白い恋人たち SGな週末 (前編)

桜の季節に白いSG! 今日は満開の桜を背景に、1978年のSGカスタムを撮影。以前にも紹介したピックアップの位置の再確認の他、長年見落としていたロッドカバーの仕様変更についても見ていきます。

桜の季節に「白いSG」

桜の季節になると、FVC(Fukazawa Vintage Club)も衣替え。ガレージからマホガニーの折り畳みテーブルとチェアーを引っ張り出して、オープンテラスにセットします。ギターと一緒に日光浴しながら、友人が遊びに来てくれるのを待つのです。今日は「SG Customへの贖罪 番外編」ともいえる、78年のクローズアップと、カレンダー用の桜満開カット撮影をしました。

日本(NipponではなくてNIHON)ギブソン正規輸入の証明、剥がれない「Gibsonシール」が萌えますね。ギブソンの70年代フラワーロゴ、いつか復刻してほしいなあ…。SG Customは、73年前後にシングルピックガードに仕様変更されてから、理由のわからない(笑)スペック変更を繰り返します。「チッチキチーな土曜日 SG Custom 3つの再発見」でも、お話しましたが、画像のモデルは70年代最後期の「ピックアップが離れているが、ネックエンドにフロントPUが引っ付いている」タイプになります。

ブリッジがワイドトラベル・チューンオーマチック・ブリッジ(通称:ハーモニカブリッジ)で幅が広いため、PUリング同士の間隔を空けると、おのずとフロントPUの位置はネックエンドに引っ付くレイアウトになりますね。

だからといって、3つのピックアップが引っ付いて、ネックエンドとフロントPUが離れている仕様から、わざわざピックアップキャビティをルーティングするテンプレートを変更してまで、この「数ミリ」を変更した理由が不明です。

ロッドカバーの「長年の見落とし」

あらためて、この78年SG Customを見ていると、ヘッドストックに「あれっ?」と思う変化点が、ひとつ見つかりました。みなさんは気づかれましたでしょうか。

そう、そうなんです。ロッドカバーが、こうなってるんですよ。

最初にこの個体を見たとき、「あれ? ロッドカバーが交換されてるのかな?」と思いました。SG好きを自負する私としては、あきらかに「長年の見落とし」として贖罪のポイントです(笑) 当時のカタログをよく見ると、ちゃんと「S-G」になっていますね。それまでの「Custom」の刻印が「S-G」に変更されていたのです。

しかも、刻印ではなくてプリント文字。「SG」ではなくて「S-G」です。

いやあ、びっくりしました。こんなことするなら、スタンダードには「Standard」、カスタムには「Custom」、デラックスにはレスポールのように「Deluxe」と、それぞれ刻印してほしかったですよね。

搭載パーツをクローズアップ

さて、70年代のギブソン社は、SGモデルに積極的にビグスビー搭載モデルを展開していて、ユニット本体のロゴも「Gibson」になっています。

しかし、ビグスビーというビブラートユニットは、いつ見ても曲線が美しい。よくこんなデザインを思いつくものです。このショットが今回の撮影で、一番のお気に入り角度です。

せっかくですので、恒例の「パーツクローズアップ」を。ゴールドのストラップピンは、アルミにメッキの60年代から、ブラスにメッキの70年代に移行しています。

PUリングのスクリューは、溝が頭まで切られている70年代スペックで、50年代~60年後期までの仕様と異なります。ワイドトラベル・ブリッジは、エレベーションスクリューの頭がつぶれてしまっている個体が多いのですが、これは綺麗に残っています。弦高調整のときに、丁寧に扱われたのがわかりますね。

ブリッジを搭載して弦を張ったまま無理にスクリューを回すと、こうなってしまいます。

ピックガードは5プライに移行していますが、肉厚感はなくてスリムです。

さて、いかがでしたでしょうか。桜の季節に「白いSG」の撮影。

来年のカレンダーに掲載するのが楽しみなショットが撮れました。マック・ヤスダさんの写真集にも、神社の境内や居酒屋、紅葉や椿など、沢山の和風なシチュエーションが登場していて、Japanの文化に定着したヴィンテージギターのカルチャーを伝えてくれています。四季おりおりの豊かな風景をバックに、気が向いたら是非ギターの撮影に繰り出してみましょう!

後編は、ポラリスホワイトのヴィンテージSGスペシャル登場です。

 次に読むなら

チッチキチーな土曜日 - SG Custom 3つの再発見 その1
レスポール・カスタムの存在感にくらべ、SGカスタムというモデルがいかに「ぞんざいな扱い」を受けてきたかを証明するかの如き出来事が2021年1月に起こってしまった。このシリーズは、筆者の私見と回顧をもとに綴った「SG Customへの贖罪」である。

掲載されている文章および画像の無断転載・引用(ソーシャルボタンは除く)は固くお断わりいたします。

 Vintage Maniacs Shopのおすすめアイテム

Vintage Maniacs Magazine Vol. 1

Vintage Maniacsのブログに著者コメントを追記し、編集・再構成した「Vintage Maniacs Magazine」。全ページフルカラー仕様で、資料としてもオススメです。Vintage Maniacsが切り込むディープでマニアックなヴィンテージギターの世界をお楽しみください。

ショップで見る
Vintage Maniacs 公式Webショップ