Historic Collectionのブラウンケースの変遷(1999~2011編)
1999年以降のブラウンケースには大きく分けて3種類(~2011年)あります。厳密にはラッチの数が5個の初期バージョンを加えると4種類ですが、今回はそのうちのオーソドックスに目にする機会が多い3モデルを比較します。
目次
1999年以降のブラウンケース
1999年、ギブソンはレスポール誕生40周年を記念して、これまで以上に精緻なアップグレードを発表します。その中には、Case Candyと呼ばれる付属品のタグやレザーストラップ、そしてブラウンスリムケースまでが含まれています。今日ではレザーストラップがディスコンされているのは非常に残念ですね。
さて、ギブソン社がブラウンケースを復刻したのは、これが初めてではなく、80年代にHeritage 80や59 Vintageのシリーズをリイシューした際に、レスポール用とフライングV用でピンクライニングのスリムケースを復刻させてきました。
今回紹介する40周年に付属していたブラウンスリムケースは、外観の色・柄に加え、ハンドルやバッジまでもレプリカされていて、たいへん格好の良いケースに仕上がっています。以前よりヴィンテージ・レスポールのオーナーからも、予備に欲しいという声が挙がりましたが、ギブソン社は最近までこの格好良いブラウンスリムケースを別売することはありませんでした。中古市場でもなかなか出ないので、マニア垂涎のケースとなっていますね。
1999年以降のブラウンケースには大きく分けて3種類(~2011)あります。厳密にはラッチの数が5個の初期バージョンを加えると4種類ですが、今回はそのうちのオーソドックスに目にする機会が多い3モデルを比較します。
ライニング(内張り)と重量
まず内側のライニングを見てみましょう。
一番手前が、2011年から登場したカナダ製ブラウンケースです。プロテクション機能を上げるため内側のアンコが分厚くなっていて、ほぼCustom Shop Black Caseと似た感じです。真ん中が2005年前後からの、コスタリカ製ブラウンケースです。そして、一番奥の、色がヴィンテージに近く、ライニングの質感も似ているケースが1999年モデル(USA G&G製)です。コスタリカ製と1999年モデルは概ね類似していますが、よく比較してみるとライニングの色が違うのがわかりますね。
ケース内側の原産地表示に、コスタリカ製の表記があります。コスタリカ製はケースに使っている木材が重く、1999年モデルの1.5倍以上の重量があるため、ケースにギターが入っていなくても「ずっしり」しています。
2011年は原産国がカナダに戻っています。
The HystericPartsでAce IwasakiがエイジドしたのはG&G社製の現行タイプで、本体の厚みやラッチの形状は、カナダ製に踏襲されています。
ラッチ、ハンドル、Gibsonバッジの比較
順番にそれぞれのスペックを比較してみましょう。写真は右から1999年モデル、コスタリカ製、現行カナダ製です。ラッチの形状は3機種とも異なっています。
ヴィンテージと似ているのは右側の初期モデルですね。ポケットを止めるスクリューやバッジの位置ですが、2011年はだいぶ現代的なアレンジがほどこされています。位置も違いますね。
ハンドルも、1999年モデルがヴィンテージライクなブラウンレザーであるのに対して、後年は明るいビニールレザーっぽい質感に代わっています。
3モデルをならべて気づくのは大きさと厚さで、左側の現行カナダ製はずいぶん大きく厚いのがわかります。ケース下部のラッチとエンドプレートの間隔を見てください。
要するに、現行カナダ製はブラウン色をしたCustom Shop Caseと理解すれば概ねよさそうです。
Gibsonロゴのバッジはどうでしょう。1999年モデルとコスタリカ製は同じです。
現行カナダ製は、新デザインのバッジですね。しかも釘ではなく、プラスネジ止めです。
鍵のついたラッチは、現行カナダ製だけがラウンドしたフックに変更されていて、見た目もぼってりしています。
ヒンジ側から見ると、ヒンジ自体も、まったく別の製品に代わっていますし、足の数も違います。
一番上が現行カナダ製で、ラッチが1つ多いです。
こうして見ると、現行カナダ製ではヴィンテージ・ルックスを追及しながらも、ハードケース本来の機能を重視しているギブソン社の良心が理解できますが、ファンにとっては複雑な心境です。最後に、ケースの厚みの違いがわかりやすい画像をご紹介しておきます。
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