メダリオンへの憧れ - ファイヤーバード編(1)
71年のメダリオン・ファイヤーバードは、60年代初期のモデルを忠実に再現した上でメダルを搭載した「ネオ・ヴィンテージ」とも呼べるスペックでした。メダリオン・フライングVの復刻プロジェクトに続き、今回はファイヤーバードに注目します。
目次
ネオ・ヴィンテージ
私の中にある「メダリオンへの憧れ」は、フライングV・チューンナップ・プロジェクトでチャレンジした71年のフライングVにとどまらず、今回ご紹介するファイヤーバードにまで拡散していきます。
71年のフライングVは、ただ67年モデルにメダルをつけたのではなく、ヴァイブローラもなければ、ヘッドもこじんまりした、まったく新しいデザインでした。一方でファイヤーバードはというと、60年代初期に彗星のごとく登場したインダストリアルデザインの雄、ファイヤーバードⅤを忠実に再現し、ボディの左肩にゴールドメダルを搭載した「ネオ・ヴィンテージ」とも呼べるスペックです。
71年のメダリオン・ファイヤーバードと60年代初期のリバースモデル、中期のノンリバースモデルを比較しながら、詳細スペックを見ていきましょう。
ファイヤーバードのハードケース
まずハードケースです。
63年のケースは、かなり全長があり、大きい印象を受けます。66年が入れられたケースは残念ながらオリジナルではなく、エクスプローラーなどに付属した、70年代のGibson金ロゴがシルクプリントされたケースです。
71年メダリオンのケースはオリジナルです。
実は、メダリオン・フライングVのケースも同様ですが、ハードケースにもゴールドのメダルが貼付されていました。ただ、釘止めされていなかったので、輸送中に剥がれて取れたりします。接着剤の跡が見えますね。
取っ手の真ん中、わかりますでしょうか。
このハードケースは、SG用のケースでも散見された「Gibsonロゴ両面」タイプです。
間違って両面にGibsonロゴをシルクプリントしてしまったのか、視認性を考慮してわざわざリバーシブルにしたのか…。今回ご紹介できなかった60年代のノンリバケースは、追って写真撮影しますね。もう一度、メダルがついていた部分のクローズアップをご覧ください。
63年のファイヤーバードⅤ
ギターに戻りましょう。63年ファイヤーバードⅤ、まさに不死鳥・火の鳥、アメリカンマッチョで美しいフォルムですね。
71年のメダリオン・ファイヤーバードⅤ
71年モデルも負けていません。メダルが無ければ63年モデルと区別がつかないスペックです。
ところで、このギターを見て「おやっ」と思われた方はおられませんか? そう、そうなんです、ピックアップリングが少し大きめでしょう? 実は、このメダリオン・ファイヤーバードは、手に入れたときすでにハムバッカー仕様に改造されていたのです。
この角度から見ると、わかりやすいですね。
ピックアップを取り外して、ザグリとPUリングを見てみましょう。
なんとも残念な素人作業(泣) それでも丁寧にPUリングを作ったことで、外観はかなりすっきり回復できたと思います。
71年モデルは本体をはじめ、ハードウェアも60年代をしっかりと踏襲していて、ABR-1も好感度が高いです。
しかも「すだれサドル」ですよ、ブラス製の。
バンジョーペグは明らかにレフトオーバーパーツのニッケルです。
パーツを細かに見ていくと、どう考えても60年代と同じスペックに見えますが、中期のノンリバモデルにクロームのロングヴァイブローラが搭載されていますから、安易に「余りパーツの71年」と考えるのは早計でしょう。なんとも不思議です。
60年代と70年代のファイヤーバードⅤを比較しつつ、メダリオンへの憧れはまだまだ続きます。
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