ABR-1用フラットヘッド・ブラスサドルの復刻
ヴィンテージサウンドの要といわれるブラス製のサドル。その中でもトップ面が平らなフラットヘッドのサドルをVintage Maniacsが復刻しました。
目次
ヴィンテージサウンドに重要なブラス製サドル
ギブソン社が、エレクトリックギターのブリッジに、ピッチ調整が可能なコマを搭載したのは1956年です。それまでは、バーテールピースとブリッジを兼用したパーツで、微細なセットアップができませんでしたので、どんなゲージの弦でも正確なピッチが得られるABR-1の出現は、エポックメイキングな出来事として幅広くギタリストから受け入れられました。
今回は、そのABR-1に搭載され、いまでも「ヴィンテージサウンドの要」といわれる、ブラス製サドルをマニアックに見ていきます。
ABR-1用サドルのトップ形状の違い
お手持ちの現行モデルのABR-1(ヒストリックコレクションやレギュラーモデル)を見ていただくと、サドルのトップがシャープな形状をしているのがわかると思います。
サドルは、どの音程でも常に同じ部分が弦に触れている唯一のパーツですから、サウンドへの影響も大きいですね。ヴィンテージの素材はブラス(真鍮)です。外観上の特徴は、幅広のスダレ模様と、削られてフラット気味になったトップ面です。
拡大すると、なめしたように頭の部分がつぶれているのがわかります。これは50年代後期スペックで、尖ったヘッド部分により弦切れが多発したための改善策とみられています。サドルと弦の接地面積は、ヘッドが尖ったサドルにくらべて優に3倍以上あります。
次の画像は、すべてのブリッジがデッドストックです。弦溝が切られていないので、サドルトップの平坦さがわかりやすいと思います。
サドルがブリッジに搭載された状態で、上と横から見た画像です。
てっぺんがフラットなので、横から見るとサドルの上部が五角形なのです。
このフラットヘッド・ブラスサドル(FHBS)は、60年にABR-1がワイヤードになった頃から登場し、60年代を通り越して75年頃まで使われています。当時のギブソンパーツとしては長期政権と言えますね。
私たちが慣れ親しんで、愛してきたギブソンのヴィンテージサウンド、60年代のSG Standardや、Firebird Ⅴ、71年のメダリオンVや68GTの、まったりした甘いメローな歪の秘密、マーシャルとのマッチングは、このサドルにも大きなポイントがありそうだと思うわけです。
復刻版フラットヘッド・ブラスサドル
で、一念発起して、ブラス素材のフラットヘッド五角形サドルを復刻しました。ギブソン純正の現行ABR-1に搭載して、ブリッジサドルからヴィンテージサウンドへアプローチしてみます。
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