1974年のフライングVを改造してチェリー・メダリオンVを復刻

1971年に限定生産されたメダリオン・フライングVは、歴代のフライングVの中でも人気が高く、レアでサウンドも申し分ない三拍子そろったモデルです。1974年に再生産されたナチュラルカラーのフライングVも、カラーリングとゴールドのメダル以外ほとんど1971年モデルと同仕様のハイクオリティなギターでした。

1971年に限定生産されたメダリオン・フライングVは、歴代のフライングVの中でも人気が高く、レアでサウンドも申し分ない三拍子そろったモデルです。そしてマニアの方には周知のことですが、実は3年後の1974年に再生産されたナチュラルカラーのフライングVも、カラーリングとゴールドのメダルを除くと、ほとんど1971年モデルと同仕様のハイクオリティなギターでした。

写真手前は珍しい1971年のフライングV特注シースルーチェリー。

今回は、その1974年仕様のナチュラル・フライングVをリペア・改造して、ヴィンテージの1971年チェリー・メダリオンVを復刻するプロジェクトをご紹介します。

この個体は、①ヘッドストックの損傷、②ミドル・ピックアップキャビティの加工、③エルボー部分の塗装剥げがあることから、ナチュラルのままレストアするのでなく、ひと工夫するのことをお許しください(笑)

肘が当たる部分の塗装の剥げ方は迫力があります。ガンガン弾きこんだ痕跡あり。

残念ながら、センターピックアップを増設するためにキャビティが加工されています。

この時期はまだブリッジポストがダイレクトにボディに突き刺さっています。いかにもヴァイブレーションが伝わりそうですね。

本体重量は驚愕の1.9kgと超軽量。英語だと「Feather Light」つまり鳥の羽のように軽いという表現に該当します。

裏から見るとセンター2Pであることがわかります。

ネックのジョイント部分からフィンガーボードまで、ネックが盛り上がるようにジョイントされています。この仕様は80年代前半まで踏襲されていました。

そしてなんといっても70年代のフライングVの特徴といえば、センターに打ち込まれたウッドブロックです。これはセンターで継いだマホガニーが経年でゆがむのを防止する目的なのでしょうか。

トラスロッドカバーが後年のタイプに交換されているので元に戻すことにしました。

フライングVのロッドカバーは、70年代のオープン・オーから70年代初期のクローズド・オーまで一見同じスペックに見えますが、実際に搭載しようとするとピックガード同様に年代ごとに若干サイズが違っています。

今回はベタ塗りのブラックやホワイトと異なり、シースルーチェリーをヴィンテージ・ライクに仕上げます。そのため、ヘッドのクラックをきれいにリペアして、丁寧に塗装を剥ぎ、チェリーのフィラーを埋めてラッカーでフィニッシュするという、かなり手の込んだ作業になります。レギュラーモデルを改造した復刻版とはまた少しテイストの違ったレストアですですね。次回は北米屈指のチューナーが手掛けたチェリーのフライングVをご紹介します。

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