Spragueコンデンサー解体新書 - 知ったかぶりの巻 (前編)
ヴィンテージ・ファンにはおなじみの伝説のコンデンサー「Sprague Bumblebee」。2回シリーズでお届けする前編の今回は、貴重なヴィンテージの個体を分解してみました。なかなか見る機会の無い内側をじっくりご覧ください。
目次
伝説のコンデンサー
Spragueのバンブルビーは、レスポール・ファンにはおなじみの伝説のコンデンサーですね。我々は、このサウンドとルックスにノックアウトされ、ヴィンテージを追求し、DMCでレプリカが発売され、そしてとうとうギブソンも復刻版をヒストリックコレクションに搭載するまでにフィーバーしました。
この3cmほどの小さな塊に、どれほどの秘密が隠されているのでしょうか。なかなか内部を見る機会もないので、手元にある50年代ヴィンテージの個体を分解しながら、測定値を踏まえて見ていきたいと思います。
コンデンサー? キャパシター?
真空管アンプが全盛の時代には、「オイルペーパーコンデンサー」と呼ばれるチューブラータイプの信号用コンデンサーがさかんに搭載されました。1958年に発売されたマランツ#7や、マッキントッシュC22のプリアンプが実現した伝説ともいえるサウンドを生み出したのが、このバンブルビーだそうです。そして、ギブソン社も「レスポール」をはじめとする同社のギター回路に「バンブルビー」を搭載し、そのサウンドはロックの音楽史上に無くてはならない存在となります。
それはそうと、ここでは「コンデンサー」という単語を使っていますが、アメリカでバンブルビーとかギターに使うコンデンサーは、みんな「Capacitor」と呼んでいます。「Condenser」というと、集光レンズや冷蔵庫という意味でつかわれるので、なるべく「キャパシター」と呼ぶほうが混乱がないようです。
で、オイルペーパーキャパシターなのですが、構造的な説明は、しっかりと解説されているホームページが沢山あるのでそちらをご参照いただくとして、なにはなくとも「見た目と数値はどうなっているのか?」という視点で進めてみましょう。
ヴィンテージを分解
内部を見る機会はなかなか無いと思います。思い切って、ヴィンテージを一個ばらしてみました。
左右に出ているコードの内部は二股になって、ペーパーとアルミで出来た筒に差し込まれています。もうちょっとばらしてみましょう。
茶色い紙を削っていくと、薄いアルミ箔が出てきました。ここまでくるとキャパシターは壊れてしまっています。すみません…貴重な逸品を…。
本題に戻りましょう。レスポールやSG、ES-335などのハムバッカー搭載ギターには、59年~バンブルビー、60年代は後期までブラックビューティーという「すぐれものキャパシター」が搭載されています。50年代後期のP-90が搭載されたジュニアやメロディメーカーにもバンブルビーが搭載されています。
もともとの値は「0.022μF/400VDC」です。「古くてずっと使われていた個体は容量抜けしている場合があるね」というコメントもよく聞きます。実際には、どれくらい数値に差があるのでしょうか。後編では、すべての個体を測ってみることにします。
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