技術を超えた魔法のレストア - Flying V Medallion

今回は「ネック折れ、3PU改造、パーツなし」のフライングVをレストア・メダリオンチューンナップ。美術館の絵画修復作業のような塗装や、リペア作業の様子を多数の写真でご紹介します。アーティスティックで、技術を超えた、魔法のレストアをご堪能ください。

技術を超えた、魔法のレストア

VMレストアしてくださった「T.M.」さんのご厚意で、途中経過をご紹介できることになりました。

FVそれにしても、のっけから衝撃的なシーンだね。

VMこれは、ピックアップキャビティを元オーナーが素人加工して3PUにしそこなった上に、 ネックも折れていた個体の、長い長いレストレーション物語です(笑)

FVしかし、綺麗に復活したよね。技術を超えた、魔法のレストアだ。

VMFVさんが生涯でもっとも信頼し、感嘆している「T.M.」さんの作業ですからね。しかし、 相変わらずコレクターの方々の反感をかうような撮影ポジションですね。このFVさんの撮影は。

FVうーん、「赤い彗星」ってイメージでカレンダー撮影してたから、調子に乗っちゃって。

VMそういいながら見せびらかす。どうしたんですか、このZ4。

FVディーラーにヴィンテージギターが好きなかたがおられて、厚意で貸してくださった。

VM絶対にキズとかつけないでくださいよ。ギターを落としたらクルマもギターもキズがつきますからね。で、本題なんですが、「ネック折れ、3PU改造、パーツなし…の母体をレストア・メダリオンチューンナップする企画」ってことでいいですね?

FV知人に預けたのを5年くらい忘れていて…。

VMFVさんって、そういうギターが沢山ありますよね。SG Customも、そろそろ引き取りに行ったほうがいいですよ。預かった人、置き場所に困って迷惑してると思います。

FVえっ? なんだっけ…SG Customって? (詳しくは、ワイドトラベル・ チューン・オー・マチック特集でご説明しますね)

ボディに打ち込まれた「クサビ」

VM時に、今回「T.M.」さんからリペア中にご指摘いただいた発見なんですが…

FVああ、この「クサビ」ね。ボディエンドから打ち込んである。

VMね、そういう表現するでしょ? だからみんな誤解するんですよ。

FVあれ? ネックジョイントあたりにも、リアピックアップキャビティにも、おなじ「クサビ」が見えるね。

VMこういう事らしいんですよ。あらためて「どしー」って思ったの、僕だけかなあ…。

FVいやあ、私も「どしー」だよ。よく考えたら当然のことだけど、あらためて見ると、この時代(70年代初期~80年代初期まで)だけのスペックだから。だって、ほかのソリッドギターのボディが2Pだったり3Pでも、つなぎ目にこんな面倒なことしてないだろ?

VMワンピースの67Vからセンターツーピースにするときに、やっぱり「ワンピース」や「オフセンター」に比べると、PUキャビティやらなんやらで、木部の接着面が削られて狭くなるから、強度を心配したんでしょうかね。

FVピックアップキャビティの修復は、同じ木目のマホガニーを加工して、貼り付けてからルーティングしなおすんだ。

VMそれぞれの部分を比較するとわかりやすそうですね。

アーティスティックな再現

FVまずは、ヘッドストック。

FV表面に突板を貼っている様子。

FV裏側は、刻印とシリアルをしっかりと残してくれている。

FVチェリーの退色部分の再現塗装は、お見事。

FVメダルを搭載する部分は、入念に自然なクラックを入れているね。

VMあらためて、チェリーの退色の再現にアーティスティックなタッチを感じます。絵心がある人ですから、自然さを通り越してオリジナルしていますね。

FVもともとの塗装は、シンナーで手作業で丁寧に拭き取ってくれているから、そもそもの塗装剥げ部分や、ピッキングの削れ、ボディの当て傷などが、ちゃんと残してある。

ブラックライト対応のチェリー塗装

VMチェリーの退色部分を見せてくださいよ。

FVこれなんか、美術館の絵画修復作業を彷彿とさせて、ずっと眺めていたくなる。

FVあと、ブラックライト対応も完璧だね。

ここからは、完成までスライドショーで見ていただきます。

左右にスワイプ(ドラッグ)で画像スライド

ヴィンテージのポット、ピックガード製作、HystericTee

FVどう? すばらしいだろ? ポット類は、すべて70年代のヴィンテージを使ってもらったけど、ワイヤー1本無駄にしない、レストレーションの鑑(かがみ)だね。

FVピックガードも作成してもらった。日焼けの感じが出ている。

FVピックアップはもちろん「HystericTee」で、これはオリジナルのTトップよりも気に入っている。あと、ハードケースに取り付けるメダルを作ってもらっちゃった。

VMFVさんが、嬉しさ余って写真を撮りまくってますので、その中からセレクトしてご覧いただきましょう。なんか、Japan Limitedも、エイジド加工のメダリオンを企画したくなりますね。

FVそこは不可侵領域のような気がするけど、リクエスト次第だね。

VM最後にもう一台、赤いフライングVのカットを。「赤い彗星」ですね。

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