シェイブドABR-1 - ヴァイブローラに最適なスイングするブリッジ

機能的にパーフェクトなABR-1ブリッジはギブソンによって二度改造されました。底面を削ったシェイブド・ボトムのABR-1は、ヴァイブローラ搭載ギターのチューニングの安定に最適なパーツです。

FV(Fukazawa Vintage Club)ギブソンのABR-1ブリッジは、そもそものデザインにおいて完成度が高く、機能的にもパーフェクトだよね。

VM(Vintage Maniacs)ナッシュビル・チューン・オー・マチックが登場しても、結局は80年代に59 Vintageなどで復刻して現在でも現役のパーツです。

FVその“完璧なるABR-1史上”で、二度改造がなされているんだよ。

VM一度目は、61年頃にワイヤーが追加された時ですよね。

FVその通り。もう一度は、先程の写真のタイプだ。

VMSGレスポールに搭載された「シェイブド・ボトム」かあ。

FV削り方を見ると個体差が顕著だから、グラインダーで手作業をしていた感じがするね。

VM確かにこの写真の個体は、ABR-1のロゴが入っている四角い縁取りと削ったエッジの接点位置がバラバラですね。

FVそもそも1,000個ぐらいの加工なら工場で2日もかからない作業だろうから、思いついて、特に治工具も作らず一気に加工したんだろうなあ。

VMヴァイブローラを搭載したSGにとっては、要のパーツですよね。

FVなんでそう思うの?

VMだって、この形状だとエレベーションリングとの接点が、ほぼ“点”ですよね。

FVそうなんだよ。横から見ると良くわかるけど、底面の削り取りは直線ではなくアーチを描いているから、フラットなエレベーションリングに乗せると、ほぼ“点”で接しているのがわかる。

VMブリッジって、ナットと違って、どのフレット位置で音を出しても、常に弦からの振動を直接受けてボディに伝達しているので「ブリッジとエレベーションリングの接点面積」は、サステインや音色に大きく影響するでしょうね。

FV直観的にそう思うよな。ヴァイブローラを使った時のチューニングも、ABR-1全体が振り子のようになるから安定する。当時の人は随分うまく工夫したと思うよ。

VMでも生産台数が増えてくると、金属のパーツをこれだけの容積ひとつひとつ削るのは現実的ではないですね。

FVさすがメーカー出身。3,000個とか5,000個になると、コスト増も無視できない。

VMそこでさらなる改善に着手するのが、当時の発明魂満載のGibsonですよ。

FVその通り。

VMおお、皿を加工したのかあ。

FVABR-1のボトムは、もとの形状のまま。

FVエレベーションリングに山型の傾斜をつけると、ABR-1のアソビが程よくてチューニングも安定してくる。

VMよく思いつきますね。シンプルだけどシェイブド・ボトムも山皿もイノベーティブですよ。すごいなあ。

FV結局「シェイブド・ボトムと平皿」のコンビは短命に終わり、65年ごろからは「フラット・ボトムと山皿」に移行する。

VMサウンド的には随分違いますよね。

FV楽器は個体差が大きいから一概にいえないけど、弦振動を伝える機能パーツで重量を2割も軽量化したら、それは随分影響すると思うよ。

VMヒスコレのSGでも、この部分までは手が回っていないです。一度ヴィンテージのシェイブドABR-1をヒスコレに搭載して、サウンドチェックをしてみたいなあ。

FV蛇足になるけど、みんなが気になるところの「シェイブド・ボトムと山皿」の組み合わせ。やってみると想像と違ってチューニングが安定するどころか、フニャフニャして安定性がなさすぎるので実用的では無い気がした。

VMさすが、痒い所に手が届きますね(笑)

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