Gibson Music City Jr. with B-Benderの旋律

びっくりするようなギターがギブソンから登場しました。B-Benderを搭載し、ペダルスティール・サウンドを手軽にギターで再現できるのが売り。さらにもうひとつの魅力は、カントリーっぽいレザー柄が施された美しいハードケースです。

Music City Jr.とハードケース

久しぶりに、びっくりするようなギターがギブソンから登場しました。パッと見た感じ、レスポール・Swanp Ashモデルに改造でテレキャスターのピックガードを搭載したのかな…って、ほとんどのギタリストが感じたのではないでしょうか。とにかく個人的には「似合ってないなあ」という第一印象です。いかに私がギブソンファンで、過去の暴挙を許してきたとしても(笑)

Music City Jr.のB-Bender

ギブソン社のWebには、クラレンス・ホワイトとジーン・パーソンズが共同開発した、ナッシュビル・サウンドに欠かせない発明「B-Bender」と書かれています。このパーツですね。

Music City Jr.のストラップピン

ストラップピンと連動していて、下側に押すと2弦がチョーキングされる機構です。

B-Benderの機構

ペダルスティール・サウンドを手軽にギターで再現できるのが売りです。アメリカ人の発明好きっていうか、便利なら何でもチャレンジっていう姿勢が、なんとなくジーンズやジッポーと共通してませんか?

Music City Jr.のB-Bender

テレキャスターに搭載したときの複雑な機構と比べると、ギブソン製はボディバックには何もついていないシンプルな構造になっています。

Music City Jr.のシンプルなボディバック

ギブソン社によると、今回Music City Jr.に搭載されているのはジョー・グレイザーが80年代に開発したバージョンを共同でモディファイしたもので、P-90ピックアップとの組み合わせで、従来にないナッシュビル・サウンドを作り出すことができるとのことです。

2台のMusic City Jr.

パーツと細部をチェック

しかしピックガードまでテレキャスの真似をする必要はないと思うのですが、このあたりはナッシュビルのギタリストから受け入れられるための妥協点かもしれません。

Music City Jr.のピックガード

ブリッジは良く見るとナイトホークのものを改造しています。このあたりは合理的。褒めておきましょう。

ナイトホークを流用したMusic City Jr.のブリッジ

アッシュボディにメイプルネック仕様ですが、アッシュの色合いには結構個体差があります。

Music City Jr.のアッシュの色合い

テレキャスターと違い、ネックジョイントはセットネックです。どうせならボルトオンにする手もありましたね。

Music City Jr.のネックジョイント

ボディバックはかなり違和感があります。ギブソンファンとしてはヘンテコに感じます。

違和感のあるMusic City Jr.のボディバック

キャビティは伝統的なレスポールタイプですが、中身はコイルタップとか搭載して “while loaded for fat, driving Gibson P-90 tone along with coil-tap switching to access brighter single-coil tones.” なのだそうです。

Music City Jr.のサーキット

交換パーツがめんどくさそうです。ふつうにコイルタップ・スイッチをつければいいのに。上の2つのポットは見慣れない形ですね。

ネック部分は、まんまテレキャスターです。指板材がやけに白っぽいのは、塗装の無い木地仕上げだからでしょう。フィンガータッチはスムーズです。ポジションマークもテレキャスターを意識していて、ちょっとチャーミングに思えます。

Music City Jr.の指板

ヘッドストックだけ見ると安価なスタジオモデルにも見えます。

Music City Jr.のヘッドストック

Music City Jr.のヘッド裏側

どうせならナチュラルにウオータースライド・デカールとかじゃ駄目でしょうか。いや、むしろこんなにアイデア満載のギターですから、スクリプトロゴあたりを搭載してもよかったかも。

Music City Jr.にスクリプトロゴの突き板を置いてみた

またはフラワーポット。うーん、こうなるとボディをサンバーストにして…

Music City Jr.にフラワーポットの突き板を置いてみた

もうひとつの魅力、ハードケース

さて、このギターのもうひとつの魅力は、カントリーっぽいレザー柄が施されたハードケースです。別売のないケースなので貴重ですね。

Music City Jr.のハードケース

これだけでも持って歩けばスーパースターでしょう。間違いなく。

カントリー調のレザー

ハードケースのサイド

ギブソンのWebサイトに載っている写真にはGibsonバッチがついていますが、量産された際にはつけられなかったようです。

Gibsonバッチがついていない

ケース内側のライニング

なにはともあれこのアイデア、ナッシュビルで広く受け入れられることを願っております。

Music City Jr.のボディ

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