モノが俺を呼んでいる - ウルトラ・エキスパート、かく語りき

堀切玩具堂に書いてあった「連鎖の法則」。偏執的にモノを集めることに対するシンパシーを感じながら、 モノの並べ方やマニアックなこだわりについて、Vintage ManiacsとFukazawa Vintage Clubが語り合います。

堀切玩具堂の「連鎖の法則」

VM(Vintage Maniacs)堀切玩具堂さんって、Fukazawa Vintage Clubさんの古くからのお知り合いですよね。

FV(Fukazawa Vintage Club)そうだよ。どうしたの?

VMこれ、昔から好きな本で、結構影響されてるんで(笑)久しぶりに本棚から出して読んでたんですよ。

FVそういえば君は「豆盆栽だ、醬油差しだ、ゴミムシダマシだ」って、その都度感化されて「追っかけ」やってたからな。最近は面白いこと何かあったかね?

VM堀切玩具堂に書いてあった「連鎖の法則」のコラムなんですけど、FVさんのモノの集め方を見てると、なんか共通するヒステリックなところあるんですよねえ。

北海道に行った人だけが買えるガチャガチャのHISASHI(GLAY)さん。FVさんは出張のたびに空港のB1で、これが出るまでやってるらしい。

FVまあ、遊び仲間だから、いろんな感性というかマニアックなこだわりというか、美的感覚みたいな部分はシンパシーあるかなあ。でも、お互い持って生まれた「偏執」な部分だろ。

VMここに書いてありますよ、「同じものを何十個も連鎖的に買うんです」って。

FV普通、みんなそうなんじゃないの?

VMあのですね、そんなの普通じゃ通用しませんよ、変ですよ。さらに「エキスパート級」っていうのがあるんですよ。「一つでも貴重なのに、モノが俺を呼んでいる」って。物欲を超えた使命感で突き進む。ほら、エイトマンのこれ、見てくださいよ。

FV堀切玩具堂さんのチャートは、「ほんの出来心から始まる」ってあるだろ? 実際、支配欲とかの次の階段をのぼって、なんか神の声が聞こえるみたいな、気が付いたらカードで全額払ってたとか、後先考えない「生まれ持った使命感」だ。

VMうーん、そう言われれば確かに。「ウォールダンサー」こと、白石阿島ちゃんも、セントラルパークのラット・ロックを見た瞬間から「あれに登る!」って。運命の出会いをね。

FV物事との出会いっていうのは、お互いが呼ぶんだよ(笑)

VMこの写真、好きですよ。連鎖の法則というよりは無駄の法則かも。

FV堀切玩具堂さんのセンスの良さは、エイトマンが7個だろ?普通、意図すると8個になるんだけど、あくまで自然体だ。私的に、似た感じで並べてみたのがこれ。

FVでも、それじゃレイアウト的に凡庸なので、ヴィンテージな曲線の美しさをマニアックにならべてみるとこうなるんだよ。

VMひえ~、勘弁してくださいよ。ソーセージの燻製みたいだ。

FV大事なのは「沢山集めて並べれば良い」のではなくて、形状に「お、並べたい」ってハッとするようなインスピレーションがあることかな。レスポールって、何十本ならべても面白くなくて、むしろ一本だけ単体で見たときの美しさの完成形があるよ。一方でメロディーメーカーは、本数が集まるほうが素敵だ。

VM写真を撮るときの角度も大事ですね。

FV次の写真、つまらんだろ?

VMつまらなくないですよ。下の写真はイマイチですけどね(笑)

FV君も、相変わらずわからん感性をしとるね。

VMならべてて「うお~、これは!」っていうパーツ、どれですか?

FV圧倒的にABR-1だろうね。

VMこうなるとジェンガですね(笑)こっちもインパクトはありますが。

FV経験的に「丸いモノは、とりあえず敷き詰めてみる」ってアプローチがあるね。

VMこれも丸いモノのひとつですか?

FVただ珍しいだけだよ(笑)

VM丸いモノといえば、こんなのもありましたね、Area59時代に。

FV「連鎖の法則」と「同じものを並べてみた」って、紙一重の境界線があってね。

VM単品だとどうってことのないものが、連鎖によって「輝く」ってのが、まあ贅沢っていうか、いわゆる昆虫の標本みたいなもんですかね。

FVこれなんか、まったくもって標本だね。面白くもなんともない自虐ネタだ(笑)

VMやっぱり、パーツの方が普段単体でじっくり見ないだけに、連鎖したときのインパクトが大きいと感じました。

FVペグは並べるだけでエロいな。

VM一番インパクトのある連鎖の法則は何ですか?

FV間違いなく「レンチ」だろ。この六角レンチは今でこそアフターマーケットで買えるけど、昔はギブソンのギターを買わないと付いてこなかった。「おまけ」という意味ではエイトマンと似てる。

VMなんか、まだまだ「変な連鎖の法則」がありそうですが、今日は眼も疲れてきたのでこの辺で(笑)

FVじゃあ最後にこれね。

番外編

VMえー、終わりじゃないんですか?

FV写真を整理していたら、過去に「並べていた」いろんなモノがあったので、番外ってことで。すでに紹介済みの写真もあるから回顧だな。

リバースVの各色編
ファイヤーバード・ドローン撮影
ネオ変形トリオ「グー・チョキ・パー」
雑多なパーツの「ロボット」
モダーン連番編。これが10本揃えば「天国の連鎖」

連鎖の法則ギャラリー

愛車のジャガーとビグスビーSGトリオ。探すと意外に出てこないモデルです。
リバースVとしては正しい撮影アングルでしょう。
再生産のファイヤーバードを集めたショット。
チューンナップしたサンダーバードは、建国モデルへのオマージュ。
一台でも珍しい「ソレント・アーティストケース」。目標は1ダース!
復刻版ブラウンスリムケースも、積めば積んだで迫力満点。
ぜんぶMade in England、トニーのハンドメイドです。
世界で最もレアなトリオかも
あこがれのエボニーブロック、大量連鎖の図。
二度と拝めないショット、無残なネック。
1959年のミシガン州のナンバープレートは貴重な遺産。
ヴィンテージストラップの絨毯。

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モノによる記憶の解凍 - HeritageとVintage
60年代生まれにとってギターは憧れの対象だった。カタログを眺めながら「いつか手に入れる」と夢見ていたものである。今回は80年代初期の日本ギブソンのカタログを見ながら、ギターコレクターとして「モノによる記憶の解凍」について考えてみようと思う。

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