デジタル・ヴィンテージ・ポートフォリオ 第1回
「デジタルで加工したヴィンテージっぽいギブソンのデザイン」をテーマにしたシリーズ第1回。Vintage Maniacsの過去のエイプリルフールネタを振り返りつつ、「本当に存在しそうな感覚」を出すコツについて考えます。
目次
考える時間が持てるアナログ・デザイン
VMGibbonsモデルのSGV 、反響が凄かったですよ。
FVヘッドストックのデザインとか、ボディカラーとか、斬新だったからね!
VM違いますよ。デザインじゃなくて、「FVさんが相変わらずアナログで絵を描いているのは凄い」って(笑)
FVえ~、そこかあ。でも、最初からパソコンに向かってカチャカチャ描き出すのって慣れてなくてね。やっぱり、ケント紙とロットリング、ホルベイン(ウォーターカラー)っていう中学時代からの組み合わせがやりやすいよ。
VMいまだにロットリングなんか使ってるんですか。Phase90とダイナコンプって感じですね(笑) そういえば、Stay with T で会田誠さんのイラストを勝手にいじってレスポール持たせてましたけど、後で怒られませんでした?
FVいやいや、それは良いとして…。でも、デザインする過程はアナログの方がゆったりしていて、いろいろ頭の中で考える時間が持てる。その上で、最終的に完成のイメージを第三者に見てもらうときは、フォトショップで作ったほうがストレートに伝わり易いね。君が作ってくれたの、本物みたいだ。
VMああ、これですね。ボディカラーを変えるのとか、すごく楽ですよ。ほら。
本当に存在しそうな感覚
FVデジタルだと、なんでも出来ちゃいそうだろ? 以前紹介した「ロックンロールヴィンテージ」という北米のショップがエイプリルフールに紹介したギターも、「これは、すごくレアだ!」って、ネットで話題になりすぎちゃったからね。
VMそうですね。Flying V2紹介記事 のときに、ちょっといじったEX2。これもTwitterで拡散しすぎて収集つかなくなって、FVさんが謝ってましたしね。
FV君がつくった、Vintage Maniacsのエイプリルフールの画像しかり。
VMうわ、懐かしい! スパイナルタップ (PDF)のマーシャルアンプからヒントを得たんですが、いまeBayでチェックすると、ほんとに「11」まで数字が刻まれているノブがあるんですよね。
FV作っちゃうところが凄いな。その次の年の4月は、調子にのって、こんなデリカシーの無い(笑)レスポールを企画しちゃって、アメリカのファンから「ノブが多すぎてレスポールへの冒涜だよ」ってメールきたよね。彼はヴィンテージマニアックスが本当に改造したと思ってくれて、リアルに申し訳なかった。
VMエイプリルフールはユーモアなんですけど、「本当に存在しそうな感覚」を出すのって、結局「フォトショップの加工技術」ではなくて、ギブソン社が持ち続けていたヴィンテージデザインのツボっていうか、概念的な規則を抑えるのがコツですよね。
FVそうだね。でないと、ギブソンっぽくない「ヘンテコ」なデザインになってしまう。コツを押さえるっていう意味では、エクスプローラーのバルタンヘッドにMOPロゴを入れてみると、レイズドロゴとは一味ちがって実にしっくりくる。これは、なんどもイラストを描いているうちに「あってもいいな、あったらカッコ良いだろうな」と思うようになって、結局チューンナップしてもらっちゃった。
VM僕ら世代的には普通ですね、この組み合わせは。バナナヘッドにレイズドロゴだと「もっとカッコいい」ですけど。
FVうーん、君の感覚はときどき理解できないな。
VM一方で「本当に存在するのに、絶対に無さそう」な、カスタムメイド・ギブソンもありますよ。Tut Campbellさん所有の「NoMad」。
VMKurt Wilsonのサンダーボルト も、実際に遭遇すると「うそだろ~!」っていうぐらい、デジタル加工の画像っぽい。
VMギブソンも、NAMMショーにコリーナのサンダーボルトを出展していましたけど、それ以降に商品化された気配はないですね。
FV直線的デザインのギターって、いろいろいじり易いんだろうけど、まあ、どれを見てもオリジナルを凌駕するものは少ないね。
VMそれって、4本ならべるからですよ、おんなじ型を。僕はこのデザインが大好きで、ジョー・ペリーが弾いてるのを見て、すごく欲しかった。こっちの写真を見れば違和感ないでしょ?
FVうむ、なるほど。
VM「デジタルで加工したヴィンテージっぽいギブソンのデザイン」がテーマなんですが、結局それって、「幻のモダーンをつくる」っていうアプローチに似ていて、50年代や60年代に自分自身がタイムスリップして、永遠に存在しないはずの世界観をプロデュースするっていう、マニアックな楽しみですね。
FVエリック・クラプトンのエルボーレス・エクスプローラーのように、「有名になりすぎてギブソンが生産してしまう」っていうぐらい、インパクトのあるデザインを追求したいね。
VM僕は、こんなのがあったら飛びつきます(笑)
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