ES-175 - GibsonによるGibsonのためのGibson的な決断(番外編)

Vintage Maniacsとしてはめずらしい「アーチトップ」をとりあげた、ES-175特集の最終回はパーツに注目。優れもののパーツからリストに載っていない謎の部品まで、隅々までご紹介します。

ES-175特集の最終回

VMいよいよ3回連載の最終回ですね。

FV君はアーチトップギターってあまり興味なさそうだったけど、楽しめたかね?

VMえ~、もともと僕は大村憲司さんのファンですから、興味なくはないですよ。

FVそっか。だけど、憲司さんはES-175使ってないだろ。

VMFVさんが家に遊びに行ったときに「ES-175があってさ」って話を覚えてますよ。それは誰のだったんですか?

FV知らない。聞かなかったから。でも、大村さんのじゃないよね。

ストラップピンとテールピース

VMとか言いながら、さりげなくパーツを見せてますけど、このストラップピンのネジってマイナスでいいんですか? 普通、この位置に付けないですよね。

FVこれねえ、最初からマイナスなんだけど、オリジナルかなあ…。普通は、ここに付けたくなるよねえ。矢印の下の○の部分。

FVボディエンドのネジはプラスだ。

VMそういえばテールピースもストレートじゃなくて蛇腹模様で、ヴィンテージっぽさが出てます。クロームメッキですけど、この形状はかっこいいですね。

FV弦を張り替えるとき、内側のポケットが広くて素早く作業ができる。後年のスペックよりも断然使いやすいよ。

トグルスイッチの謎のプレート

VMそのほかには、どんな蘊蓄があるんですか?(笑)

FVそうねえ、いろいろ探せば出てきそうだけど、オーソドックスに「トグルスイッチの謎のプレート」から見てみるか。

VMなんですか、これ?

FV外してみようと思ったけど、今回だけは「絶対割れる」って直感が走って、やめた。謎。

VMえーっ、FVさんらしくないなあ。

FVでも、結構多いんだよ、このプレートが付いているの。「RHYTHM」とか「TREBLE」とか印刷されている訳でもなく、用途不明。すでに割れてるし(笑)

VMパーツリストにも、この薄いプレート部分のパーツ番号なかったんでしょう?

FV探し回ったけど、どの年代のパーツリストにも該当品はないね。

優れもののピックガード・ステイ

VMノブとかピックガードもコンディション良さそうですね。

FV外すとチューブ状のワッシャーが出てくる。これって、SG Professionalのパーツと似ているけれど、年代的にはES-175のほうが随分古くから搭載しているね。失くすと困るよ、これだけは。

VMギブソンのアーチトップって、ES-125などの廉価版にはレスポールと同じ、平べったいプレートを曲げた「ステイ(ブラケット)」が付いていますが、ES-175は複雑な構造ですね。

FV優れものだよ。搭載してから微調整できるし、トップに負担かけないし。

VMこれ、頭の部分が無いような…。

FVとれちゃって、長年放置したまま。

VMパーツ持ってるんでしょ? 取り付けてくださいよ。

FVってことで、今回は写真撮影のついでに、しっかりと取り付けるよ。

VM右のは、ヴィンテージのES-335のパーツですか?

FV緑のフエルトが付いているから、335かどうかわからないけど、とりあえず古い時代のだね。

VMおー、しっかり直りましたね。このネジ頭、探すと無いんですよ。アフターマーケットのは概ね「デベソ」で格好悪いし。

FVそうだね、失くさない事が一番だ。でないと削り出して作ってもらう羽目になる。

VMいっぱい持ってるじゃないですか、FVさん。

FVデッドストックは結構持ってるけど、ブラケットとセットだから頭だけって無いんだよ(笑)

VMふーん、そんなもんですかねえ。出し惜しみして…。

FVひとぎきが悪いなあ。機会をみてVintage Maniacsで作ってよ。

VMいいですよ。

FVほんと? 嬉しいよ。

空港で壊されたハンドルを修理

VMそろそろ飽きてきたんですけど、なんか面白いネタないですか?

FVあ、そういえば「グリーンビルの空港で壊されたハンドルを直します」って話でしたね。

VMそうそう、初回でそういってましたね。

FV直すのは簡単なんだけど悔しくてねえ、当時を思い出すと。

VM殴ったんでしょ、Securityを?

FV飛行機に乗るのに、ちゃんと「ES-175」の座席分もチケットを買ったんだよ。(当時はそういう席の確保ができたし、機内持ち込みも可能でした)で、手荷物で持ち込むんだけど、搭乗前のボディチェックを受けている合間に、勝手にセキュリティがケースを開けてギターをいじってるんだ。

VMいいじゃないですか、触るぐらい。検査でしょ?

FV良くないよ。弾こうとしてるんだよ。で、「何勝手にいじってるんですか。戻してください」って丁寧に言ったんだ。

VM100回聞きましたよ、その話(笑)

FVまあ、これを読んでくれてる人は初めてだからさ。そしたら、「お前の彼女かよ、ジャップ。ギターとファックするのか?」って随分と汚い言葉で言われて。そのSecurityが、投げるようにケースを持ち上げたときに、ハンドルがブチって。

VM80年代の南部の田舎町なんですから仕方ないですよ、それぐらいの雑言。Security殴って、良く撃たれませんでしたよね。

FV横にMike(Chascart:会社の同僚で湾岸帰り)がいなければ危なかったな。まあ、自分の想いがあるギターって、そんなもんだよ。

VMで、その悔しさを忘れないためにもハンドルを直さなかったって、なんか武勇伝にしてはチマイ話ですよ。僕ならさっさと忘れてハンドル取り換えるなあ。

FVとか言ってる間に直ったぞ。

FVあえてレザーハンドルにしてみた。ヴィンテージっぽいだろ?(笑) インスタントラーメンを作るよりも早かったな。

クオリティを追求したスクリュー

VMそんなこんなで、Vintage Maniacsとしてはめずらしい「アーチトップ」と、FVさんの適当な武勇伝を織り交ぜた3回シリーズ、楽しんでいただけましたでしょうか。

FVおいおい、勝手に終わるなよ。

VMわかってますって。テールピースを止めているネジですね。これは普通に「クルーソンペグの留めネジ」に見えますが。

FV当時のギブソンがそんな横着すると思う? ちゃんと長さが違うんだよ。

VMほんとだ。失くせないですね、おいそれと。取り付けちゃうとヘッドは同じに見えます。写真の上段左のネジが、クルーソンペグのスクリューに置き換えてみた図ですが、外観ではわかりません。

FV当時のギブソンの人たちは、細かいところで、しっかりとクオリティを追求しているね。あと、このギターはロッドを一度も回してなくて、黒い塗装がそのまま残っているバージンだ。なのにネックがまっすぐのストレート。

VMロッドカバーとかノブも綺麗で、リイシューみたいですねえ。

FVノブは、いつ見ても萌えるね。最後にちょっとエロい角度から。

VMわかんないなあ、その感覚(笑)

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ES-175 - GibsonによるGibsonのためのGibson的な決断(前編)
ギブソン・ギターの中で長寿なモデルといえるES-175。1949年の登場から長期にわたりミュージックシーンを支えてきたモデルを、前後編の2回にわけてご紹介いたします。

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