スーパーハムバッカーを搭載した70年代のSG
筆者が好きな70年代のSGにはバンブルビーやブラックビューティーとは異なる茶色い四角形のコンデンサーが搭載され、同時にピックアップにも大きな変化があらわれます。今回はあまり注目されることのない70年代初期のSGにスポットを当ててみましょう。
ギブソンファンにとって、バンブルビーやブラックビューティーとよばれるオイルコンデンサーのサウンドは、ある種あこがれですね。筆者が好きな70年代のSGには、それらとは異なる茶色い四角形のコンデンサーが搭載されます。同時にスーパーハムバッカーを搭載するなどピックアップにも大きな変化があらわれますので、今回はあまり注目されることのない70年代初期のSGにスポットを当ててみましょう。
今回紹介するギターは、1973年に神戸元町のロッコーマンで新品を購入した愛器です。それからずっと震災も乗り切って手元にあります。ワイドピックガードがシングルピックガードに変更になってすぐのモデルなので、指板がなぜかエボニー。フライングVにも、ときどきありますね。
まずサーキットです。
ポットデートをよく見ると、69年であることがわかります。次の画像の①と②で「69」と記されています。③はブラックビューティーから変更された茶色いコンデンサー。特に愛称は無いようです。
ブラックとイエローのビニールチューブで絶縁してあり、イエローは60年代と同じ素材です。
ポインターの矢印部分の角度がすでになだらかになっていますね。
スイッチクラフト社のセレクターは60年代と同じ仕様ですが、インプットジャックがよりデュラビリティの上がった高級品になっています。当時は交換が多発した部品だったのでしょう。
もっとも大きな変更点は、スーパーハムバッカー(Super Humbucker)と銘打った新しいピックアップの搭載です。裏側をエポキシで固めてありフィードバック対策は万全。中音域から高音域まで、耳に優しいジャジーなサウンドと、抜群のコードワークを再現しています。昔「11PM」という深夜番組に出演していたフルバンのギタリストが、このピックアップを搭載したSGカスタムを弾いていましたが、なかなかのセンスです。
ピックアップカバーとステイをハンダ付けしてあるのがわかりますね。スーパーハムバッカーと呼ばれているのでさぞかし高出力かとおもいきや、実際は7.15kΩ前後が多いようです。もともとのギブソンの意図はSGとレスポールのキャラクター付けをするための仕様変更と考えたほうがよさそうです。
SGは70年代には「プラスチックカバーのミニハム」や「エンボスカバーのP-90」をはじめ、SG ProやSG Deluxe、SG Professionalなど適当な名前でいろんな亜種を登場させているので、マニア泣かせのモデルなんですね。
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