魅惑のコンバージョン

コンバージョン・サンバーストとの付き合いは、永遠に続く「チューンナップ」の旅路。ノスタルジックに表現するならば、「美しさを求める自己満足」。それゆえに妥協のない愛情が随所に注がれ、日を追って「自分のコンバージョン」に進化していく。

ヴィンテージギター・ファンにとって「50年代のレスポールを手に入れる」ことは、クルマ好きが「いつかフェラーリを所有する」ことにも似た、カリスマ的ノスタルジーが香ります。「手に入れる」っていう響きが、このうえなく素敵でしょう?

センターオフのトラメが、いかにも「コンバージョン」という威圧感に溢れています

しかし、2,000本にも満たない50年代のサンバースト・レスポールは、追いかけていても、追いかけても、追いつかない、陽炎のような存在。だから、こうして「コンバージョンのレスポール」が甘くささやくのです。「まあ、俺を弾いてみな」って。「ぶっとぶぜ」ってね。

もともと50年代初期個体でシリアルは「ブランク」

ここに置かれた「コンバージョン」は、バーストを追及するファンにとって、まさに「満たされない欲求を叶えてくれる」美しい個体です。オーナーのご協力をいただき、ディテールを見ていきましょう。

まず、全体に漂うヴィンテージ感がすごいです。ゴールドトップからフレイムトップのサンバーストにコンバージョンする場合、トップを貼り替える個体も多い中、本機のようにゴールドトップの下に隠されていたフレイムトップがそのまま拝めるのは貴重ですね。そして、なによりもセンターオフとなる継ぎ目が豪快です。

コンバージョンの場合、元の個体がはっきりと判別できるチューンナップはうれしいですね。ネジ跡も無理に隠そうとせず「あ、ここのネジ穴埋めたのね」っていう履歴がわかることは、オーナーにとって安心感にもつながります。

フィンガーボードとポジションマークは元の個体そのままなので、グッとくるカラーと模様です。ヴィンテージならではの風格。ネック裏も無理な加工はをせず。自然なままのダークなマホガニーカラーが視認できます。

ネックジョイントのアーチが綺麗に残っています
チェリーのカラーがビビットで「60年SB」というイメージもあり、マニア好み

ヘッドのGibsonロゴ、シルクスクリーンLes Paul、そしてシュリンクペグ。直観的に「ヴィンテージ」と認識できるこれらの部分は、ヘッドストックの重要な要素でしょう。50年代前半のゴールドトップをコンバージョンしているので、本来Gibsonロゴはもう少し下にあったはずですが、位置を補正しながらも、シルクスクリーンがしっかり残っているのがうれしい。手がけたルシアーはどうやったんだろう。

 コンバージョンの場合、「近くで見た印象」と「離れて見た印象」の、いずれもがしっかりとヴィンテージ・テイストを維持していると、満足度が高い。

トップ:表の近影と遠影
バック:テールピース・ネジの跡も勇姿

パーツは、ギターを手に入れてからじっくりとチューンナップする楽しみがあります。あせらずに、順序だててリプレイスしましょう(笑)

ペグはシングルライン・クルーソンのヴィンテージを搭載していますが、ボタンがシュリンクして崩壊している個体が多いので、ルックスと実用性を勘案して、英国製シュリンクボタン搭載のヴィンテージ・クルーソン。このボタンは2026年現在、製作家のJulianがもう作っていないので、結構貴重かもしれません。

カッタウェイ部分からノブまでを割って通る、メイプルトップの継ぎ目
弾き手から一番近くに見えるトグルスイッチは、ヴィンテージ・テイストがよく出ている
スタッドボルトを埋めた部分もわかりやすいレストア
伝家の宝刀「HystericPAF」搭載

コンバージョン・サンバーストとの付き合いは、永遠に続く「チューンナップ」の旅路。ノスタルジックに表現するならば、「美しさを求める自己満足」。それゆえに妥協のない愛情が随所に注がれ、日を追って「自分のコンバージョン」に進化していく。そういう工程が大切なヴィンテージとの関係に思えて、オーナーが羨ましいのです。

P-90をハムバッカーに改造したキャビティ
ポット、キャパシタは大切なオリジナルパーツ
ここは次回レストレーションのターゲットですね

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