音の本棚 第3回 - 胸ときめく『ヴィンテージギター・写真集 改訂版』
音の本棚「音棚(オンダナ)」の第3回は、第2回で紹介した『ヴィンテージギター・写真集』の改訂版に注目。逸品揃いの改訂版の中でも特にレアな、アクアフォーム・グリーンのストラトキャスターをオリジナルオーナーからいただいた写真とともにご紹介します。
目次
「年鑑」のような『GUITAR CATALOGUE』
真っ赤なクラシック・ポルシェを背景に、西海岸の陽射しを浴びる「レスポール・スタンダード」。サンバーストというカラーリングは、まさにこのシチュエーションを想定したかのような、キュートなネーミングだ。
『ヴィンテージギター・写真集』の中でも、印象深いこの「バースト集合写真」は、当時いろんな雑誌で見た覚えがあった。もしかしたら、「POPEYE」だったかもしれないし、違うかもしれない。そんなうっすらとした記憶をたどりながら、本棚をひっくり返すこと半日。見つけたのがこれである。
『GUITAR CATALOGUE』は、各楽器メーカーのカタログを集めて再編集し、そこにミュージシャンのインタビューや、他の雑誌で取材した断片を流用して発行した「年鑑」のようなもので、当時は「これに金を払うのか…」と思いながらも、結局は買ってしまうのであった。
『GUITAR CATALOGUE』のページをめくると、YASUDA氏の記事と写真を見つけることができた。
これら全部がYASUDA氏の個人的所有物ではないのだが、記事の見出しは「足で集めたオールドコレクション」と書かれている。右下のバーストは、世良公則さんが180万円で購入したバーストらしい。良い時代だ。ストラトも年代別に陳列されていて、コンディションも抜群。いま、このギター達は、どこで誰に所有されているのだろうか。
ちなみに、「連絡してね、0797-xx-xxxx」の電話番号は、元町にあるYASUDA氏のショップ「マックスギターギャラリー」ではなくて、芦屋のご自宅だった(笑) のんびりした時代である。
『GUITAR CATALOGUE』にはミュージシャンのインタビューや自宅が掲載されていて、貴重な写真だ。日高さんはレスポールのオーナーとして当時から有名で、68年マーチンD-45や1954年ストラトなど、秀逸のコレクション・センスを誇っている。
森園さんは「僕はコレクターじゃないよ、実用でえらぶんだ」と明言しつつ、なぜかバーンズのフライトが鎮座していて面白い。
ドラマーであると同時にギターコレクションにも造詣が深い「ツノダヒロ」さんのコレクションは、一風かわったラインナップだけど、その中に、やはり「バーンズ・フライト」がある。
当時の私は「なんだかわからんけど、フライトっていうギターは、ミュージシャンは、一台は持ってなければいけない必携アイテムなのかもしれない」と勘繰ったものだった。
所有してみた結論としては、「実用的でもマニアックでもなくて、単に不思議」な楽器なのだが、一種の「サブリミナル効果」とでも言おうか、若い時に視覚から受け取ったインパクトは、後世の人生にまで大小さまざまな影響を与えているのがわかった(笑)
逸品揃いの改訂版
YASUDA氏の『ヴィンテージギター・写真集』は、昭和63年12月に「改訂版」として再登場するのだが、さらに後年「VOL.3」が発売されたことを考慮すると、本当は「改訂版→VOL.2」のほうが正しいと感じる。事実、収められている写真も概ね新しいショットばかりで、レスポールもストラトも、前回を超えて「レア」な逸品揃いとなっている。
豪華なトラ目を誇る、この2本は私の好きなバースト・トップ10に入る。
ナッシュビルでYASUDAさんにお会いした時に、「あのギターは、地面に立てかけるのがNGだったんだ。だから手持ちのショットになった」とおっしゃっていた。
相当レアなストラトキャスター
Vintage Maniacsの読者には、もちろん「ストラト・フリーク」の方々もたくさんおられると思うので、この写真集の中でも相当レアだと思う一本を、オリジナルオーナーからいただいた写真と併せて紹介しよう。
YASUDA氏も、コメントで「こんなにレアなら誰も文句はあるまい」と述べている。確かにレアだ。
HystericPAFのサウンド・インプレッションに登場してくれている小生の旧友「DAVE ONORATO」が現在のオーナーで、オリジナルオーナーは彼の実父である。ギターショーに展示されたこのギターを捉えたショットも、写真集に掲出されているので参照いただきたい。
DAVEは、現在もミントコンディションのまま同機を所有しており、今回の記事掲出に際し、あたらしい写真を送ってくれた。
日本ではレアなレフティのヴィンテージギター
YASUDA氏のコメントは、時として文章に「無邪気に子供っぽく感動を吐露」するので臨場感がある。ここに書かれた「左用のリバース・ファイアーバード、あー頭が混乱してきたぞ」って一文もそうだ。
日本ではレフティのヴィンテージ・ギターを見かけるのは結構レアだが、80年代当時はまだまだアメリカのマーケットにはプライスタグが付いたものがあった。私は兄が左利きだったので、彼の遺品のヴィンテージ・ギター・コレクションに、レフティが多くある。
レフティといえば、北米駐在当時に訪れたヴィンテージ・ギターショーで、左用の個体を探しまくっていたのが、エリオット・イーストンだ。いろんなショーで出くわし、ついつい会話も弾み、随分と仲良くしてもらった。
後にも先にも一度しか見たことが無いのが、エレクトリックⅫのレフティです。
想い出話のついでに、当時のギターショーで、みんなが「お土産に買っていた(笑)」、天下のバーストポスター(by Tom Wittlock)をご覧いただきます。皆さんは持ってますよね。
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