俺スキ番外企画 - Victoryに込めたギブソンの想い (後編)
1981年にGibson社が満を持して市場投入した「Victory Bass」。プレべのマーケットを凌駕すべく企画されたベースを前後編の2回で見ていきます。
Victoryシリーズは、メタルが台頭した80年代にあえてカントリーミュージック界をターゲットにしたギブソン社が、Fender対抗として企画した「期待の星」だったわけです。ギター版VictoryはMV(Multi Voice)という略称が付与され、MVⅡがテレキャスター、MVXがストラトキャスター、そしてBassはプレシジョンのユーザーをターゲットに、大成功するはずでした。
前編の最後で述べましたが、実は読者の皆さんももしかしたらすでに「Victory Bassのサウンド」を、知らず知らずのうちに、体験しているかもしれません。大ヒットした1985年のハリウッド映画「Back to the Future」は、ご覧になられましたか?マイケル・J・フォックス演じる主人公の「マーティ・マクフライ」は、バンドとスケボーとデートで日々を過ごす典型的なアメリカの高校生。劇中に、彼のバンドが文化祭(?)のオーディションを受けるシーンがあったでしょ?ここに、Victory Bassが登場するんです。
① ′しかも、アンプもロゴをみるとGibsonっぽくないですか?
③で、オーィションでも、キュートな彼女が応援に来てくれるわけです。ここは、「美人」と決まっています。
④ 後ろにいるガールズバンドも時代を反映するコスチュームで気合入ってますね。
⑤ この人、誰だかわかりますか?審査員役。出演者にクレジットされていませんが、ヒューイ・ルイスさん。主題歌「Power of LOVE」を大ヒットさせた骨太バンド。
映画で聴く限り、Victory Bassってノリノリのファンキーなサウンドしています(笑)
せっかくなので、Victory Bassを細かく解説した32ページ・リーフレットを、順番にみていきましょう。
VM (Vintage Maniacs)と、いうことで間に合いました。よかった…。
FV (Fukazawa Vintage Club)「よかった…」じゃないよ、間に合ってないし、遅刻だよ。独りで書き始めてたところだ。
VMあ、丁度「Back to the Future」ですね。良いネタだったでしょ? 自分で気づいたフリして書いてませんか? 「読者の皆さん、これ、僕が教えてあげたんですよ」
FV嫌味だなあ。はいはい、VM君が教えてくれました。私はVictory Bassにもヒューイさんにも気が付いてませんでした(苦笑)
VMリーフレット、随分とチカラ入ってますが、そんなに解説するほど複雑なスペックじゃないですよね。
FVまあ、ギブソン社の気合の入りかたかね、Victory Modelへの。P2を見ていて、ちょっと驚いたんだけど、いろんな名称が「Gibsonの商標」なんだねえ。
VMほんとだ、すごい。普通に使っている「ハンバッキング」や「ハンバッカー」って、ギブソンが権利持ってるんですね。あと「ベネチアン・カッタウエイ」とか「フレットレスワンダー」。
FV「Dirty Fingers」なんかは商品名っぽいけれど、「Explorer」なんか、冒険者っていう英単語の名詞だろ?
VMそれいったら、数字の「335」とか。そして「Victory」も、Gibson社のトレードマークって、やりすぎじゃないっすかね(笑)
VM1990年前後の雑誌広告で、Victory Bassを探してみましょうよ。
FV安かった記憶しかないなあ…。概ね10万円以下だったんじゃない?
VM多分1PUのStandardだから安いんですよ。ジャズベっぽく2PUのCustomっていうかArtistのグレードだともっと高いんじゃないですか?
FV「Back to the Future」に登場したメタリックレッドの2PUがあったぞ。
VMありゃ、これも98,000円ですね。
「Back to the Future」の話題から、昔の広告にタイムスリップしてしまいました。Victory Bassの生い立ち、ギブソン社の期待、その後、そして「人気再燃の現在」を見ていると、80年代のギブソンには、まだまだ秘められた名器があるような、嬉しい気持ちになります。
気合のこもったOwner’s Manual、たっぷりお楽しみください。
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