ヴィンテージ・グローバー・ペグの変遷 - ニッケル/クローム編
ヴィンテージのグローバー・ペグは、主に80年代前半までの仕様を指しています。もちろん60年代、70年代、80年代とそれぞれに特徴がありますが、もっとも変化するのは80年代中期以降でしょう。そんなグローバー・ペグの違いを写真でご紹介します。
ヴィンテージのグローバー・ペグは、主に80年代前半までの仕様を指しています。もちろん60年代、70年代、80年代とそれぞれに特徴がありますが、もっとも変化するのは80年代中期以降でしょう。この頃からシャーシがアジア製になり、ポスト・リグの直径が太くなりますので、それまでのヴィンテージ・グローバーが装着されているギターに搭載しようとしてもペグ穴が合わず、リーマー等でヘッドに大きな加工を施すことになります。
もちろんコレクターはそんなことしたくありませんから、ヴィンテージのグローバーを探すことになります。特にオリジナルでグローバーが搭載されていた70年代から以前のマーチン・オーナーにとっては、ヘッドストックをグリグリとやってペグ穴を広げるなどもってのほかです。次の画像の3タイプのペグは、いずれも70年代前半のGrover 102で、左からゴールド、ニッケル、クロームの順です。GROVERのロゴが入った部分が円柱形の樽型になっているのが特徴で、現行の角ばったシャーシとは、ひと目で区別できます。
それでは年代別に見ていきましょう、まずはニッケルメッキです。次の画像のペグは古いマーチン・ギターなどに搭載された機種ですが、エレキギター・ファンの方にはほとんど馴染みがないでしょう。
次のスターマークの入ったGrover 104は「PAT. PEND. U.S.A.」と浮き文字で記されています。
裏側を見ると、2分割のシャーシをカシメで留めてあるのがわかりますね。案外これが錆びてシャーシが取れたり壊れているケースが多いです。
60年代後半になるとスターマークがなくなり「PAT. PEND. U.S.A.」の文字だけになります。
このタイプにはKISSのエース・フレーリーがレスポール・カスタムに好んで搭載したことで有名になった、パーロイドボタンの103シリーズがあります。
一方でダルマバックと呼ばれる102シリーズは、もっとも愛されてきたロトマチックのスタンダード・シェイプで、原型ともいえる完成度と美しさを誇るモデルです。登場した当初は、もちろんPat Pendの刻印があります。
60年代のマーチンに搭載されているタイプとペグボタン以外は同じですね。なお同一モデルですが70年代初期になるとPat Pendの刻印が薄くなり、位置が少し内側に入ってきます。
この頃は裏側にUSAの文字はありません。
60年代後期になるとPat Pend刻印が消えてすっきりとします。
裏側にはUSAの浮き文字が見えます。
おそらくニッケルもクロームも、この102モデルがもっともポピュラーではないでしょうか。ここでちょっと変わったモデルをご紹介します。70年代後半からギブソンではオリジナルスペックの102Nを搭載し始めます。グローバーでありながらトライアングル・ボタンなので従来のクルーソンっぽい印象を受けます。
クロームタイプもニッケル同様104と102シリーズがポピュラーです。
ギブソンが採用していたクルーソン・ペグの泣きどころは、耐久性と壊れやすいボタン部分でした。70年代には多くのギタリストがロトマチック・グローバーのチューニング精度に着目し交換しましたから、ヴィンテージギターのペグがグローバーに交換されている個体は多く、オリジナルに戻そうとしてもヘッドに痕が残ったりと悩みの種です。
最後にご紹介するのは、こちらもちょっと変わったモデルで、フェンダーのコロナドなどに採用された「F」刻印のある102です。
ゴールドメッキのバージョンについては、ジャズギター用の109やインペリアルなど多彩ですので、別の機会に特集したいと思います。
最後に、グローバーがクルーソンをコピーしてギブソンにOEM出荷していたレアなペグをご覧ください。ストラトキャスターっぽい「6 in Line」のタイプですね。いったいどんなギターに搭載されていたのでしょうか。
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