Gibson Flying V 83 - 暑い夏の夜の夢(後編)
前編に引き続き、「しっちゃかめっちゃか」なスペックで世間をあっと言わせたGibson Flying V 83特集の後編です。ケースポケットに入っていた保証書や、ギブソンの当時のカタログを見ながらFV83のスペックをご紹介します。
目次
むちゃくちゃかっこいいハードケース
冒頭から余談ですが、ハードケースはむちゃくちゃかっこいいです。71年のメダリオンケースみたいで、ほれぼれしますね。
この頃から、本体のホールド用あんこがしっかりしています。
保証書と当時のカタログ
ケースのポケットに当時の保証書が入ってました。これは、前オーナーに感謝したいです!
以前はブルーだった印刷がエンジ色に変わっています。
シリアルから判断すると、このFV83は「1985年製で、販売された日付が85年6月20日」です。当時のカタログも一緒に発見できましたのでご覧ください。
ここでも注目はスペック表記です。
一方は「マホガニーボディ」、もう一方には「メイプルボディ」と記されています。となると、アルダーとマホガニーとメイプル、3種類のボディを年代別にマイナーチェンジしていたのでしょうか。
異質なピックアップ「Dirty Fingers」
なによりも、このFV83を異質たらしめているのは、これらのボディやネックに使われている木材ではなく、「ダーティーフィンガーズ」を搭載している点だと思います。
デリケートなギブソンのサウンドクリエイトにあって、悪名高き高出力の歪系サブカル・ピックアップ(笑)です。
どの角度から見ても、ほれぼれする美しいデザインです。Pat刻印ナンバーもヴィンテージっぽくてしびれますね。ピックアップキャビティやワイヤー用の溝加工がタイトで、さすがギブソン・ナッシュビルです。
ペグ、ブリッジ、コントロール
ペグは、長年お世話になったKlusonやSchallerから逸脱して、脈略無くGrover 102Cを搭載。
まあ、なんでも「Grover載せとけっ」って時代でもありますから、致し方ないです。
ブリッジはナッシュビル・チューンオーマチック(ナッシュビル製なので当然ですね)。
バックパネルからアクセスできるコントロール類は、従来のピックガードマウント型から格段にメンテナンス適正が向上しています。ちっこいセラミックコンデンサーは、キュートですね。
やりたい放題のギブソンのチャレンジ
当時のカタログを見ると、変な形のサンバースト・エクスプローラーが載っていたり…
とうてい天下のギブソン・デザインとは思いたくない、ライフル型ベースが登場したりと…
なんやら「キナ臭い時代」の幕開けなのですよ。バナナヘッドのレスポールとか、もうやりたい放題。誰か止める役員いなかったのか?
ここまで書いて言うのもなんですが、まあ、この時代として「新しいことにチャレンジしてみました」というのは良かったのか悪かったのか…。個人的には、通過すべき大切な時代だったと思いたいです。あ、カタログには「スペックは周知なしに勝手に変えちゃいますよ」と但し書きがありました(笑)
最後に、ロッドカバーはやっぱりフライングVっぽくないような…。
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