40年後の復刻 アーティストケース(前編)
70年代に突如登場したギブソンの「アーティストシリーズ・ハードケース」をVintage Maniacsで復刻。Sorrentoモデルのフラワー柄素材を製作し、ついに試作品が完成しました。
Gibson Artist Case Seriesの復刻
VM (Vintage Maniacs)とうとうたどり着きましたね、アーティストケース。
FV (Fukazawa Vintage Club)いやあ、40年は長かったねえ。最初に手に入れたのが中学生のころだから…。
VM何台集めたんですか?
FVいま、22台持っているから、大体2年に一台ぐらい発掘(笑)してきた感じだね。でも、この10年間は数台しか入手できていないから、これからはどんどんレアになっていく感じがするなあ。
VM復刻にチャレンジして何年ですか?
FVそうね、1989年にアメリカのハードケースメーカーを訪ねたときに相談したのが最初。だから、かれこれ20年以上だ。
VMその時の反応は、どんな感じでした?
FV結構真面目に話を聞いてくれてさ。
FVで、「おまえ、 そんなに欲しかったら倉庫にあるよ」って(笑)
VMなんですか、それ?
FVデッドストックで余ってたんだろうね。ハンドルの位置がおかしいのもあってさ。「いくらですか?」って聞いたら、「99ドルでどう?」みたいな感じ。
VM復刻する必要ありませんね(笑)
FVギターショーでたまたま見かけても、ハードケース単体を探している人なんて当時いなかったから、ギターと一緒に買ってた。ほとんどが、シングルピックガードのワイドトラベルに移行してからのギターが入ってたよ。
音の本棚 第5回 『The Guitar 3』とWide Travel Tune-O-Maticブリッジ
VM最近は、70年代のハードケースでも500ドルとかしてますよね。
FV当時は50年代のブラウンスリムケースも、350ドルぐらいで買えたって日記に書いてある。だからアメリカ駐在時代とか、そのあとも復刻じゃなくてオリジナルを探し続けて、見つけたら買って…みたいな。
フラワー柄の外装素材
VMで、今回復刻できたわけですが。
FVまずは、12年前にアメリカのメーカーに久しぶりにレターを書いて、「復刻できますか?」って問い合わせたんだ。そしたら「いいよ、大丈夫だよ」って二つ返事で。
VMできたんですか?
FVまあ、それからが長いんだけど、結局は外装のフラワー柄の素材が手に入らないと復刻できないわけよ。
VMあったり前田のクラッカーですね。
FVだから、アメリカのビニール素材のメーカーや、印刷会社や布地の問屋に片っ端からコンタクトして、サンプル画像を見てもらって。
VMグラビア印刷で、布地やビニール素材をオーダーすると、最小ロットでも、とてつもない量ができちゃいませんか?
FVだから、似た感じの柄でもいいかな…とか妥協して相談したりしてね。
VMお、雰囲気にてますね。
FVでも、それじゃあ復刻にならないだろ?
VMうーん、確かに「似て非なるもの」です。
FVまあ、そんなこんなで、CANADAのハードケースメーカーを訪ねたり、ドイツで調べたり。
VMポイントは、「同じ柄の外装素材」ですねえ。
FVで、なんで今回復刻まで漕ぎつけられたかっていうと、まあ、インクジェット印刷機の幅広化と、インクの技術開発なんだよね。
VM質感とか、すごいですよ。
FV最新の技術では、乾燥すると少し立体的に盛り上がるインクとかもあるから、生地の手触りを再現できたりするんだよ。
FVこれは、日本の岩本ケースさんで試作していただいたバージョン。かなり完成度が高いだろ?
VM写真で見る限り、ルックス的には合格点だと思います。
VMあとは、ステッチですね。
FVまあ、兎にも角にも、ここまで漕ぎつけたのを評価していただくとして。サンプルでは、ペアでカッコいいかなと思って、レスポール用もセットで(笑)
VM僕的には、レスポールのフラワー柄って、すっごくキュートで欲しいですよ。できればSGとセットで。
FVじゃあ、Made in Japanの底力を、じっくり画像で見ていただいて、後編に続く…と。
Vintage Maniacs Artist Hardcase Sorrent for SG Proto Type
アーティストシリーズ・ギターケース - 謎の高級ケーストリオ
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2015.12.18
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