エピフォン・オリンピック(前編) - GibsonとEpiphoneのブランド展開

知ってるようであまり知らないエピフォンのギター「オリンピック」。復刻版も発売され注目のモデルを3回に分けてご紹介。GibsonとEpiphoneの当時の価格を比較しながら、ダブルブランド展開をするギブソンの戦略を推論します。

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ギブソン工場で作られたEpiphone Olympic

VM(Vintage Maniacs)今回はオリンピックですね。

FV(Fukazawa Vintage Club)オリンピックだよ。スポーツと関係ないけど(笑)

VM…いままで、知ってるようで知らなかったエピフォンのモデルです。手に取ると、作りがよくてポテンシャルがありますね。

FV最近、復刻版が登場して、あらためて注目されている。そういえば70年代には日本製のエピフォンもあったね。

VM今回はギブソン製の60年代モデルです。まずは、このモデルの位置づけから。

必読のムック本『Little Guitars』

FVOlympicは『Little Guitars』というムック本にしっかりと掲載されているから、SG Jr.やFender Mustang、Epiphone Wilshire/Olympicに興味ある人は必読だと思う。個人的には、この本は内容が濃くて、過去20年間に出版されたギター本でトップ3に入る。

VM発刊当時から、FVさんは『Little Guitars』をずいぶんと評価していましたよね。

FVそうなんだ。なかなか見過ごされがちなベーシックモデルを、体系的に写真入りでしっかりと纏めた功績はでかい。

GibsonとEpiphoneのダブルブランド

VMしかし、いろんなモデルを出してますねえ。エピフォンって、経営的に行き詰まってか1957年にギブソンに買収されます。でも、そもそもトラスロッドやトーンコントロールは同社が発想したとか。歴史あるメーカーです。

FV60年代のカタログと価格表でギブソンと比較すると、ボディシェイプやデザインは異なるけど、ハードウェアの仕様やグレード毎の価格帯などは結構被る。なぜギブソンとエピフォンのダブルブランドが必要なのか、よくわからない。

VMさらにエピフォンの場合、ソリッドボディのラインナップを見ると、ボディのシルエットは概ね同じで、ピックアップのスペックが異なるぐらいです。

FVだろ? わざわざ同じ工場で作った別ブランドのギターを楽器店の店頭にならべる理由がわからんな。ギター買いに来たお客さんも、選択肢が広がっているようで、逆に迷うだけだったかも。

VMミニハムバッカーやP-90、シングルコイルを同じようなボディに搭載して、ギブソンとの価格差を出しているのが理解できませんね。

FVおいおい、価格差っていうけど、差はそんなにないよ。エピフォンがギブソンの廉価版だと思われているのはあくまでイメージであって、ちゃんと比較すると「なぜ?」となる。
例えば、P-90 × 1のSG Jr.とCoronetを比較すると、前者が169.5ドルで、後者が162.5ドルとなっているだろ? わずか7ドルの差しか無いんだよ。しかも、ケースと一緒に購入しようとすると、ギブソンのハードケースは42ドルなのに、エピフォンは50ドルになってる。

VMさすがFVさん、相変わらずチマチマと細かいところまで見てますね。それって結局ケース付きで買うと同じ値段だったってことですよね。

FVそうさ。だからクルマでいえば「CARINA」と「VISTA」のように、ブランディングを違えただけで、製造部門の気合いの入り方は、あくまでクオリティとして同等のモデル扱いだったと思うよ。

VMあのお…今の若い人って、カリーナとかビスタってわからないと思いますけど。

FVあ、そうか。まあ、クルマ乗らない人、多いからねえ、最近は。

VMとにかく、当時ギブソン社が「Gibson」ブランドと「Epiphone」ブランドを、どう販路で区別していたのか、ちゃんと考察したいです。

Epiphoneのカタログ

FVせっかくカタログがあるから、ひと通り見てからOlympic本体にいこうか。

VMフルアコとセミアコ、モデル名がたくさんありすぎて覚えられませんよ、僕は。とりあえず、フルサイズのハムバッカーはラインナップにないんですね。RIVIERAとCASINOって、335と330の関係かなあ。

FVクラシックギターが結構豊富にそろってる。気が付いた人もいると思うけど、日本で「アコギ」って、フォークギターのことだろ? でも、ここに書いてある「アコギ」は、「Flat Top」なんだ。

VMうわ、びっくりした。そうですね。「Acoustic」って、フルアコっていうかジャズギターの「Non-Pickup」モデルになってる。英語の勉強になりますね(笑)

ダブルブランド展開の理由を推論する

FVこのカタログに掲載されているのは全部で36モデルだから、同時代のギブソンと比較すると1/5ぐらいかな。小さな楽器店だと、ギブソンを並べていても「あのモデルは無いのか?」「レスポールを弾いてみたい」「あれを取り寄せて」って、対応しきれんからな。エピフォンなら「この中から選んでよ」っていう方が簡単だったんだろう。

VMそんな適当な推論ぶちかましてると怒られますよ(笑) ルート戦略というか、やっぱりちゃんとマーケティングの4Pっていうんですか、「Product(製品)」と「Place (販売ルート)」と「Promotion(広告宣伝)」と「Price(価格)」で、うまく区別しようとしてたんでしょう。

FVだから、価格は同じなんだって!(怒)

VMこのカタログのお店って、まだ現存してますよ。ウィスコンシンのMadisonに。

Patti Music


FVそうだよ、だって写真のOlympicは、1989年にこのお店に行ったときに、アルバイトしてた店員のお父さんから買ったんだから。その時にカタログもくれたんだよ。

VMじゃあ、その時にインタビューしていれば、もう少し紐解けたかもしれませんね。

FV確かにね。ここのお店はクラシック関係の楽器とか楽譜が多かったし、もともとが表参道のKAWAI楽器みたいな感じだね。

VMということは、やっぱり「エレキブームだから、とりあえず店頭で説明しやすいラインナップのエピフォンを扱ってくださいよ」ってセールスが売り込んだのかもね。

FVそんな適当な推論語ってると、それこそ「怒られる」よ(笑)

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