ゴールドトップ、永遠(とわ)へ 第一話 「再会の日」
「ありがとう。ほんとにありがとう」この言葉が高山の友人に届くように祈った。ギターが紡ぐ友人関係が過去・現在・永遠(とわ)へと続く、一直線の棒のように、今日は特別な日なのである。
25年ぶりの再会は、突然飛騨高山からやってきた。平日の夕刻、リニューアルされた新宿のバスターミナルに到着した私は、ずっと前に別れた元カノの上京を待ちわびる気持ちでただただ待っていた。
ギターが紡ぐ友人関係が過去・現在・永遠(とわ)へと続く、一直線の棒のように、今日は特別な日なのである。その舞台となるここ「バスタ新宿」は、都会に来る人と去る人が交差する希望と挫折の不思議な空間だ。
定刻の19:15に濃飛バス「7008便」がターミナル3階に入ってきた。
ブラウンケースが目に入る。長距離バスで大事にギターを運んでくれたのは、友人の知人。
一段ずつ慎重に、段を踏み外さないように、バスから降りてくる。「ありがとう。ほんとにありがとう」この言葉が高山の友人に届くように祈った。嬉しさ余って、ケースを開けて、触って、置いて、撮影した。
スーツ姿のおっさんが、ギター抱いてバスターミナルでスマホ構えていたら、そりゃ警備員も注意するさ。でも、そんなのお構いなしで、もう一度「ありがとう、マイフレンド」と、心の中で叫んだ。
このギターは、北米駐在から帰国してすぐに、友人に買ってもらった、コンバージョンのレスポールだ。ゼマイティスのコレクターでもある彼から、昨年春に突然LINEが届いた。「あのギター、これからは君が持っててよ」
そして、スマホで彼が撮影した画像が添付してあった。
私は「ありがとう、嬉しいよ。是非」とだけ返した。二人の間のやり取りは25年前と、何も変わっていなかった。
無事到着したことを友人に報告し、礼を述べ、想い出を語った。
スノーウイー・ホワイトのサインが入ったバックプレート。
キャビティー内の塗料もそのままだ。
友人「ピックアップを交換したよ。もとはダンカンだったよね」
私「そうだっけ。当時はダンカンが渋いって思ってた」
友人「ブリッジとかテールピース、錆びちゃった」
私「ヴィンテージに交換するよ。大丈夫」
友人「ネックのグリップが良いよね。GroverのPat.102Nもかっこいい」
私「今見ると、いろんな箇所をレストレーションしたくなるね」
友人「やりなよ。良いと思うよ」
スノーウイーのファンなら、当然ブラックピックガードにブラックPUリング、セレクタースイッチがお決まりだろう。
だけど、ゴールドにはアイボリーが似合う。
ギターが到着して三日後のウイークエンド、全体を撮影し、細部を見渡しながら、この「友人と私の四半世紀をつなげるゴールドトップ」を、改めてじっくりとレストレーションすることを決めたのである。
コンバージョンだから、ロゴの位置は低い。
ヴィンテージっぽい、素敵なアングル。
美しいクラック。
当時すでに交換されたボジションマークは、思い切ってヴィンテージに戻そう。
コントロールノブは色焼けの具合をみて、パーツボックスから慎重に選べばいいね。
想い出を手繰りながら撮影していたら、あっという間に4時間が過ぎ、いつのまにか夕暮れが近づいていた。
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