レスポール・スタンダードはThe Popular Les Paul - 1956年のギブソン・カタログ

1956年のギブソン・カタログは、まだ表紙に「エレクトリック・ソリッドボディ」という表記はなく、Electric Guitar、Spanish Guitar、Steel Guitarなどと記載されています。イラストは設計図面のイメージなのでしょうか、ちょっと見た感じではギターとはわかりません。

1956年のギブソン・カタログの表紙

1956年のギブソン・カタログは、まだ表紙に「エレクトリック・ソリッドボディ」という表記はなく、Electric Guitar、Spanish Guitar、Steel Guitarなどと記載されています。イラストは設計図面のイメージなのでしょうか、ちょっと見た感じではギターとはわかりません。しかもレスポール・モデルがすでに衝撃的なデビューをしているにも関わらず、表紙はどう見てもラップスティールとフルアコっぽいギターです。ページをめくると、さっそうと黒のカスタムが登場しました。テールピースの弦の通し方が洒落てます。

レスポール・カスタムとビグスビー

説明文には、普通に「Two powerful magnetic type pickups」と書いてありますが、実際はフロントとリアのピックアップのスペックは異なりますから、どう見ても説明不足…というか不親切です。一方でこの当時からギブソン社はビグスビーのセールスに力を入れていたようで、ギターよりも大きく、しっかりとアピールしています。

レスポール・スタンダードは、The Popular Les Paulと書かれていて、Standardの文字は見当たりません。カスタムと異なり、テールピースの弦通しは通常です。そして下段のスペシャルですが、Outstanding Valueと書かれていて、超お買い得のギターだったようです、良く見ると説明文の最後にLimed ColorのラインナップとしてTV Jrが記載されています。次ページのレスポール・ジュニアと違い、スペシャルの1ピックアップ・モデルという位置づけだったようです。ちなみにZipper Case Coverは、まだこのカタログでは登場していません。

The Popular Les Paulと記載されたレスポール・スタンダード

そして、スペシャルとジュニアの間に唐突に割り込んでくるのがES-225Tです。

ES-225とアンプとセットになったレスポール・ジュニア

どうみても脈略がありません。本来でしたら下段のジュニアを上にもってくるほうが自然です。そのジュニアは、Les Paul Juniorアンプとかわいらしく肩を並べて掲載されていて、初心者はセットで買いたくなってしまいます。カスタムやスタンダードにセットのアンプが無いのはどういうことなのでしょう。初心者=Student向けでLes Paul JrとJr Ampの推奨ということであれば、カポやピッチパイプ、ストラップも一緒に載せてほしいところですね。

この時期のバイオリンシェイプ・エレクトリックベースは、カタログには型番の記載がありません。一見小型のチェロのようでアコースティックなイメージがあり、その下のジャズギター用ピックアップとも違和感なく掲載されています。

バイオリンシェイプのギブソン・ベース

そして裏表紙にはElectric Harpが2台。

ギブソンのエレクトリック・ハープ

注意書きで「価格は別途価格表参照」と記載されていて、このカタログからは実際の標準小売価格が読み取れません。古いカタログを入手すると、手書きでいろいろなコメントが付記されていることがあり、当時の店頭を推察するには非常に貴重な資料になることがあります。たとえば、レスポール・スタンダードとジュニアの安価なチップボード・ケースをセットにして合計金額を鉛筆書きしてあったりすると、なるほど当時のハードケースは、ギターとくらべて高額だったのだと理解できるのです。翌年のカタログには価格が明記されますので、やはり店頭で即決という買い物ではなく、一旦家に帰ってじっくり検討…といった風情でしょう。

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