アーティストケース、花盛り - Part 3
ペイズリー柄のアーティストケース特集は今回が最終回。4台のケースを比較しつつ、各ケースのヒンジやラッチの金具の違いにも注目。ハンドル交換の様子もご紹介します。
目次
アーティスト(ペイズリー)ケース・シリーズ第3回(最終回)
ペイズリーケース特集の最終回となる今回は、壊れたハンドルの修理もご紹介します。こうして、まとめてギターやケースを撮影するときは、とかく「運搬が雑になりがち」ですが、思いもよらぬタイミングで取っ手が割れたり、ケースのラッチが外れたりするので、基本的にはハンドルに頼らずに両手で丁寧に抱えるようにしています。
ペイズリー柄SGアーティストケース No.7
買ったときから60年代初期のジュニアが入っていましたが、明らかに後でケースが入れ替わっています。でなければ、よほどギター本体が売れ残って(10年も?笑)、ケース付きで販売するときには70年代になっていたとか。あ、でも10年間在庫で持っているって、アメリカの田舎の楽器店ならありそうですね。
バックパネルがスモールなので、結構初期のスペックですね。
アーティストケースの金具
ここで、すこし寄り道して、ラッチやヒンジのパーツ類を見ておきましょう。通常のゴールドパーツとくらべて随分と重厚なメッキなのがわかります。お金かけてますね。
ロゴバッジもヴィンテージの使いまわしではなくて、新たに金型から作っていて手が込んでいます。
そして一番の謎、ハンドルの間に位置する「足」。この位置で何か役に立っているのか…。
そしてヒンジ部分。よく見ると2パターンあります。まずはシンプルなAタイプ。
重厚なBタイプ。
どう見てもBタイプの方が耐久性がありそうです。
ペイズリー柄SGアーティストケース No.8
ちょっと変わった70年代のSGが収納されています。どこが変わっているかというと、ヘッドストックに黒い塗装がなくて、そのままGibsonデカールが貼付されています。フルサイズ・ヘッドストックのSGMMでも時々見かける仕様です。
ペイズリー柄SGアーティストケース No.9
SGコレクションのなかでもレア中のレア。ストップテールピースでトフィーブラウン。ペイズリーケースと相まって、最強のレア度だと自負しています。
ヴァイブローラを取り付けたネジ跡が無いので、ファクトリーオリジナルなのがわかります。
ヘッドストックのロッドカバーには「Custom」の文字が入っています。
この時代の樹脂製ハンドルが崩壊しやすいのは、機会があるごとにご説明してきました。それぞれのケースがレザーハンドルやまったくの色違いでは並べたときに見た目が悪いので、今回は一念奮起して、3台とも直してしまいましょう。
無骨に鉄棒を曲げて支えてありますが、意外と頑丈で機能的には問題ないようです。
鉄棒をカットして外します。
おなじみの六角レンチでピンをつぶして、新しいハンドルを固定します。
できあがり。作業は10分でした。
次のハンドルはネジできちんと止められているので、見た目を気にしなければ、このリペアは合理的ですね。
取り外すのも楽チンです。
これをこうして、こうします。
最後のレザーハンドルは5分で交換完了。
いかがでしょう、しっかりと修理できて、見た目もすっきりしました。
ペイズリー柄SGアーティストケース No.10
最後に、これは唯一ケース単体で入手する機会があったので、愛器を収納しています。
10台のペイズリーケースを3回連載で見てきましたが、みなさん楽しんでいただけましたでしょうか。サイケデリックな時代の象徴として、クラプトンのペイントSGを入れたいぐらいキュートでポップなSorrentケース。これからも、見つけたら入手し続けたい逸品です。
カラフルはハードケースを展開している北米のショップがあるので、ここでご紹介しておきますね。
Guitarfetish - Hard Shell Cases
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