メロディを奏でるメロディメーカー
ギブソンが1977年に復刻したメロディメーカー。その後の1982年に「I Love Rock 'N' Roll」のPVでMMを弾くジョーン・ジェットのインパクトはすごかった。今回は77年と81年のモデルを比較。81年はめったに見かけないレアなスペック!
目次
シグネチャーモデルのメロディメーカー
VM(Vintage Maniacs)オーストラリアのポップロックバンド「ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー」のマイケル・クリフォードが使ってるメロディメーカー(以下MM)って、知ってます?
FV(Fukazawa Vintage Club)赤黒のボディカラーにバッテンのポジションマークがついてる、なんちゃってジョーン・ジェット・モデルっぽいシグネチャーだろ?
VMJet Black Cherryってカラーリングらしいですよ。
FV今度、買ってみて「気に入ったら」俺スキで紹介するよ。
VMFVさんって、せっかく買っても琴線に触れないとお蔵入りだから、最近「俺スキ」も、なかなか紹介してもらえるギターがないっすね。
FVMMって、やっぱりジョーン・ジェットが弾くルックスと、バレーコードを「ジャリっ」って叩く感じのサウンドなんだよ。だから、他の人のシグネチャーってすんなり入ってこなくて、 申し訳ない。
ジョーン+メロディメーカーのインパクト
VMところで、ギブソンは唐突に1977年に「MM」を復刻するんですけど、随分値段が高かったんですよね、当時。
FVそうそう。カタログで見ると、SG Standardとほぼ同価格帯だから、L-6Sとかと比較しても、スチューデントモデルとは呼べないね。
VM1977年には、2PUモデルだけが復刻されてますが、何か理由があるんでしょうか。
FVうーん、自分の記憶では「ランナウェイズ」がブレイクした1977年に、ジョーン(ジェット)人気にあやかって復刻した「ふとどきモデル」だったんだけど、今、改めて回顧すると、当時のランナウェイズのジョーンは、ナチュラルのレスポール・デラックスでジャケットや雑誌に登場することが多かった。
VMってことは、1977年当時、ギブソンが何を思ってMMを復刻したのか、理由がわからんってことでしょうか。
FVみんな知っている「I Love Rock 'N' Roll*」をジョーンがブラックハーツとヒットさせたのは、もっと後の1982年だからね。あのジャケットとPVでのジョーン+メロディメーカーのインパクトはすごかった。今回紹介する2本「1977年と1981年」が製造されたほうが早いんだ。
VMギブソンがもうちょっと我慢して製造してたら、大ヒットしてたかもしれませんねえ。
FVそんなもんだよ、世間の評価って。生産中止になってから人気でたりね。
レスポールとメロディメーカーのハードケース
VMそもそも、ハードケースからして怪しいですね。
FV右のブラウンはオリジナルで、MMしか入らない。
VMえー、でもこのMMのシェイプって、普通にレスポールのケースに入りますよね。
FVよく知ってるね。だから、1981年のMMは左のレスポール用ケースに収まっている(笑) 右のケースにレスポールは入らない。
VMいらん事してますね、相変わらずギブソンは。
ピカピカのN.O.S
VMえっと、随分ハードケースのコンディションが良いですね。
FVまあ、写真を見てよ。
FV左の1981年はN.O.S.なんだ。デッドミント。「なんちゃってミント」とか、ちょっと曖昧な表現の「Near Mint」じゃなくて、正真正銘、まっさら。
VMヘッドもピカピカ。弦を張り替えるときにつきやすい擦り傷も無いですね。
VMシリアルは1981年。
FVボディもピックガードも傷ひとつないだろ?
FVボディはスリーピースだ。後で紹介するけど、1977年のはワンピースだから、ちょっとスペックダウンかな。
VMでも、ほんとピッカピカですね。ネジのサビもないし。どんな保管されてたんですかね。
ヘンテコな3-Point Tune-o-Matic Bridge
FV寄り道になるけど、ブリッジもオリジナルだよ。ヘンテコだけど。
FV 当時のギブソンは「簡単にブリッジのポジションを変えられます」的な自慢げなセールストークだったが、結果的にミュージシャンからはあまり良い評価を受けず、短命に終わった「3-Point Tune-o-Matic Bridge」だ。
VMカタログのブリッジは普通のコマですけど、これは、なんか金属とプラスチックの…。
FV裏から見ても、なんとなく違和感あるよね。でも、これが純正なんだよ(笑)
マグネットに入れられたマジックの線
VM一番目を惹くのは、何といっても「マグネットにマジックでライン入れる」ギブソンの癖ですよねえ。
FVそうだね。ちょっと宣伝になるけど、Vintage ManiacsのHystericPAFは、このマグネットのマジックラインまで復刻してるから、機会があったら見てみてほしい。
VMないですよ、そんな機会。普通のギタリストは。
FVそんなもんかなあ…。
1977年のメロディメーカー
VM1977年は、普通のNashville Tune-O-Matic Bridgeですね。
FVカタログスペック的にも70年後期は、これが正しいんだろうね。
VMピックガードとかスクリューの本数・位置とかは全部一緒ですね。
FVカラマズー工場で棚卸のときに、セットアップ済のアッセンブリー在庫を見つけて、あわてて期末に組み立てて販売したのかもね(笑)
VMカラーはCherryとWalnut、そしてサンバーストがあるとカタログに書かれてましたね。
FVしかし、ピックアップキャビティのイエローを見ると、なぜ仕上がりが、こんなブラウン系のサンバーストになるのか、わからんわ。
FV60年代のイエローっぽいよなあ。
FV内部も初公開。じっくり見て楽しんでくれ。
レアなフルサイズヘッドのメロディメーカー
VMまあ、こうして2本を比較してみると、ネックジョイント部分の面取りというかシェイプがちょっと違ったり…
FVペグが違ったり…
VMえーっと……それと……
FVもったいぶるなよ。そもそもヘッド形状が違うから今回紹介してるんだろうが!(笑)
FVむちゃむちゃレアなんだよ、見たことないぐらい。
VMそうでした。時々発見する「フルサイズヘッドストック」のMMなんですよね。びっくり。フルサイズヘッドのメロディメーカーコレクターですよね、FVさんは。
FV最後に、ギブソンの80年代のパーツリストに面白い写真があるので紹介するよ。
VMあちゃ~、マグネットにマジックのマーキングがしっかりと入ってますね。ここまで見せなくてもいいのに。
(後記)
*1975年にArrowsで、この曲「I Love Rock 'N' Roll」を大ヒットさせたアラン・メリルさんが、コロナウイルスによる肺炎で2020年3月29日に亡くなられたのは、本当に悲しい出来事でした。「Namida」のヒットで日本にもファンが多く、お母様のヘレン・メリルさんと共に、東京とご縁の深かったアラン、Rest in Peace。
アラン・メリル - Wikipedia
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