ギブソンのチップボード・ギターケース
木製のハードケースと比較すると、強化ダンボールに化粧紙を貼り付けたチップボードケースは、薄く、軽く、壊れやすく、楽器の保護というよりは、単に持ち運びや保管の際に「少し役に立つ」程度のものだったようです。
古いギターカタログをよく見ると、ハードケースの他に安価なチップボードケースがラインナップされているのがわかります。木製のハードケースと比較すると、強化ダンボールに化粧紙を貼り付けたチップボードケースは、薄く、軽く、壊れやすく、楽器の保護というよりは、単に持ち運びや保管の際に「少し役に立つ」程度のものだったようです。
70年代初期にはアジア製ギターの付属品で、アルミサッシで外周を補強した安価なケースもよく見かけましたが、ギブソンのチップボードケースはそれらよりも一段とチープでした。近年では運良く見つけてもラッチが外れたり、内ポケットが損壊していたり、ハンドルが無かったりと散々な形状になっている場合が多く、なかなかオリジナルの良いコンディションをコレクションすることは難しいです。
もともとレスポール・スタンダード用としてはカタログでも推奨していないので、用途としてあげられるのはレスポール・スペシャルやレスポール・ジュニア、SGジュニア、メロディーメーカー、ES-125などになります。
まずはレスポール・シェイプのアリゲーターケースです。これはネックポケットに補強の入った若干厚みのあるケースで、50年代のレスポール・スペシャルやレスポール・ジュニアなどのボディ厚に対応しています。
メロディーメーカーのシングルカッタウェイやサンバースト・ダブルカッタウェイ用のアリゲーターケースも基本的に見た目は同じですが、厚みが若干薄くなります。もちろんレスポール・スペシャルやレスポール・ジュニアも収納可能ですから、当時の店頭ではあまり区別されずに添付・販売されていたようです。上の写真は左から、レスポール・スペシャル/ジュニア用、メロディーメーカー・シングルカッタウェイ用、メロディーメーカー・ダブルカッタウェイ用です。
メロディーメーカーのチェリーレッド・ダブルカッタウェイ用ケースは少し縦長の形状で、ノーマルカラーはブラックです。次の画像はカメムシ・シェイプのメロディーメーカー・サンバースト・ダブルカッタウェイが入っていたケース(左)と、チェリーレッドのメロディーメーカー・ダブルカッタウェイが入っていたブラックケース(右)の比較です。このチェリーレッド用ケースにはサンバースト・ダブルカッタウェイのメロディーメーカーは入りません。一方でSGジュニア用のケースにはアリゲーター柄とブラックの2種類があり、時期的にも混在しています。
それぞれのケースともに、状態が良ければケース内側にギブソン・バッジを見つける事ができます。ですが、もともとバッジが取り付けられていない個体も多く、一般にチップボードケースの仕様にはロット毎の差異があると理解した方が良さそうです。
最後に、レアな70年代のレスポール・ハードケースです。これは1971年の54 Reissue GT Standard用で、Limited Versionとして供給されていました。
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