シュリンク・クルーソン・ペグのカスタマイズ

ビューティーオブザバーストで一気に認知が広がったシュリンクペグ。今回は、金属のペグボタンが搭載されたクルーソンを、Vintage Maniacsの復刻シュリンクボタンに交換する作業をご紹介します。

ヴィンテージ・クルーソンのペグボタンを交換

今回は、ヴィンテージ・レスポール・オーナーも、ヒスコレのチューンナップ・ユーザーも一緒に楽しめる、クルーソン・ペグのシュリンクボタン(ツマミ)・カスタマイズです。冒頭の写真だけ見ると、何を始めるのか見当がつきませんね。まずは「The Beauty of the 'Burst」で一気に認知が広がった、悪名高きシュリンクボタンについておさらいしましょう。

ビューティーオブザバーストに掲載されたシュリンクボタン

1959年のバーストとよばれるレスポールのクルーソン・ペグは、樹脂が経年で酸化するので、縮んだあげくにボロボロと崩壊してしまいます。以前の記事で当時のペグを特集しましたので、参考にしてみてください。

クルーソン・ペグを年代別に分析 - ヴィンテージ・ギブソン編

シュリンクとノンシュリンクの比較

さて、このペグボタンですが、意外にもシュリンクボタン特有のヴィンテージっぽいテイストでマニアには人気があります。現行のクルーソンのボタンを付け替えてドレスアップしたり、カスタマイズしたリビルトを使用したり。ヴィンテージのペグはいずれ崩壊して使えなくなるので、ケースのポケットに保管しておくことも多いかと思います。

シュリンクボタンとノンシュリンクでは、随分とリアリティに差がありますね。

クルーソン・ペグのメタルボタンを取り外す

さて、垂涎の「崩壊しないシュリンクペグ・リビルト」に使用するのは、メタルラウンドボタンのシングルライン・クルーソンです。ボタンが崩壊した個体の方が作業しやすいですが、今回は手元にあった素材を使いました。他に準備するのは、復刻シュリンクボタン、ガスバーナー、エポキシ接着剤、そしておなじみのプライヤーです。

バーナーでボタン部分を熱して溶かすのですが、手で持てないのでプライヤーに挟んでいます。クルーソンのメタルボタンは、実はボタンの部分だけアルミで成型されているため融点が低く、家庭用のガスボンベにアタッチメントをつけるだけで簡単に溶かして取り外せます。

この通り、ブラスの軸だけになります。溶けたボタンはアメのようにグニャグニャです。触るとものすごく熱いので要注意!

もともと付いていたボタンが外れると軸が露出します。軸にはボタンをひっかける突起がありますので、ヤスリで擦り合わせして棒状に加工します。

ペグボタンの取り付けはエポキシ系の二液タイプ

ボタンは接着剤で取り付けるだけで十分ですが、個人的には硬化する際に容積変化のなるべく少ない、エポキシ系の2液混ぜ合わせタイプを使っています。これは結構大事なポイントで、アロンアルファなどですと早晩割れて空回りします。

完成版、いかがでしょう。シングルリングのシングルラインはeBayでも1,000ドル以上しており、しかもシュリンクタイプだと実用的では無い…というジレンマの解消には最適だと思います。もちろん、ベースになるクルーソンは今回のような使い道の少ないヴィンテージでも、現行品でも、裏側のPat刻印の有無を気にしなければ、ボタン交換だけで随分とリアルなヘッドストックまわりを手に入れることができそうです。

今回は50年代後半のメタルボタン・クルーソンとVintage Maniacsの復刻シュリンクボタン(ペグボタン単品での販売はしておりません)を使ってカスタマイズしました。

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クルーソン・ペグを年代別に分析 - ヴィンテージ・ギブソン編
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