やみクロ - ダブルカッタウェイのメロディーメーカー (後編)

メロディーメーカーのパーツを詳細画像で見ていく「やみクロ(やみくもクローズアップ)」の後編。「1989~1990年」のギターショップの広告を振り返った後は、チップボードケースにも注目。ヴィンテージ感を演出するアリゲーターケースは写真撮影にもってこいのアイテムです。

1989年のショップ広告

VM (Vintage Maniacs)メロディーメーカー、深いっすねえ。

FV (Fukazawa Vintage Club)うーん、ちょっと前まで7~8万円くらいだと思っていたんだけど…。

VMちょっと前って、いつ頃のことですか? いま、そんなに安くないですよ(怒)

FVたとえば、この広告ページを見てよ。68,000円だよ。

VMなるほど、こっちは「61年SBが80,000円、59年SBが100,000円」ですね。

FV2本で10万円っていう、スーパーマーケットみたいな「お買い得」もあったりして。

VMどし~!! 今すぐ買いに行きますよ。でも「ちょっと前」って、いつの広告ですか?

FVえっと、ファイルには「1989~1990年」って書いてあるね。

VMそれって、全然「ちょっと前」じゃないっすよ。平成元年でしょ?

VM60年後期のEB-0が78,000円になってるじゃないですか、困るなあ…。

FVうーん、わたし的には「そんな昔じゃない」んだけどなあ。

VMだって1989年って、日本のチャートを見ると、プリンセス・プリンセスや工藤静香さんが堂々のランクインです。少なくとも僕は小学生でした。随分昔ってことですよ。

(参考:ヒット曲ランキング1989年)
1位 プリンセス・プリンセス/Diamonds
2位 プリンセス・プリンセス/世界でいちばん熱い夏
3位 長渕剛/とんぼ
4位 光GENJI/太陽がいっぱい
5位 Wink/愛がとまらない
6位 工藤静香/恋一夜
7位 Wink/淋しい熱帯魚
8位 工藤静香/嵐の素顔
9位 工藤静香/黄砂に吹かれて
10位 Wink/涙をみせないで

FV「Time Flies」っていうんだよ、そういうの。じゃあ聞くけど、君は次の①から③のうち、誰が一番好きなんだ?
①工藤静香 ②プリンセス・プリンセス ③鈴木早智子

VMなんで③はWinkじゃないんですか、もう! 僕は相田翔子さんのほうが好きですよ。早くクローズアップやりましょう、早く。

アリゲーター柄のチップボードケース

FVアリゲーターケースって、写真撮影にはもってこいだ。すっごくヴィンテージ感を演出してくれる。

VM実際、ギブソンのヴィンテージ・チップボードケースは、パターンがそろった普通の柄じゃなくて、なんかこの「アリゲーター」っぽい、不揃いのテスクチャーがリアルなんですよ。

VMあと、フチの縫い目が表側に出ているのが、ちょっとアンティークのトランクっぽいっすよね。

FVこの辺だろ?周囲の。同感だ。

FV金具類とかを見ると、高級バージョンのブラウンケースと同じだね。蝶番部分のレザーは切れちゃってるけど。

VMこのケースがスゴイのは、ハンドルがオリジナルで、壊れていないことですね。

FVアコギのギグバッグにチップボードケースごと入れて持ち運ぶと長持ちするよ。

VM内蓋とバッジもちゃんと残ってるし。誰か、復刻してくれませんかね。

FV細かいことをいうようだけど…

VM細かいことをいうのがこのコーナーなんで気にしてないっすよ。遠慮せずにどうぞ(笑)

FVこのケースは本来メロディーメーカー用じゃなくて、レスポールJrとSpecial用の、ネックアンコが付いたちょっと厚手のモデルだな。

VM自分でケースを入れ間違えておいて、自信たっぷりに言い切りますね(笑)

FV前回撮影のときに雨が降ってきて、複数のギターとケースを急いで片づけたから間違ったようだ。

パーツにクローズアップ

VMメロディーメーカーは、50年代と60年代で作りとか違いますか?

FVあまりそういう観点で見てないから、わからないな。

FVコンビネーション・ブリッジは、まさに50年代のジュニアやスペシャルと共通しているアルミパーツだから、どの角度から見ても美しい曲線にうっとりするね。

VMえ~、前は「工場でシャコシャコとラインの人達が量産してたんだから」とか言ってませんでしたっけ?(笑)

FV実際そうなんだけど、仕上がりに手作り感が色濃く残っているという観点ではハンドメイドな量産品だよな。ひとつひとつがちょっとずつ違ってて。

VMトグルスイッチのローレットは、すでに60年代の仕様になっています。

VMノブも60年代ですが、初期バージョンですね。

FV個人的には、ここにわざわざスタンプで「MELODY MAKER」と入れているセンスが超かっこいい。

VM年代が違うと、それこそちょこちょこと「ノブだ、ペグだ、ピックガードだ、ネジだ」と仕様が違ってくるメロディーメーカー。愛すべき手頃なヴィンテージ・ギブソンとして、これからも沢山のギタリストに愛されてほしいです。

FVお、締めくくりが上手くなったね。

透き通るようなセルロイドのドットマーカー。ときどき「ポロリ」と外れます。
ファイヤーバードのロッドカバー・スクリューと共用と思いきや、長さが全然違いました。
なくすと、なかなか代品が見つからない樹脂製のストラップボタン。
厚手の1プライピックガードは意外に丈夫。
外した経験のある人はわかると思いますが、全部のネジを外しても、ピックガードはテールピースと干渉して外れません。
結局60年代中期にはSGボディへ移行していきます。

 次に読むなら

ギブソンのチップボード・ギターケース
木製のハードケースと比較すると、強化ダンボールに化粧紙を貼り付けたチップボードケースは、薄く、軽く、壊れやすく、楽器の保護というよりは、単に持ち運びや保管の際に「少し役に立つ」程度のものだったようです。

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レトロアリゲーターSG&LP

60年代に一世を風靡した「持ち歩くと、遅かれ早かれ壊れる」アリゲーター柄のチップボードケースは、そのひ弱さから現存する個体がどんどん減っています。レトロなチープさを再現しながらもスタビリティを確保したSG用とLP用のアリゲーターケースです。

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