メロディーメーカーのシングルコイル・ピックアップ

メロディーメーカーとSB-200のピックアップに注目しつつ、70年代のギブソンがどのような商品開発をしていったのか、これらギターのスペックとともに考察します。

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ピックアップはベース用とギター用で、それぞれ別設計された異なるスペックだと思っていたら、ヴィンテージのギブソンでは、かなり適当な事をやってくれていました。

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画像でご覧いただける通り、70年代に復刻されたメロディーメーカーと、SGシェイプのまま廉価版で登場したSB-200には、ともにスクリプトロゴが成型されたシングルコイルが搭載されていたのです。

メロディーメーカーのシングルコイルは、60年代後半に同モデルがディスコンされたあと、70年代中期に復刻されるまでは生産されていなかったので、写真のモデルはまったく新しいピックアップと考えてよいでしょう。ヴィンテージのボビンは、このカバーには収納できないサイズになっていて互換性がありません。

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フロントとリアに同じピックアップが搭載されています。今回は比較するベースも2ピックアップバージョンです。

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ギター同様にフロントとリアに同じピックアップです。

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ギターとベースの違いは、ピックアップリングがあるか、ピックガードにダイレクトマウントかの違いぐらいに見えます。

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こうして改めてメロディーメーカーのアッセンブリーをみると、生産工程の合理性において、ストラトキャスターの影響が見られますね。

当時は、メロディーメーカーやSBシリーズは欧州での販売に苦戦したようで、短期間で生産終了となり、専用パーツは大量にオーバーストックとなったそうです。レフトオーバーパーツのボックスにも、スクリプトロゴが燦然と輝く、チープ(笑)なピックアップカバーが大量に紛れていました。

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70年代の復刻版メロディーメーカーは、細部を良く観察していくと決して安価な作りやスペックではなく、当時レスポールスタンダードやフライングVに搭載されたギブソンロゴ入りのシャーラー製ペグが採用されていたり、ナッシュビル・チューン・オー・マチック搭載など、十分にSGスタンダード並みのスペックなのです。

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SB-200も同様に、ロートマチックペグを搭載していたり、ブリッジカバーにスクリプトロゴが入っていたりと、どこか愛らしいデザインになっています。

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いかがでしょう。不毛の時代とよばれるギブソンの70年代ですが、ターゲットを見失ったままセールスの要望に応える商品開発が、いかに「アサハカ」かを証明してみせるようなこれらのモデル。しかし、その時代を日本ギブソンのカタログを眺めながら育った私たち世代には、この上なく海の向こうのMade in USAだったことには間違いないのです。

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最後になりますが、このスチューデントモデルと思われがちなメロディーメーカーですが、当時の価格はL-6S Deluxeよりも高額で、ほとんどSGスタンダード並みの539ドルに設定されていました。

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