アーティストケース、花盛り - Part 1
70年代にギブソンが別売した高級ギターケースのひとつ、SG用ペイズリー柄アーティストケース。この企画は3回シリーズで筆者のケースコレクションをご紹介。リペアや経年劣化で個体差のある10台のケースを、ひとつずつ見ていきます。
目次
ペイズリー柄のSGケース
ギブソンが70年代に企画・販売したアーティストシリーズのハードケース3種類は以前ご紹介したとおり、レスポール用が2種、SG用が1種でした。その高級感溢れるシリーズの中でも、とりわけ異彩を放つのが、サイケデリック時代のフラワーチルドレンを彷彿とさせる「Sorrentペイズリー柄SGケース」です。
アーティストシリーズ・ギターケース - 謎の高級ケーストリオ
保存状態や経年の日焼け、汚れなどから、並べてみると個体差が随分ありますが、もともと1種類の外装素材から作られています。
手前から2番目のケースは、オリジナルのシッピングカートンから出した、一番コンディションの良いものです。
アーティストケースのGibsonバッジ
バッジはブラス素材で表面が酸化しやすく、すぐに濁った感じの色になります。コンディションが良いバッジはキラキラしています。
ならべてみると良くわかりますね。
ケースの中は入手時のままで保管
10台のケースすべて、入手したときから入っていたSGをそのまま入れて保管しています。60年代のギターが入っている場合もありますが、ギターショーで買ったときに付いてきたケースがこれでした。それぞれを入れ間違わないように、チェキで撮影した写真をぶら下げています。
この時代のケースは、ハンドルが劣化して取れてしまい、苦い経験をされた方も多いと思います。修理については、次回詳細をレビューしますね。
さて本題。No.1~No.10まで、順番にギターとケースを見ていきましょう。今回はNo.1~No.3までの3台をご紹介します。
ペイズリー柄SGアーティストケース No.1
70年代初期のウォルナットカラーのスタンダードです。ネックが3Pなので時代はケースと一致しています。内装がきれいなコンディションを保っていますが、オリジナルのハンドルが壊れて「Just in Case」という便利なお助けレザーハンドルに交換されていました。
ペイズリー柄SGアーティストケース No.2
No.1と同じウォルナットカラーの70年代初期SGスタンダードが格納されていました。
フルオリジナルに見えますが取っ手が交換されています。ネジでがっつり止めるあたりがミネソタっぽいですね。
購入した中古楽器店がつけていた「タグ」も、そのままにしてあります。
ケースの中には、いろんなものが入っていました。
「ペイズリーケースキー」と書かれた黄色い紙封筒と、キュートな形状のケースキー、壊れたハンドル(もともとが、この焦げ茶色のバージョンとライトブラウンのバージョンがあったようです)、注意書きシート。取っ手はNO.1のケースと一緒に、このシリーズの最終回の記事で修理します。
ペイズリー柄SGアーティストケース No.3
鮮やかなチェリーレッドが退色せずに残っているコンディションの良いSGスタンダードは、フルオリジナルのミントコンディション。ケースの状態も良く、ポケットには3インチのギブソン・ストラップが入っていました。こういうアイテムは、アメリカでは「Case Candy」って呼ばれますね。
私はギターを買ったら、そのままほとんどいじらずに保管し続けているので、当時のいろんなアイテムや楽譜やメモがポケットから出てきて、眺めているのも楽しいです。これも、やはり取っ手が取れて交換されています。デリカシーがなく太い鉄の棒を折り曲げて固定してありますが、頑丈といえば頑丈で目的を達しています(笑)
ギター運搬中はケースの破損に注意
「取っ手が壊れてケースを落とし、楽器にダメージが及ぶ」という、致命的なやらかしハードケースは80年代初期まで続きます。いわゆるHeritage Korinaシリーズや、59 Vintage Reissueのスリムケースなど、早晩「がっつり」ハンドルが取れるので、いま壊れていないオーナーの方々も、いずれくる「脱落の日」に注意し、運搬中はくれぐれも慎重に。
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