Non-Reverse Firebiedの経緯と60年代 (前編)

「The most imitated guitars in the world(世界でもっとも真似されたギターです)」のコピーが印象的なフェンダー社の広告。ギブソンのファイヤーバードのデザインをめぐる経緯について推察していきます。

VM (Vintage Maniacs)タイトルと写真が関係なさそうですが、間違いですか?

FV (Fukazawa Vintage Club)いやいや、今日は天気もいいので、撮影をかねてファイヤーバードの風評について、ちょっと振り返っておこうかなと。

VM天気とファイヤーバードって関係あるんですか?

FV無いよ。でも、トラメのファイヤーバードって、晴れてないとカッコ良さが出ないから。

VMあ、これ覚えてますよ。「メダリオンへの憧れ」の第3弾でノンリバ―ス・ファイヤーバードを特集したときのお蔵出し。

FV私が会社帰りに横浜のみなとみらいで、スーツのままカメラと三脚とギターを担いで、アシスタントつれてロケした写真ね(笑)

VMその節はお手伝いできなくてすみませんでした。

メダリオンへの憧れ - ファイヤーバード編(3)~ ノンリバース・ファイヤーバード特集

メダリオンへの憧れ - ファイヤーバード編(3)~ ノンリバース・ファイヤーバード特集

2019.12.20

FVで、本題なんだけど。

VMうわ、Tシャツにまでなってるんですか、広告誌面が。

FVこれは、1963年末に北米の音楽雑誌に掲載された「Fender社」のものだ。

VMジャガーとかジャズマスターとかが主役ですね。

FV当時はサーフィンミュージック・ブームで、テレキャスターやストラトキャスターよりも、この2機種に力を入れていたんだろう。

VM「The Most Imitated Guitars in the World」って書かれてます。

FVいわゆる「世界でもっとも真似されたギターです」って。意見広告っぽいコピーが印象的だね。

VMこちら、1965年前後の雑誌広告です。

FV少なくとも2年間は言い続けてたわけか。よほど頭にきたのかな?

VM最近はヒストリック・コレクションでもリバースやノンリバが再発売されているので、リバースとかノンリバースって単語を、よく聞くようになりましたね。

FVそこなんだけど、みんな普通に「初期のスルーネックをリバース」「後期のセットネックをノンリバース」って呼んでるだろ?

VMはい、まあ、そう教えられたので。誰にってことはないですが…(笑)

FVちょっとこの記事を読んでみてくれる?

It's been said that Fender threatened to sue Gibson over the design of the original reverse Firebird, because of Fender's existing offset-waist body on its jazzmaster and jaguar, and that this was the reason Gibson was forced to change the first Firebird design.

VMふむふむ、「フェンダー社がファイヤーバードのデザインにイチャモンつけたので、ギブソンは変更せざるを得なかった」って感じですね。

FVお、さすがTOEIC満点。

VMえへへ、照れますよ。さすがに在宅とかテレワークとかで時間あったので、2年間はほぼ毎日2時間以上が英語漬け。週5でWEBレッスンも受けてましたから。

FVでも、いつも不思議に思うけど、なんで満点が1,000点(5点×200問)じゃないんだろ。

VMこの記事、まだ続きがありますよ。

But this seems unlikely. Fender was certainly annoyed, publishing an ad showing the jazzmaster and jaguar below a headline that read : “ The Most Imitated Guitars In The World.” But Fender had little scope for legal action.

FVこうも書いているね。「でも、それは考えにくい。確かにフェンダーは広告に“最も真似されたギター”と掲載しているが、実際に法的アクションは取っていない」ってことらしい。

VMなるほど。

FV確かに当時法廷闘争に発展したという記述は見当たらないね。

VM時間軸だと「ジャガーやジャズマスターにデザイン的に似ているのはファイヤーバード後期のデザイン」だと思うんですけど。

FVとするとだな。

VMこんな経緯の解釈、どうですかね?

① ギブソンがファイヤーバードを発表

デザインは「ボディくびれが左右非対称=Offset Contour Body」で、フェンダー社の所有する「U.S. Patent No. 2,906,900A」を侵害

1963年

② フェンダーは雑誌広告で暗にギブソン社のファイヤーバードを批判

カッコ内のキャッチコピー

③ ところがギブソン社は「フェンダー社が訴訟を起こしてこないのをいいことに」、もっとデザインが似たファイヤーバードにフルモデルチェンジ

④ のちにコレクターは「あまりにも異なるファイヤーバードのデザインを、混乱しないため」に、初期を「Jaguar, Jazzmasterをひっくり返した=リバース」モデルと呼ぶことにした

後期モデルは「リバースしていないJaguar, Jazzmaster似のデザインなのでノン・リバース」と呼ぶ。

FV試験に出そうだな(笑) まあ、③は冗談っぽいけれど、④については事実関係がどうだったのか、興味津々だ。

 次に読むなら

やみクロ - ジャガーっていうか、ノブの話
80年代にメリーランドで購入したフェンダー・ジャガー。ハードケースの中には72個のノブが入っていました。今回はそのノブをじっくりと観察しつつ、ジャガーのパーツや細部にもクローズアップする「やみクロ(やみくもクローズアップ)」です。

掲載されている文章および画像の無断転載・引用(ソーシャルボタンは除く)は固くお断わりいたします。

 Vintage Maniacs Shopのおすすめアイテム

HystericBird - Mini Humbucker for Firebird

ショップで見る
Vintage Maniacs 公式Webショップ