音の本棚 第4回 『The Guitar』という写真集 - 前編

音の本棚「音棚(オンダナ)」の第4回は、Player別冊『The Guitar』。当時流行っていた、エスカッションを取り付けたフライングVや、梅田ナカイ楽器の広告を見てみましょう。

ギターという楽器への愛を端的に表現した名文

VM (Vintage Maniacs)のっけから破れてバラバラになった写真集、インパクトありますねえ。

FV (Fukazawa Vintage Club)ギターで言えば、「ロリー・ギャラガーのストラト」くらい弾きこんで…もとい、観込んでいるよ。学生時代は、期末試験の期間も含めて毎日眺めてたね。

VM今でも、よくひっぱりだして観てますよね。

FV私は、この写真集の冒頭に島田伸一さんという編集者が掲げたメッセージが大好きでね。この文章ほど、ギターという楽器への愛を端的に表現した名文は無いと思うよ。

FVこの「心の奥の底に住む自由を求めて止むことのない気持ちをギターが代弁してくれているのだ。」というメッセージに、随分と勇気づけられた。

VM当時は、ギターを弾いていると「あの子は不良だから、一緒に遊んじゃだめですよ」とか言われたんですよね、社宅の主婦に。

FV「社宅の主婦」って言い方は不自然だろ(笑) 素直に「友達のお母さん」て言えば良いじゃないか。まあ、銀行の社宅だったから、何かと異端児っぽく見られてたかもしれないね。「人と違う=不良」っていうレッテルは、自分の子供をおとなしく塾に通わせるための、友達の母親にとって都合良い口実にも聞こえるけど。でもまあ、とにかく私にとっては、島田さんの表現通り、ギターって生涯かけて「心を託して奏でられるもの」なんだよ。

VM何度も何度も開いては閉じているうちに、綴じ目がはずれてバラバラになったんですね。年季が入ってます。あ、ここ、白い紙を貼り付けて補修してありますよ。これもFVさんの仕業ですか?

FV昆虫図鑑とかもそうだけど、とにかく「崩壊したら直す」の繰り返しだよね。おいそれと2冊目の新しいのを買ってもらったりできないし。

VMここ、すごいっすね。歴史だ。

FVじゃあ、そろそろ中身を見てみようか。

VMおー、粗探しですね。楽しみ~。

FVちがうよ、粗探しじゃあないよ。

VMでも、しょっぱなからやらかしてますよ、編集部(笑)

FVどこ?

VMここ、ここ。

FVうわ、気づかなかった。左のギターが48万円だったらぶっ飛ぶし。右のが18万円だったら、今すぐ欲しいわ。

VM本編はいかがですか? FVさんの「憧れのギター」とか「想い出のモデル」という視点で何本か紹介してください。

FVそうだねえ、Vintage Maniacsを読んでいただいているマニアの方々からも共感を抱いていただけるセレクションとなると、緊張するね。

VMじゃあ、僕が気になったのを選ぶから解説してくださいよ。

エスカッションを取り付けたフライングV

FVフライングVのメダリオンね。当時フライングVにエスカッションつけるの、流行ったなあ。実はピックガードにネジ止めしなくても、エレベーション・スクリューとスプリングでエスカッションは固定されるんだけど。残念なことに、ほとんどの人がピックガードにネジ穴を8つ開けてしまっている。

VMでも、メダリオンが普通にツアーやスタジオの機材として活躍しているのが当時の特長ですね。ヴィンテージギターといっても、あくまで「ライブでガンガン使える音の良いギター」という位置づけでしょう?

FVそうだね。現行品の新品を買うよりも、高くて2倍とか、手の届く範囲だから。

VMそういえば、この写真集には梅田ナカイ楽器の広告が載っています。FVさんがバイトしてた頃でしょ?

FVこのファイアーバードⅦは、「音の本棚 第2回」で、マック・ヤスダさんが「大阪の居酒屋で撮った写真」の解説で触れた。阪急三番街古書の街(その周辺は居酒屋・飲み屋街)の入り口にある「ナカイ楽器のファイアーバードⅦ」だ。60万円かあ…。

VMサンダーバード 298,000円。SGジュニア 138,000円。レスポールジュニアが26万円…。

FV当時の相場からすると、それでも「梅田ナカイ楽器」のヴィンテージは比較的高額だったと記憶しているよ。

VMちょっと話はフライングVに戻りますけれど、この人、随分ちぐはぐなことやっていますね。

FVああ、これねえ。悲しいねえ。左はオリジナルのヴァイブローラを外してストップテールピースに改造しているのに、右のメダリオンはヴァイブローラを後付けしたネジ穴が3個残っている。

VM皆さん、プレイヤーだから、さほど気にせずいじっている印象です。

FVマイケル・シェンカー人気もあって、当時は変形ギターといえば、とにかくフライングV。それも、ヴァイブローラ搭載の67モデルが花盛り。

VMこちらは、アンディ・パウエルさんです。左右の2本にもエスカッションが搭載されていますね。中央のVはカスタムメイドでしょうか?

FV印象的には、The Vっぽいイメージだ。ギブソンは、ここからヒントを得たのかな?

VMワンショットで決定的な印象を与えるギターってあります。多分、ルックス的にはわずかな違いなのに、それが強く印象に残ってしまいます。アレン・コリンズのショートヴァイブローラつきエキスプローラーとか、僕は憧れです。

FV私にとってインパクトの強かったギターは、この本の中では圧倒的にコリーナV。

VMへえ~、どのあたりがインパクトなんですか?

FVここ。

VMあちゃー。ロゴがとれちゃったにしても、取り繕い方が半端なく適当ですね(笑)

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