつひとつ手作業していたので、シボ部分にインクが入ってなかったり、雑だったり、あじがありますね。

消えかけたハードケース・ロゴをどうするか…。気にしなければどうってことないのに、気になりだすと夜中に目が覚めたりする厄介な(笑)ディテール。 ニーズがあれば、ステンシルをレーザーカッターできちんと作っちゃおうかとも思う今日この頃です。

ギターは、買ったまま前のオーナーの弦も変えずににコンディション維持するのが嬉しい私ですが、ハードケースはチマチマとステッチを縫ったり、こうしてロゴを入れ直したり、ハンドルのリペアをしたり。皆さんも、交換部品も手に入りやすいので、壊れたまま使い続けて致命的なダメージを負う前に、ぜひちょこちょこ直しましょう。

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