レスポール・デラックス - やみクロ“トンデモ発見伝” クローズアップな日曜日 with Takeさん (前編)

今回のやみクロは、スパークル・レッドのレスポール・デラックスにクローズアップ。パンケーキのマホガニーボディで発見した「継ぎ目」に注目しつつ、ギターのスペックをカタログとともにじっくり見ていきます。

レスポール・モデルとしては異色のラメカラー

ヴィンテージギターのディテールを執拗に拡大して、何かを発見しようとするコーナー(笑)、「やみクロ=やみくもクローズアップ」。今回は70年代に突如登場し、限定生産本数ながらもコアなファンを獲得したレスポール・デラックスの奇天烈カラー、スパークル・レッドを、オーナーのTakeさんと一緒に見ていきましょう。

レスポール・デラックスといえば、岩撫安彦氏に「最も美しいウーマントーンを奏でるギブソンの秀作」と称された、伝説の「ミニハムバッカー」を搭載し、スタンダードの次世代を担うべく、カスタムと肩をならべた70年代の名機ですが、サンバーストやゴールドトップに加えて、レスポール・モデルとしては異色なラメカラー「スパークル・レッド」と「ブルー・スパークル」がラインアップされていたのをご存知でしょうか。

マホガニーボディについての“発見”

発売当初はマホガニーネックで、後年メイプルネックに移行しますが、写真の個体は3Pマホガニーネックを搭載した70年代初期のスペックです。

レスポール・デラックスなので、ボディはパンケーキです。

今回クローズアップ撮影をしていて発見したのは、ボディの上側のマホガニーがワンピースではないことです。カッタウェイの、この部分に「接着面」が見えます。

ボディエンド側から見ると、左側にも「接着面」が見えますので、メイプルトップの下に隠れているマホガニーのパンケーキ上側は、マホガニー3Pということになります。

別角度でも見てみましょう。

サンバーストの個体は、ボディサイドもサンバーストに塗装されていて、ちょうど継ぎ目にあたる部分が見えなくなっています。

Takeさんは、「これ、継ぎ目をごまかす為にサンバーストに塗ったんとちゃうか?」って言ってますが、話しているうちに、私もそんな気がしてきました…。

「突板なし」のヘッドストック

ヘッドストックは、この時期だけのスペック「突板なし」なので、ブラック塗装を太陽光にかざすと、マホガニーの木目がしっかりと見えます。

ヘッド裏、ネック、ボディは美しいトフィーブラウンに仕上げられていて、68年LPスタンダードを彷彿とさせますね。

この角度、むちゃくちゃかっこいいと思いませんか?

ペグはKluson Gibson Double Lineのフタコブですが、ポストトップに「おへそ」がありません。

カタログでボディの仕様を確認

ちょっと横道にそれますが、Les Paul Deluxeは、当時特殊な位置づけでした。カタログからStandardが無くなって、一時期「Custom」と「Deluxe」だけのラインナップとなります。

写真の有料パンフレットには、両モデルともに「Solid mahogany body with curved maple top」と記載されており、どこにも「Laminated mahogany body」とは書かれていません。確かに、過渡期の70年初期には、ミニハムバッカーを搭載したワンピース・マホガニーボディのDeluxeもありましたので、どのあたりからパンケーキになったのか…。もちろん「翻訳」ページにも、ソリッド・マホガニーボディとだけ書かれているので、輸入元の神田商会でも認識していなかったのでしょう。

ちなみに、このカタログを入手するには、当時「500円」を支払う必要がありました…中高生だった私には、すごい出費です。

スイッチプレートとピックアップのエレベーションスクリュー

さて、クローズアップに戻りましょう。スイッチプレートとソーサーは、ともに70年代仕様で、「R」は垂れていますが裏に成型マークがあります。

ソーサーはピッチの狭い70年タイプになっていました。なくすと入手困難なパーツなので気をつけたいです。ピックアップのエレベーションスクリューはプラスヘッド。勝手に「70年代初期はマイナススクリュー」と思い込んでいたので、気になって手元のミニハムをチェックしてみたら、同じパテントナンバー刻印でも「プラス」と「マイナス」の両方がありました。一部のステッカードの初期モデルにはマイナススクリューも使用されていますので、みなさんもご自身の愛器をチェックしてみてくださいね。

70年代のレスポール・デラックスは、特定のスペックに固定されていない、いろいろな亜種が存在します。ファクトリーオリジナルで、フルサイズ・ハムバッカーのパンケーキボディも存在しますし、ワンピース・マホガニーボディのデラックスもありますので、パーツのディテールに加えて、カスタムメイドを探すのも楽しみのひとつですね。

オーナーのTakeさん。右手の持ち方で、大切にギターを扱っている感じがわかりますね。

 次に読むなら

やみクロ - レスポール・デラックス (前編)
やみクロ(やみくもクローズアップ)の第3弾は、良質なマホガニーネックとタイトなパンケーキボディが人気のレスポール・デラックス。シンプルながらも工夫されたミニハム固定用のベースプレートと、個体差の大きいアルミテールピースを見ていきます。

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