やっていい事と悪いこと - Firebird Ⅰ (前編)

自分では絶対に手を加える勇気がない、フルサイズのハムバッカー×2に改造されたヴィンテージのファイヤーバードⅠ。無謀な改造をされたこのギターを「やっていい事と悪い事」のキーワードで、2回にわたって見ていきましょう。

無謀な改造をされたFirebird Ⅰ

VM (Vintage Maniacs)やらかしてますね、相変わらず。

FV (Fukazawa Vintage Club)どっち?

VMこっちに決まってますよ。もう1本は、Japan Limitedのメダリオン・チューンナップでしょ?

FVこのファイヤーバードは、愛器の中でも想い入れが深くてね。一番好きで大事にしている。一見、Ⅲのハムバッカー改造に見えるだろ?

VM見えませんよ。Ⅰの2ハム改造でしょ? 無謀なことやりましたね。

FVあれ? すぐにわかっちゃったか。

VMネックのバインディングが無いですよ。FVさんが改造したんですか?

FVいやいや、そこまで勇気ないよ(笑)

VMこのギターのサウンドは、YouTube「HystericPAFハムバッカー・ピックアップ」で聴けます。無茶苦茶ドライブ感があって良い音してると思いました。

FVだろ?

VM入手したときから、このスペックだったんですか?

ファイヤーバードらしいポイント

FVまあ、ちょっと細かく見ていこうよ。

VM埃くらい、はらってから撮影してください。このブラシ便利ですから。

VMFVさんのギターって、いつも手入れしてなくて埃だらけでしょ。だから、わざわざマイ・ブラシを持ってきてあげました。プレゼントっす。

FVありがとう。なんか押しつけがましいな。

VMせっかくJapan Limitedと並んでいるので、スルーネック構造をちょっと見比べておきましょう。

VMJapan Limitedは、工場出荷時からカッコいいロングヴァイブローラ搭載。木の材料も作りもカスタムショップなみですね。

FVレギュラーラインのファイヤーバードⅤも、基本的には60年代のスルーネック構造と同じ構成なんだけど、当時はよくこんな面倒なスペックを思いついたなと感心するよ。

VMで、Firebird Ⅰが、ⅢやⅤ、Ⅶとくらべて、断然ファイヤーバードしているポイントですが、僕はテールピース下の「ここ」の部分だと思ってるんですよね。

FV同感。ショートにしてもロングにしても、ヴァイブローラ・ユニットが無い分スルーネックの構造が強調される。そういう視点だと、ストップテールピースのレギュラーⅤは、テールピース下の9枚構成の寄木細工(笑)がカッコいい。

やっていい事と悪い事

VMところで、前オーナーは何かを思ってツーハムに改造したわけでしょ?

FV神の声かも。そのおかげで、自分では絶対に手を加える勇気がない「ヴィンテージ・ファイヤーバード+フルサイズ・ハムバッカーのサウンド」が堪能できるわけだが、何とも複雑な心境だよ。

VMこの手彫り感が、どうしようもなく悲しいのは……僕だけですかね、そう思うの。フロントもこんな感じで。

FV実用性で見てみると、コンビネーションブリッジ・テールピースはオクターヴ・チューニングが合わせやすい現行タイプに交換されている。

VM自然に錆びていると、見分けがつきにくいですね。

FV復刻版は「DJマーク」が無いよ。

FVなによりも、3弦の溝の位置が違うし。

下段がヴィンテージ

VMやみクロ」でやってくださいよ。

FVお、久しぶりに。新しいクローズアップ・フィルターを買ったから使ってみたいし。

VMプロ用カメラの開発者とは思えない、お手軽な事をやってますね。マクロレンズ買いましょうよ。

FV持ってるよ、ちゃんと(笑) 接写は、人それぞれに使いやすさが違うから。マクロはマクロで良さを生かして、昆虫写真とか薔薇の接写には多用してる。

VMでは、まずスタッドボルトから。

VMぐるぐる渦巻、キュートですね。ヴィンテージならではの加工跡です。頭のネジ溝のつぶれ具合もGood!

VM長さは、1.5インチってとこです。(写真はインチ定規)

FVおいおい、クローズアップしたわりには適当なコメントだな(笑)

VMハムバッカーのザグリは、まあそれなりに「やっていい事」の部類に入るのかなと思って見てましたが、タイトルの「やって悪いこと」って、どのあたりの改造ですか?

FVそれは、ずばり「トグルスイッチの穴、増設」って部分だよ。

VM僕も、うすうす感じていました、この写真を見たときから。

FV後編では、そのあたり「Firebird ⅠとⅢの違い」、そして「なぜ音がいいのか」っていう部分に触れてみよう。

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ファイヤーバードの歴史とヴァイブローラの役割
ファイヤーバードというギターはアメリカンロックには欠かせないモデルです。SGではおなじみのパーツ、ロングヴァイブローラ(マエストロ・ヴィブラートユニット)に注目し、この機種の変遷とヴァイブローラが果たす役割を考えてみます。

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