禁断のスクリューに挑む

ヴァイブローラのアームを取り付けるネジはプラスかマイナスか、オーナーの間でよく議論になります。この「禁断」のスクリューについて、手元にあるギターやデッドストックパーツをご紹介しつつ迫ります。

VM以前から気になっていて、言い出すのが怖い話があるんですけど…。

FVなんだ唐突に。記事タイトルも「禁断」とか「挑む」とかになってるけど、仰々しい。そもそもVintage Maniacsなんだからギターの話だろ? 怖いってのはないだろうに。

VMまあ、そういわずに聞いてくださいよ。

FVあ、怖いといえば「AI搭載の少女型アンドロイドが暴走する映画」で、ダンスのシーンが怖かったな。

VMくにゃくにゃダンスですよね、怖かった!…じゃなくて、ギターの話ですよ。

FVアーム・スクリューの件かな?

VMえ? なんでわかったんですか?

FV写真に矢印が(笑)

ヨッチャン…って、コントみたいな会話してないで、ちゃんと本題に入りましょう。

VMわ、びっくりした。ヨッチャンさん、いたんですね。

ヨッチャン何いってるんですか。いっしょにランチ食べたじゃないですか。

VM帰ったと思ってました。

FVいつもVM君と2人だと、マンネリが一番怖いからね。残ってもらったんだ。

ヨッチャンこの写真、ちょっと「アレ」じゃないっすか?

FVうん、まあ、あれなんだけど、後から気づいてさ。

VMプロの写真家がこんなピンボケ写真を掲載して、よく恥ずかしくないですね!

FVやかましい! これもピンボケだ。参ったか!(笑) 

ヨッチャンデジタルの時代に久しぶりに見た感じがする失敗写真ですねえ。

VMオートフォーカスで撮っているのに、なんでこんなことになるんですか?

FVごめん、ちょっと屋外の雰囲気を誇張しようと、ヒシャカイシンドを浅くしすぎたら、こんなになっちゃって。老眼でカメラのモニターが見えなくってさ。

VMカタカナで書くと怪獣の名前みたいですね、被写界深度。

FVまずヴァイブローラのおさらいだけど、ショートの場合は、ステイ(ボディに取り付けるパーツ)が2種類あるよね。

VMボディに固定するスクリューの位置が、けっこう変わります。 

FVそうなんだよ。ショートヴァイブローラはワイドとナローの2種類あって、随分と見た目が異なる。まずはワイド。

次がナロー。

VM当時、工場でアッセンブリーするときに、ちゃんとパーツリストで分かれてたんですかね?

FVそりゃ、流れ作業の工業製品だから、適当な作業はしないよ。

ヨッチャンそんな事よりFVさん、相変わらずイロイロと工夫してますよね、セッティング。

FVさすが、よく気づいてくれました。これ、すっごく発明だよ。

VM僕はいつもの横着だと思ってました。

ヨッチャン……。

FVほら、ヴァイブローラって、チューニングが甘くなるから実用的ではないだろ?

VMで、1~3弦だけビブラートがかかるようにしたんですか。

FVすごいだろ。だまされたと思って弾いてごらんよ。

VMじゃら~~~ん。 

ヨッチャンほんとだ、気持ちいい。低音弦を開放にして、1~3弦を7フレットあたりで和音のビブラートをかけると、ワイキキのハワイアンとシカゴブルースが融合するような。チェット・アトキンスがストラト弾いてる感じのような。あるいは、ブライアン・セッツァーがスタインバーガーの…。

FVヨッチャン、大丈夫だよ、無理して褒めなくていいよ…(汗)

VMいやいや、これ新しいですよ。ちょっとギタリストの方々に試していただいて、YouTubeにアップしてほしいくらいです。

ヨッチャンで、本題は何でしたっけ。

FVヴァイブローラのアームを留めるネジが怖いとか、禁断とかって話。

VMプラスかマイナスかっていう議論がオーナーの間でしょっちゅうありますよね。 

FV近年の復刻版で、プラスのネジが搭載されているのをよく見るね。

VM実際は、どれが正しいんですか?っていう質問をしようと思って、すでに30分過ぎてますよ。

FV60年代の箱入りデッドストックパーツをみると「マイナスネジ」だな。

VM復刻版には裏側に六角ボルトが付いているのもありますね。

FV新旧合わせて、裏側は3タイプか。

VMこの際だから、今日ここにあるギターだけで良いので、片っ端から紹介しておいてください。

FVうーん、企画としては、まったくアカデミックじゃなくていいのかな?

ヨッチャンFVさんの面倒くさがり癖がうつったんじゃないですかね。

FVさらっとキツイ事いってるね。じゃあ、手あたり次第に。


69年の3Pマホネック、ワイドピックガードのSGはニッケルのマイナス。


62年のエボニーブロックLPSGはニッケルのマイナス。


69年のワイドPGカスタムはゴールドのマイナス。


64年のエピフォンはニッケルのマイナス。


65年のSGJrはクロームのマイナス。


65年のSBオリンピックはクロームのマイナス。


69年のSG Standardは筆者が交換したニッケルのプラス。


FVまあ、こうして手あたり次第に実機を見ても、工場出荷日からすでに何十年も経っているから、何人ものオーナーの手を渡るうちに交換されていても判別しにくいね。

VMファクトリー・オリジナルでプラス・スクリューがあるかがポイントですね。


ファイヤーバードシリーズはマイナス・スクリュー。


60年代のMM、SGシリーズはマイナス・スクリュー。


70年初期はマイナス・スクリュー。ステイ(ギター本体に取り付けるユニット)はすでにワイドタイプに移行。


FVということで、カタログを見る限りではマイナス・スクリューだ。

VMなんか、延々と語ってきたわりには、あっさりした結論ですね。

ヨッチャン「ファクトリー・オリジナルのプラス・スクリューがあった」という確証がほしいですね。

FVあ、だから「禁断」なんだ。議論せずに論拠を探そう。


このあたりのピックガードのめくれ具合というか、反り具合が大好き。


筆者が根拠なく「オリジナルかも」と思っている、ヘソ付きプラス・スクリュー。高校時代に中古で買ってからずっと持っている(写真手前)

       

掲載されている文章および画像の無断転載・引用(ソーシャルボタンは除く)は固くお断わりいたします。

最新の記事

禁断のスクリューに挑む

ノーベル物理楽器賞的な発明「クランク・ペグ」

SGスペシャルというヴィンテージギター (前編)

音の本棚 - アメリカの良心! Rickenbackerを買おう

おすすめ記事

灼熱のエイジド加工

SGスペシャルというヴィンテージギター (前編)

ノーベル物理楽器賞的な発明「クランク・ペグ」