レスポール・クラシック - 幻のヴィンテージスペック

レスポール・クラシックは中古でよく見かけるギターですが、年式によってはヒスコレと肩を並べるルックスで評価の高いモデルです。ニッケルパーツやポジションマークの柄など、ギブソンがこだわったクラシックモデルの特徴を見ていきましょう。

レスポール・クラシックの評価

ギブソン・レスポールのレギュラーモデルの中で、もっともヴィンテージスペックを踏襲し評価の高いモデルがレスポール・クラシック1960です。価格的にはスタンダードのレギュラーモデルと同等ながら、ABR-1ブリッジとクルーソン・ペグを搭載し、パーツはすべてニッケル(レギュラーのスタンダードはクローム)と、ヒスコレに匹敵するルックスを備えており人気がありました。

ヘッド裏のシリアルは刻印ではなく、手の込んだラバースタンプです。

ラインナップの違いをカタログで確認

1994年のギブソンのカタログを見てみましょう。ラインナップには、クラシック・プレミアム・プラス(Classic Premium Plus)というトラ目が豪華なモデルと、うっすらとしたトラ目が上品なクラシック(Classic) 、そして通常のスタンダード(Standard)が掲載されていました。もともとクラシック1960もバリトラの個体がたくさんありましたが、そのあと実質値上げというか、ラインナップが分かれてプレミアム・プラスは少々高めの定価設定でした。なおプレミアム・プラスはトラ目全体が見えるようにピックガードは工場出荷時に搭載されておらず、ハードケースのポケットに入っていました。

レスポール・クラシックの特徴をチェック

細部を見てみましょう。ブリッジやテールピースなどのパーツはすべてニッケルです。

ポジションマークは通常のスタンダードモデルのウロコ状のものではなく、よりパーロイドっぽいうねりのある柄になっています。この材質はクラシックモデルにのみ搭載されており、他のモデルでは見られません。レギュラーモデルのクラシックシリーズで、なぜポジションマークの仕様を変更したのか真意はわかりませんが努力の跡が見られますね。

カッタウェイ部分は、レギュラーモデルならではのメイプル全体にかぶさる太いタイプです。

コントロールノブはヴィンテージタイプで、バレルタイプのスタンダードと区別しています。キャビティ内のピックアップに通じるザグリはかなり大ざっぱですね。

アッセンブリーの工程を省くため、メタルプレートにポットが載せられています。

ピックアップはオープンタイプの496Rと500Tです。ちなみに同時代のスタンダードは490Rと498Tでした。

90年代のクラシックはマホガニーが上質で、トップのメイプルは上位機種の59リイシューと遜色ないクオリティです。中古市場でのベストバイ・モデルのひとつですね。特にヘッドストックのシェイプやハニーバーストと呼ばれるカラーリングは、1999年のヒスコレのスペック変更を予感させるこだわりを感じます。

なおヘッドストックの「Les Paul」の表記は当初「Les Paul MODEL」と記されていましたが、1994年のカタログでは「Les Paul CLASSIC」というロゴに変更されています。またピックガードには金の箔押しで1960とスタンプされていて凝っていますね。

2010年以降に登場したレスポール・クラシック

さて、次は2010年以降に復刻したクラシックモデルを見てみましょう。

こちらも上品なワイドのトラ目が多い人気モデルですが、パーツがクロームだったり、ブリッジがナッシュビル・チューン・オー・マチックだったりと、往年のクラシックの良さが失われています。

ピックガードは搭載されていませんから、モデルの位置づけとしてはクラシック・プレミアム・プラスの後継機でしょう。

中古市場でも頻繁に出回るレスポール・クラシックモデルですが、90年代の比較的ワイドなフレイムで軽量、そしてニッケルパーツというスペックであれば、ぜひお手に取ってみていただきたい、かなりおすすめのモデルです。余談ですがクラシックモデルの特徴として、なぜか縦にクラックが入ったりヘッドのロゴまわりの塗装が浮いていたりする個体が多く見られます。

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