音の本棚 - 『The Gibson』というムック本

毎回1冊のギター関連書籍を取り上げ、内容や当時の様子を振り返る企画、音棚(音の本棚)。今回は日本で発売された後、インターネットが無い時代にもかかわらず北米のディーラー間で話題になった『The Gibson』にクローズアップします。

VM (Vintage Maniacs)音の本棚は、毎回歴史を振り返るタイムトリップのようで、楽しませていただいてます。

FV (Fukazawa Vintage Club)おいおい、傍観者じゃないだろ? 楽しんでないで、ちゃんと進行役をやってくれなきゃ。

VMじゃあ言いますけど、誰ですか、この青臭い兄ちゃん(笑)

FV当時住んでいた世田谷独身寮のラウンジに、ギターを並べて撮影したんだよ。フイルムカメラだと、ボディの反射や映り込みをチェックするのが大変でね。その上独り作業だから。

VM現像に出すまで仕上がりが分からないですよね。デジカメ時代からみると化石的な撮影です。

FV『The Gibson』の本編をみるまえに、一緒に本棚に挟んであった当時の写真を振り返ってみようか。

VM床に無造作にファイアーバードⅠが置かれていたり、オベーションのスーパーアダマス、ギタートレーダーのレスポール・サンバースト、マリーケイのストラト。お宝ありますね。

FVこのあたりのギターもおいおい紹介していくけど、今回は写真をざっとみながら、音の本棚に続けていこうと思ってる。

VMサラリーマンやりながら、よく時間ありましたね。これは?

VMナンバープレートが凝ってます、この当時から「1959」だ(笑)

FV買って10週間でサウスカロライナ駐在。悲しみの944。実走3,000キロ。ギターは、エボニー指板の59ヴィンテージだな。

VMそのほかの写真は、池袋で開催した「LOFTギターショー」と「ノースカロライナ・ギターショー」ですか?

FVノースカロライナ・ギターショーは、郊外の街で開催されたこともあってか、めずらしいギターを手に入れることが出来た。90年代初期だよ。帰国した翌々年。

VMへえ、ちゃんと「出展者(Exhibitor)」として参加してたんですね?

FVそうそう。で、Roscoeというブランドの製作者と仲良くなって、いっしょに晩御飯たべに行った。

VMもってるギターがそうですか?

FVアレンビックとかに通じる丁寧なビルダー。ちょうど前後に日本の雑誌が取材に来たような事をいってたよ。

VMこの人が、ロスコーさんですね?

FV違う。これは知らない人だ。コリーナのFVを手持ちで売りに来た、ブルーのTシャツの兄ちゃんと価格交渉中。結局700ドルぐらいで譲ってもらった。いまでも持ってるよ。

VM当時の700ドルが高いのか安いのか、判断つきませんね。

FVうーん、そうだねえ。90年代の初期は、日本での中古価格相場が20万円ぐらいだから、アメリカで買って送料入れると、そんなに安いって感じじゃなかったかも。

VMじゃあ、なんで買ったんですか?

FV兄妹で隣町から来てて、妹さんがギター上手くてね。で、ストラト買いたいから手放すんだって。今でいう、テリーサ・パーマーみたいな女の娘だった。

VM実際、ギターショーで楽器を購入するって、どんな感じなんですか?

FV来場者として会場を廻って、展示されているギターを購入するパターンと、ブースを借りて持ち込みとかディーラーから買うパターンとあるかなあ。まあ、ぶらぶらしながら、気が向いたら価格交渉するほうが気楽だった。

VMやっぱり、プロのバイヤーやブローカーの方々の邪魔にならない程度に…ですよね。

FVそれは大事だよ。こちらは、あくまで素人だからね。

VMあれ? これ同僚のマイクさんですよね。

写真の右がマイクさん。グリーンヴィルの空港Securityに射殺されそうになったFVさんの窮地を救った。

※「ES-175 GibsonによるGibsonのためのGibson的な決断(番外編)」に登場するマイク君です。

FVそんな話じゃないよ(笑)

VMFVさんが帰国したのが1991年だから、2年ぶりの再会。

FVマイクは、サウスカロライナのグリーンウッドから、わざわざ会いに来てくれたんだ。友達がいてくれると、楽しいし心強いよ。やっぱり当時のギターショーには、Cash$を持っていってたからね。

VMお二人は揃って、ポロをリーバイスにインですね。ブラザーって感じで。

FVわははははは。着こなしが、サザンっぽいだろ?(爆笑)

VMしかし、キャッシュなんですか…。クレジットカードとかは?

FVほとんどのブースで受けてくれなくて、トラベラーズチェックもそれなりに顔見知りでないと…という時代。

VMうは~、垂涎です。どれもこれも手に入れたい。

VM次の写真は日本ですね?

FV帰国してから、MGMの大西さん・LOFTの滝場さんに声をかけてもらって、Zemaitisの展示をやったんだよ。まだまだ「Zemaitis」っていっても、写真集や資料も少なかったから、あまり感動なかったかも…。

VM一番左の「Standard 82」、すごくインパクトありますね。

FV目の付け所がシャープだね(笑)

FVこっちのⅤとⅠは、セットで手に入れたかった。欲しかったよ。

VMそれはそうと、全然『The Gibson』の話になりませんが。

FVあ、忘れてた。ノースカロライナ・ギターショーに写ってるだろ?

VMどこっすか?

FVこれ。

VM相変わらずチマイですね。ブースだしながら、日本の雑誌を売って小遣い稼ぎですか?

FVおいおい、人聞きが悪いなあ。ちょうどギターショーの1か月前くらいかな、日本で発売された『The Gibson』が、インターネットとか無い時代なのに、北米のディーラー間で話題になってね。

VMさすが、リットーさん。

FVで、私が「ギターショーに行くよ~」ってFAX打ったら、沢山の知人から「Hey Taddy! The Gibsonってマガジンを買ってきてくれよ」って。

VMやっと「音の本棚」の話題になるころには、「次回につづく」ってことです。

FVすまんね、回り道で(笑)

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