デラックスな奴ら 前編

1969年に突如として登場したレスポールの新ラインナップ「デラックス Deluxe」は、「Junior・Special・Standard・Custom」のレスポール4グレードに割って入る、期待のニュースペックでした。その一年前、1968年にはご存知のとおり、P-90が搭載された1956年モデルが復刻していましたが、ハンバッカー・サウンドを求めるギタリストは、後を絶たなかったのでしょう、満を持しての登場です。

しかし、ハンバッカーはハンバッカーでも、ファイアーバードに搭載されたミニハムに、アジャスタブル・ポールピースを取り付けたような、コンパクト・ハンバッカーは、サウンドの評価も含め、中途半端なイメージに取られたのでしょうか、残念ながら「存在感のある逸品」としての成功は、なりませんでした。

ギター本体については、これまでも何度か特集しておりますので、見てみてください。私は、デラックスが大好きなので、皆さまが、新しいキュートな魅力を発見していただけると嬉しいです。

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冒頭の広告は、1990年前後のギター雑誌に掲載されたものです。

「なんや、なんや。 むっちゃむちゃ、安いヤンケ。こんなんやったら5本でも10本でも、買っといたらよかったわ」と思われた方も多いと思います。私も、そう思いながら広告をめくっています。目の毒ですね。(笑)

1969年 GT 198,000円
1976年 CSB 138,000円
1978年 GT 168,000円

うーむ、確かに安い印象を受けます。ただ、この広告で一緒に販売されている、SGLP JrやCustomと比べると、デラックスは相応の値付けに思えます。チェリーサンバーストよりもゴールドトップのほうが、高いです。

1977年 GT 180,000円
1963年 SGJr 195,000円
1977年 Custom 205,000円
1971年 CSB 170,000円

横に並んでいる、55モデルの1972年カスタムは、デラックスよりも安い。欲しい!
天下のギブソンが、138,000円とは!!そして、なんとヴィンテージSG Specialは、89,000円。
DX GTのトリオ。100万円でおつりがきます。なんてことだ!

デラックスに搭載されているミニハンバッカーは、現在も裏側にPat刻印がいれられているバージョンが計億生産されています。今回は同じ刻印ナンバーですが、デカールから移行した70年代後期のヴィンテージを測定してみました。「6.00」付近というのは、なんとも未知な出力領域ですが、実はこれが、70年代マーシャルとのマッチングが最高で、ふくよかなウーマントーンがバッチリ出るんです。

岩撫安彦さんがトニー・ゼマイティスにオーダーした「Silver Lady」のフロントにも搭載されていて、「使いやすいピックアップ」と評されています。

当時の雑誌広告をもう少しみてみましょう。

Deluxeが275,000円2ピーストップはめずらしい。ちょっと高めかな?1979年のStandardは、Kalamazooモデルなので、写真ではわかりにくいですが、トラメが出ているのだと思います。ダブルホワイトのピックアップはファクトリーオリジナル385,000円は、さすがに当時の中古価格としては・・・・。
LP Deluxeではないですが、Korina ModerneとかUS-1、どれでも140,000円 ですから、前述の1979年LP STD Kalamazooを一本買うか、こっちを三本買うか。
じつは、70年代のデラックスが中古楽器店の広告を賑わせたのは、この頃(1990年)が ピークで、以降の切り抜きでは、めっきり見なくなってしまうんですよ。

あと、スタンダードにない、デラックスの魅力といえば、何と言っても「カスタムカラーのスパークルフィニッシュ」でしょう。この時代、「スタンダードに手が届かないのがデラックス」とか、揶揄されていても、スパークル・カラーは、しっかりとコレクターズ・アイテムとしての地位を築いています。

70年代のデラックスって、どうしてもP-90×2や、ハンバッカー×2に改造されやすいです。その影響か80年代に近づくと「Pro Deluxe」という、ファクトリーオリジナルでP-90×2という仕様も登場しますが、概ねメイプルネックの時代と重なります。

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